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ASCII.jpが選ぶ! 2025年の注目データセンター

安定したインフラの構築を実現する「鉄板」の選択肢

これぞスタンダード 専業データセンター3選

2025年02月10日 10時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 企業のインフラを安心して運用できるデータセンターは果たしてどこか? 電力、ネットワーク、災害対策、コスト、セキュリティなど、さまざまな要件を満たすデータセンターとして、ここでは実績の高い専業事業者としてエクイニクス・ジャパン、アット東京、IDCフロンティアの3社を紹介する(関連記事:2025年からのデータセンター選びは「5つのトレンド」を押さえよう)。

エクイニクスのIBXデータセンター「TY11」のホール

グローバルデータセンターの標準 日本では首都圏・大阪に注力(エクイニクス・ジャパン)

 親会社の米エクイニクスは世界73都市で264のデータセンターを抱える業界最大手。1998年の設立以来、四半世紀以上に渡って大容量ネットワークによるサービスプロバイダー間での相互接続(ピアリング)を推進してきた。単なるサーバールームにとどまらない、インターネットデータセンターの基本を作ったパイオニアであり、スタンダードでもある。現在はリテール向けの「IBX(International Business eXchange)データセンター」とハイパースケーラー向けの「xScaleデータセンター」の2種類を運営する。

 日本法人のエクイニクス・ジャパンは親会社による2015年のビットアイル買収を経て、首都圏と大阪で20ものデータセンターを展開。首都圏のIBXデータセンターは「TY」、大阪は「OS」を冠する。

 強みは創業当初から注力してきた相互接続で、通信事業者、クラウド事業者、サービスプロバイダー、エンタープライズ企業との接続にロケーション面での強みを持つ。省エネにも注力しており、2024年現在96%の再生可能エネルギー導入率を、2030年までにグローバルで100%に引き上げる公約を掲げている。また、AI用途での液冷を前提とした取り組みもスタートさせており、最新技術の導入にも迅速に対応している。大手ならではの安定感と実績に加え、業界をリードしてきた先進性が特徴だ。

エクイニクスの接続点であるMeet Me Room

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東京だけじゃない国内13ヶ所で運営 老舗の安心感と実績(アット東京)

 四半世紀の安心感と実績を持つ国産データセンター事業者の老舗。東京電力と東京通信ネットワークによって2000年に設立され、2012年以降はセコムグループ入りしている。信頼性の高い電源供給、耐震性に優れた施設、光ファイバーネットワークなどによる堅牢な設備インフラと高い技術力を基盤にしたデータセンターを複数施設で運営する。

アット東京のデータセンターの施設

 「アット東京」の社名にある東京のみならず、大阪、福岡、広島、札幌、香川、沖縄など国内13ヶ所にデータセンターを抱える。フラグシップデータセンターにあたる中央センター(CC1)は、14万平方メートル以上の敷地、70MWの電力容量を持ち、単独の建築物としては日本最大級を謳う。部屋単位、複数ラック単位(ケージ)、ラック単位でコロケーションを選択でき、ネットワークや監視、セキュリティ、ディザスタリカバリなどのサービスも利用できる。水資源の削減や機器のリサイクル、壁面緑化の推進など環境負荷の低減にも積極的だ。

 「ATBeX(AT TOKYO Business eXchange)」と呼ばれるデータセンター間の相互接続を提供しており、キャリア、IX、ISPなどのサービス接続、企業システム間の連携などを実現する。また、CC1/CC2内にあるパブリッククラウド(AWS、Azure、Google Cloud、IBM Cloud)のダイレクト接続ポイントとユーザーのラックを直接光ファイバーケーブルで結ぶ、「プレミアムコネクト」も用意されている。IDCフロンティアとの相互接続も行なっており、両者のサービスを連携できるのも魅力。

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次世代社会インフラの計算基盤を北海道苫小牧に建設中(IDCフロンティア)

 ソフトバンクグループのITインフラ事業者で、データセンターを中心に、クラウドサービス、レンタルサーバー、ネットワーク、セキュリティなど幅広くサービスを提供する。1986年設立の国際デジタル通信企画を前身とし、親会社の変更や事業合併などを経て、2018年からソフトバンクグループ。

 首都圏中心にデータセンターを展開する外資系事業者に対し、IDCフロンティアのデータセンターは地理的に分散しているのが特徴。都市型としては、都内最大級の大規模データセンターである東京府中データセンターを中心に、東京有明・東京日本橋・神奈川横浜、大阪吹田などにデータセンターを擁する。また、郊外型として大地震の発生率が低いとされる福島白河と福岡北九州のデータセンターを運用しており、国内最大級となる約790億PVのYahoo!JAPANを支えている。システムと電力会社を物理的に分散させ、それぞれを広帯域なネットワークで結ぶことで、自然災害や障害においてもバックアップサイトへの切り替えが可能になる。オペレーションを現場作業員が代行してくれる「リモートハンズ」のサービスも充実しており、遠隔地のデメリットを感じさせない。

府中データセンターのサーバールーム

 2026年にはソフトバンクとともに大規模な計算基盤を整備した50MWクラスの「Core Brain(コアブレイン)」を北海道の苫小牧に開設する予定。最終的には敷地面積は国内最大規模の70万平方メートル、受電容量が300MW超まで拡大する見込みとなっている。

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