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パナ、ベトナムに本気 工場強化で“ダントツシェア”獲得へ

2025年01月22日 09時30分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集●ASCII

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 1918年に松下幸之助氏が創業したパナソニックグループは、世界各地で暮らしに根ざした事業を展開し、売上規模8.5兆円弱を誇る巨大企業へと成長してきた。その中核を担うパナソニック(約3.5兆円)一部門であるエレクトリックワークス社(以下、EW社)は、配線器具や照明器具、ブレーカーなどの電設資材を軸に、海外でも積極的にビジネスを拡大している。

 EW社 電材&暮らしエネルギー事業部の松本亮氏は、2025年1月21日にベトナム現地で開かれたメディア向け説明会で、ベトナム事業のさらなる強化を表明。EW社の海外連結会社として、インド、トルコに並ぶ重要拠点であるパナソニックエレクトリックワークスベトナム(PEWVN)に大きな期待を寄せる。

 同社は社長である坂部正司氏の下、1994年に配線器具の輸入販売を開始して以来、2013年に現地法人として正式に設立。翌2014年には自社工場を稼働させ、高品質かつ適正価格、そして安定供給を実現してベトナム国内でトップシェアを築いてきた。現在ホーチミン近郊に2つの工場を構え、うちブレーカーや配線器具を製造するECM工場が最も大きな拠点となっている。

 工場長の内藤吉洋氏によると、これまで月産900万台だった配線器具の生産能力は、新建屋の稼働によって、1.8倍の1600万台にまで拡張が可能になる。自動化や内製化を推進しながらベトナム人スタッフの技能向上にも力を入れ、品質を落とさず低コストを実現する体制づくりを急いでいるという。

 同社が掲げる目標は、2030年までに電設資材分野で売上規模を1.6倍に高め、シェア70〜80%を獲得することだ。すでに配線器具やブレーカー、さらに天井扇や換気扇などの室内空気質デバイスでも首位を獲得しているが、さらなる市場拡大を見据えて、IoTや集合住宅向け商材など新商品開発にも注力していく方針だ。

 販売面でも全国57省・6直轄市をカバーする物流網を構築し、1日での納品を実現。今後は体制強化により、ベトナム国内のみならず、カンボジアやラオスなどの周辺国への輸出も拡大する見込みだ。フィリピンでは中国メーカーがシェアを伸ばし、同社のシェアは3位に転落しており、アジアでの規模拡大は急務となる。

 パナソニックエレクトリックワークスベトナムは2024年に、現地事業開始から30周年を迎えた。現地と日本のチームが一丸となり、ベトナム国内での“ダントツシェア”(坂部氏)を目指して、さらなる飛躍を狙う。

 

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