ソニーは5月12日、BRAVIA(ブラビア) XRシリーズの新製品「BRAVIA 5」を発表した。価格はオープンプライス。発売は6月から順次。
選択肢が増えたMini LEDバックライト搭載のブラビア
BRAVIA 5(XR50シリーズ)は、2023年発売の4K液晶テレビ「X90Lシリーズ」の後継機種。X90Lシリーズは直下型のLEDバックライトを使用していたが、BRAVIA 5では新たに「Mini LEDバックライト」を搭載する。
発売日はサイズで異なる。75インチの「K-75XR50」(実売42万9000円前後)、65インチの「K-65XR50」(実売33万円前後)、55インチの「K-55XR50」(実売25万3000円前後)の各モデルは6月7日。最大サイズで、98インチの「K-98XR50」(実売110万円)は少し遅れて6月28日に発売する。
なお、2024年のラインアップにもあった「BRAVIA 9」「BRAVIA 8」「BRAVIA 7」、そして、QD-OLEDの「A95Lシリーズ」は2025年も継続販売する。海外では、BRAVIA 8をQD-OLED化した「BRAVIA 8 II」が登場しているが、国内投入のアナウンスはなかった。また、海外では発表しているBRAVIA 5の85インチモデルも、国内展開を予定していないそうだ。
お手軽Mini LED機であり、最大画面のテレビでもある
BRAVIA 5の機能を見ていこう。
XRプロセッサーを搭載したブラビアであり、映像分析、ソニー独自のバックライト制御と階調表現力によるコントラスト表現、色再現の高さ、臨場感あるサウンドなど、同プロセッサーを搭載した上位機種の特徴を引き継いでいる。
新製品では、Mini LEDバックライトの搭載で高コントラスト化と高画質化を果たしたほか、UXを改善して最新モデルと同様の使い勝手を得ている。高コントラスト化のための技術も搭載するが、上位のBRAVIA 7は「XR Contrast Booster 20」、本機はピーク輝度を抑えた「XR Contrast Booster 10」となっており、上位機との差別化もなされている。
なお、音質はBRAVIA 7相当。UXはBRAVIA 8/9などと同等だ。
ただし、デザイン面ではスタンドが簡易化されており、BRAVIA 7のような4ウェイスタンド(高さや幅を4パターンで調節可能)ではない。内側のポジションで、上下の高さのみが選べる2ウェイスタンドになっている。また、98インチモデルは耐久性/安全性に配慮して、外側に固定するタイプの1ウェイスタンドになっており、ハンドルやベゼルの厚さなどデザインも異なるという。壁掛け金具も98インチ用に新しいもの(SU-WL460)が用意されている。
X90Lシリーズからの進化ポイントは、上述したバックライトの違いに加え、「スタジオ画質モード」の搭載、「ボイスズーム3」への対応などが挙げられる。また、「BRAVIA Connect」アプリにも対応し、サウンドバーとの連携も強化された。
サウンドバーも新規投入、アトモスなどの立体音響も強い!
また、2025年のラインアップ強化に合わせて、以下のサウンドバー/サラウンドスピーカーも発表されている。
「BRAVIA Theatre Sub 7」(SA-SW7)
よりコンパクトで買いやすいサブウーファー、部屋に合わせて2種類の設置方法を提案
「BRAVIA Theatre Rear 8」(SA-RS8)
RS3Sの後継となる中位モデル、カタログ上の数値は変わっていないが、構造の見直しと設計で基本音質を向上している
「BRAVIA Theatre Bar 6」(HT-B200)
3.1.2ch再生に対応したミドルクラスサウンドバーで、サブウーファーを別体とした2筐体で提供
2024年度のモデルは概ね継続するが、Dolby Atmosなどの立体音響にも適した3.1.2ch再生対応のモデルを追加。また、サブウーファーやリアスピーカーもアップデートして、新しいマーケティングネームに揃えた展開としている。
3.1.2ch再生に対応したサウンドバーのBRAVIA Theatre Bar 6(HT-B600)は、上方向に向けたイネーブルドスピーカーを搭載し、立体的に音が広がる仕様になっている。また、2chコンテンツを立体的な音響で楽しめるアップミックス機能や、バーチャルサラウンド技術の「S-Force PRO」「Vertical Surround Engine」にも対応する。
声を聞き取りやすくするためのセンタースピーカーを搭載。L/Rを含むメインの3chは全て、プレミアムモデル「HT-A5000」と同等のユニットを使用している。さらにサブウーファーを別体とすることで、迫力ある低音を楽しむことも可能だ。実売価格は6万1000円前後で、発売は5月31日を予定している。
サブウーファーのBRAVIA Theatre Sub 7(SA-SW7)は幅352×奥行き134×高さ358mmと、上位モデル(SW3)との比較で46%も小型化。重量は6.2kgだ。最上位モデル(SW5)との比較では実に65%減の省サイズだ。前向きだけでなく、テレビを壁掛け設置している人に向けて、壁寄せの横向き設置も可能となっている。
設置する向きはバスレフポートを前にするか、ユニットが右側に来る状態が推奨とのこと。壁寄せで配置する際は、ファブリック面(ユニット)を前にするという。出力は100Wで130mmユニットの使用したバスレフ構成。上位モデルは200W/160mm、最上位モデルは300W/180mmとなるので、用途や設置する環境に合わせて選択したい。なお、IMAX Enhancedは非対応。実売価格は3万7000円前後で、発売は6月7日を予定している。
リアスピーカーのBRAVIA Theatre Rear 8(SA-RS8)は幅116×奥行き116×高さ202mmで、重量は1.1kg。X-Balanced Speaker Unitを搭載した2ウェイスピーカーで、50W+50W出力のバイアンプ駆動となっている。HT-A7000やHT-A5000との連携も可能だ。デザインもアップデートされ、丸みを帯びた柔らかさを感じさせる形状になった。実売価格は6万1000円前後で、発売は6月7日になる見込み。
映画館が自宅にやってくる、大画面&高音質を訴求
ソニーの予測では、2024年の国内テレビ市場の規模は460万台前後。需要は落ち着いており、横ばい傾向が進んでいる。テレビの買い替えスパンを10年と考えると、最新モデルは4Kが出始めた2015年ごろの機種からの買い替えとなる。
その間に70インチ以上の大型テレビの低価格化が進んでおり、Amazonなどでは10万円前後の75インチテレビなども多く見かけるようになった。2019年ごろはほぼゼロだった構成比も現在は3%ぐらいまで伸びており、2025年は3.5%ぐらいまで伸びると予測しているという。絶対数は少ないが伸び率が高く、期待できる領域。ラインナップの増加率も70インチ以上が150%を占めているという。
ソニーは昨年、映像/音響製品のマーケティングネームを整理し、テレビは上位から下位の順にBRAVIA 9(XR90、液晶)、BRAVIA 8(XR80、OLED)、BRAVIA 7(XR70、液晶)と、パネルの種類を問わない名称を採用。シリーズの型番もそれに合わせている。BRAVIA 5もその流れを踏襲しつつ、もっとも手軽に買える機種として、75インチや65インチの大画面訴求を継続する。
2024年のモデルでは、BRAVIA 9は新しいフラッグシップとして、国内外で高評価を得ているそうだ。ソニーはBRAVIA XRが持つ、高性能なXRプロセッサー、バックライト制御技術、色域の広さ、音と映像の一体化という4点を活かした商品開発を継続していく方針だという。
