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山谷剛史の「アジアIT小話」 第212回

中国でも大人気のいらすとや 人気になった理由と中国流スタンプ文化

2025年01月13日 10時00分更新

文● 山谷剛史 編集● ASCII

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中国でも人気になっている「いらすとや」
WeChatでのスタンプとして広く活用されている

 日本では言わずもがなの人気の「いらすとや」。そして、XなどのSNSでは、世界各地でいらすとやのイラストが使われている! という報告が見られる。

いらすとや

中国ではいらすとやは自虐的な活用をされることが多い

 実は中国でもいらすとやが人気で、いろいろな呼び方はあるが「日本小人」で検索すると出てくる。ただし、使われ方が他国とは少々異なり、SNS上でのフリー素材というよりはスタンプとして「微信(WeChat)」上で使われているのをよく見る(なお、WeChatではステッカーと呼ばれるが便宜上スタンプと呼ぶ)。

 スタンプで使われるということは、絵に加えて心情や煽りやネットミームなどのさまざまな文言がイラストに付く。

いらすとや

中国以外でもいらすとやのイラストは見かけるが、中国はひと味違う

WeChatではユーザーがスタンプを自由に作れる
いらすとやは中国でもオフィシャルな展開をしている

 WeChatとLINEは、知らない人には似たようなものと考える人もいるかもしれない。WeChatはさまざな新機能を導入しポータル的なアプリになっているが、対個人でのやりとりにおけるLINEとの最大の違いはスタンプ(ステッカー、中国語で「表情包」)をユーザー自身で作って無料で追加できるという点がある。

いらすとや

WeChat上でスタンプとして活用されるいらすとや

 WeChatでの会話ウィンドウにある、顔文字と並んだハートをタップするとカスタムステッカー一覧が表示されていて、そこに画像ファイルを加えられる。静止画や動画GIFのファイルを読み込めばよく、スマホはもちろん、タブレットやPCからでも相手に送りつけるということができる。

 そしてここが大事な点だが、現在はいらすとやのイラストのすべてが必ずしも制作元の手を離れた形で、勝手に使われたり、金儲けの道具にされているわけではない。中国での展開に関しては厦門起重集という企業が担当している(と、いらすとやのページでの記載もある)。正式名称は「irasutoya」だが、「日本小人」あるいは「日本小人表情包」のほうが引っかかりやすい。

 若者向けサブカルポータルの「ビリビリ」や、中国版インスタと言われ、比較的所得が高くトレンド情報が多く飛び交う「小紅書(RED)」、企業が広報に使うことも多いショートブログの「微博(Weibo)」に「irasutoya」のアカウントがあり、2024年9月からはいらすとやのコンテンツをメッセージ付き画像メインで発信している。

 フォロワー数は執筆時点でビリビリが6600、Weiboが9600、REDは14万3800なので、どちらかというと所得が高く、トレンドへのアンテナを立てている女性を中心に、オフィシャルないらすとやスタンプが受け入れられていると考えられる。

いらすとや

Weiboには公式アカウントも開設されている

 ただ、9月のオフィシャル情報発信以前からすでに相当人気で、さまざまな画像がスタンプで流れていたし、さらにその人気から、「淘宝(Taobao)」などのECサイトを見ると、いらすとやのイラストを使ったキーホルダーやシールまで(勝手に?)販売されていて、「日本小人」で検索するといろいろ確認できる。

いらすとや

いらすとやのイラストが中国で商品化されている

 いらすとやは基本的に取材を「お断わりをしている」とオフィシャルサイトで書かれており、また厦門起重集についても取材のメールを申し込んだが反応はなかった。ただ厦門起重集は、中国の「Chinajoy」など各種イベントで、中国国内外のスタンプ系IPの版権ビジネスを勧めているため、実績がある企業と言える。中国でのいらすとや人気は相当なのでうまく活用してほしいと思う。

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