“エージェントブーム”に乗じたベイパーウェアへの注意喚起も
AIエージェントとエージェント型AI 間違えやすい2つの言葉をガートナーが定義
2025年05月21日 14時00分更新
ガートナージャパンは、2025年5月14日、「AIエージェント」と「エージェント型AI」に関する見解を発表した。
現在、市場には、AIエージェントとエージェント型AI (エージェンティックAI)という2つの用語が存在しており、両者の境界線が曖昧なため、混乱も招いている。ガートナーでは、両者を以下のように定義している。
■AIエージェント:デジタルおよびリアルの環境で、状況を知覚し、意思決定を下し、アクションを起こし、目的を達成するためにAI技法を適用する自律的または半自律的なソフトウェア
■エージェント型AI:組織のために行動し、自律的に意思決定を下してアクションを起こすために、組織に代わって行動する権利を付与された、目標主導型のソフトウェア・エンティティ。記憶、計画、センシング、ツール利用、ガードレールなどのコンポーネントと共にAI手法を使用して、タスクを完了し、目標を達成する
さらにガートナーは「チャットボット」や「RPA」も加えて、それぞれの違いを具体的に説明している。
チャットボット(人工無能)は、問いに対して、設定されたとおりに自動で返答する。RPAは、決まったタスクを、設定されたとおりに自動で実行する。
それらの進化形として、設定されたとおりではない判断や行動を行えるのが、広義のエージェント型AIだ。さらにこれは、「“弱い”エージェント型AI」であるAIエージェント、「“強い”AIエージェント型AI」である新世代のエージェント型AIに分類される。
弱いエージェント型AI(AIエージェント)は、ある程度の判断力を持ち、設定されたとおりにシンプルなタスクを実行する。ガートナーでは、これを「手組み細工的な存在」と表現する。
一方、強いエージェント型AIは、目標のために必要なアクションを自律的に選択する「エージェント性」と、目標に向かって一貫した行動をとる「目標指向性」を備えており、高い判断力によって、自律的に複雑なタスクを実行することを期待されている。
同社のディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストである亦賀忠明氏は、「Gartnerでは、AIエージェントは、エージェント型AIの1つと捉えています。すなわち、エージェント型AIは、AIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念であり、より高度で自律性の高いAI像を示唆しています」と述べている。
また、亦賀氏は、「このような状況の中で、企業は、これらのテクノロジに対する理解を深め、手組み細工的なAIエージェントと進化系となるエージェント型AIの違いを見極める目利き力を高めていく必要があります」と強調。
そして、具体的なテクノロジーやフレームワークのない、概念だけの「ベイパーウェア(存在するように宣伝されるが、実際は存在しない製品)」に振り回されないようにすることが重要だと補足している。
