3カ月の研修で未経験者もSAPコンサル人材へ、スタートから2年間でグループ企業の約100名が修了
SAP“2027年問題”対応でも成果、NTTデータGSLのSAP人材育成トレーニング
2025年01月24日 07時00分更新
NTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータGSL)は2025年1月23日、社内人材育成プログラム「GSL大学」が5周年を迎えたことを発表した。これまでに、のべ5000人以上が社内公開講座を受講した。
このGSL大学の中で、2022年から開講している「SAPトレーニングプログラム」は、SAPビジネスに従事する実践的な人材育成を目的としたリスキリングプログラムとして、これまでに約100名が修了。SAPコンサル人材の不足という“2027年問題”対応にも成果を出しているという。
NTTデータGSLは、SAP基幹システムのコンサルティングやインテグレーション、保守運用などを手がけるSAP専業SIerだ。、NTTデータグループにおけるSAP事業の中核企業と位置付けられている。
同社が2019年にスタートしたGSL大学は、社員の「成長支援」「研究啓蒙」「交流」などを図る取り組みだ。事業部やプロジェクトごとの縦割りではなく、同じ領域やテーマのビジネスに取り組む社員どうしを“横串”でつなげるコミュニティを形成し、組織横断型であらゆる社員が参加できる公開講座、サロンなどを定期的に開催している。公開講座やサロンには、若手社員や中堅社員を中心に毎回数十名が参加するという。
このGSL大学における成長支援活動の一環として、2022年からスタートしたのがSAPトレーニングプログラムだ。
ただし、GSL大学のほかの取り組みとは異なり、このプログラムは「NTTデータグループ全社員」を対象としている。SAPコンサル人材の不足はグループ全体の悩みだったため、NTTデータGSLが主導して人材育成を進めることになったという。既存人材のスキルアップよりも未経験者を含む人材の「リスキリング」を重視し、SAP人材の母数そのものを増やすことを狙っている。
同トレーニングプログラムは、ターゲットに合わせて「SAPコンサル育成コース」「PM/営業/管理者コース」「モジュール拡張コース」の3コースに分かれている。いずれも年4回実施している。
中心となるSAPコンサル育成コースは、長年SAPコンサルティングの実務に携わってきた社内講師から、3カ月のプログラムを通じて実践的な知識を習得し、プロジェクトにアサイン可能な人材への成長を図るものだ。SAPパッケージそのものの知識だけでなく、対象とする基幹業務(ロジスティクスや会計)の知識、そしてコンサルタントとしてのマインドやスキルを学ぶ。
こうした座学研修に加えて、特徴的なのが「模擬プロジェクト演習」だ。同トレーニングプログラムの開講以前は、座学のあとすぐに実際のプロジェクトにアサインされ、現場でのOJTに望んでいたが、それではうまく対応できないケースが多くあった。模擬プロジェクト演習を追加し、“体験”を通じて座学で得た知識をしっかりと身につけることで、修了後のOJTやサポート業務などもスムーズに開始できるようになったという。
模擬プロジェクト演習の具体的な内容は、想定した架空の顧客企業におけるS/4HANA導入プロジェクトを、実際の導入の流れに沿ってロールプレイしていくというものだ。3カ月の研修期間中、およそ2カ月をこの演習に充てて、本格的な実践演習を行う。
また、ほか2つのコースではそれぞれ、SAPコンサルとして複数のモジュールを担当できる(モジュール拡張コース、2カ月間)、SAP独自のコンセプトや方法論を理解したうえで業務を遂行できる(PM/営業/管理者コース、1カ月間)人材の育成を目標としている。
スタートからの2年間で、SAPトレーニングプログラムの修了者は約100名に達している。IT知識やIT業務経験のない管理業務経験者、公認会計士、新卒採用者も参加しているが、こうしたSAP未経験者でもプロジェクトタスクや専門用語の理解を深め、その後のOJTや現場業務を効率的に進められているという。
なお、同トレーニングプログラムの研修や演習は基本的に全日にわたって行われるため、受講期間中はほとんど通常業務を行うことができない。NTTデータGSLでは、通常業務を行いながら参加できる経験者向けコースの開設も検討しているという。また、顧客企業からもSAP管理者育成についての問い合わせなどがあることから、グループ外の企業へのトレーニング提供も検討していく方針だ。
