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「QuTS hero」はランサムウェア対策、安価なSSD/大容量HDDの導入など、中小企業オフィスでも役立つ

NASのデータ保護強化におすすめ! QNAPのハイエンドOSが中小企業向けモデルにも対応

2024年12月06日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: QNAP(販売代理店:ユニスター)

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高機能なNAS OS「QuTS hero」が、中小企業/部門導入向けのミドルレンジNASでも使えるようになった

 ハードウェア/ソフトウェアの開発から製造までを一貫して自社で行い、高い品質のNAS製品をグローバルに提供することで知られるQNAP(キューナップ)。エンタープライズ(大企業)向けから中小企業/部門向け、SOHO/ホームユース向けまで、規模や用途に応じた幅広いラインアップを持つのが特徴だ。

 QNAPではこれまで、エンタープライズ向け/ハイエンド向けのNASにおいて、高度な機能を備えるNAS専用OS「QuTS hero(キューティーエス・ヒーロー)」を採用してきた。このQuTS heroが、今年(2024年)10月のアップデートによって、新たに中小企業向けのミドルレンジモデルNASにも対応した。

 QuTS heroの備える機能によって、たとえば「ランサムウェア対策の強化」「安価な高速SSD/大容量HDDの導入」が手軽にできるようになる。この記事では特に「重要なビジネスデータの保護」という側面にフォーカスして、QuTS heroとQNAP企業向けNASの特徴、メリットをご紹介しよう。

ハイエンドOS「QuTS hero」が企業向けミドルレンジNASにも対応

 QuTS hero(バージョンh5.2.1以降)が新たに対応したのは、「TS-X64シリーズ」や「X53Eシリーズ」といった、中小オフィス向けのデスクトップ設置型NASシリーズである。

「TS-X64シリーズ」(TS-464)、「X53Eシリーズ」(TS-453E)の本体

 TS-X64シリーズは、クアッドコアCPUや2.5ギガビットEthernet(2.5GbE)ポート×2を搭載した、汎用的なミドルレンジNASだ。PCIe拡張スロットを備え、たとえば10GbEへのアップグレードも可能である。2/4/6ベイ(TS-264/464/664)の3モデルをラインアップしており、利用する規模や用途に応じて選択できる。

 X53Eシリーズは、2029年まで同じハードウェア仕様で販売することを保証した長期供給モデルだ。こちらも、クアッドコアCPUや2.5GbEポート×2を搭載したミドルレンジNASである。汎用的なNAS用途に加え、4K HDMI出力ポート×2も内蔵しているため、IPカメラと組み合わせてシンプルなビデオ監視システムが構築できる。2/4ベイ(TS-253E/453E)の2モデルをラインアップしている。

 両シリーズとも、工場出荷状態ではOSとして「QTS」がインストールされている。これをQuTS heroに入れ替えて※注無料でアップグレードすることで、より高度なデータ保護機能が使えるようになる。なおQuTS heroに乗り換えても、セットアップ画面や管理画面はQTSと同じデザインなので、これまでQTSを使い続けてきたユーザーでも戸惑うことはないだろう。

※注:QTSの初期セットアップ作業(スマートインストレーション)の中で、ダウンロードしたQuTS heroのファームウェアを上書きインストールすればよい。ただし、すでにQTSで使用中のNASは、いったん「NASの再初期化」を行う必要があり、ドライブ上の全データが消去されるので注意してほしい。

QuTS heroのスマートインストレーション画面

QuTS heroのWeb管理画面。デザインはQTSと同じだ

 なお、QuTS heroを動作させるためのメモリ容量は、最小で8GB、推奨は16GB以上となっている。メモリが不足すると処理パフォーマンスが低下するので、TS-X64シリーズ、X53Eシリーズとも最大限(16GB)までメモリを増設することをお勧めする。

 また両シリーズとも、SATA HDD/SSD向けのドライブベイとは別に、M.2 SSDスロット×2を内蔵している。ここにSSDを増設すれば、NASの読み取り/過去込みスピードを向上させる「SSDキャッシュ機能」が利用できる。とくにNASを多数のユーザーで共用する場合、SSDキャッシュによる効果は大きいはずだ。QuTS heroの導入に合わせて、M.2 SSDの増設もぜひ検討してほしい。

M.2 SSDスロット×2を内蔵している(写真はTS-453Eの内部)

SSDキャッシュの設定も簡単にできる。なお大容量のSSDであれば、RAIDドライブとして使うこともできる

QuTS heroがもたらすメリット、特徴的な機能

 さて、ミドルレンジNASのOSをQuTS heroにアップグレードすることで、どのような点が強化されるのか。ここでは“ビジネス用途のNAS”という視点から、もたらされるメリットと特徴的な機能を見てみたい。

 まずは「信頼性」だ。重要なビジネスデータを保管するNASである以上、何よりも重視すべきなのは“書き込んだデータが壊れることなく、いつでも確実に読み取れる”信頼性である。

 QuTS heroは、ファイルシステムに「ZFS」を採用しているのが大きな特徴だ。信頼性を重視して設計/開発されたZFSは、一部のデータブロックが損傷しても自己修復する機能、停電や電源障害が突然発生してもデータの整合性が壊れない(確実に読み取れる)コピーオンライト機能などを備えている。簡単に言えば、ユーザーが特別な設定や操作をすることなく“自然に信頼性が高まる”わけだ。

 また、大規模な自然災害などからデータを保護するためには、リモート拠点やクラウドへのバックアップが有効である。QuTS heroで使える無償バックアップツール「Hybrid Backup Sync」は、ローカル/リモート/クラウドへのバックアップをまとめて管理できる。さらに、データの重複排除と暗号化の機能(QuDedup)も備えているため、データ量を減らした最適な状態でバックアップ先に転送することができ、効率的だ。

バックアップジョブはGUIウィザード形式で簡単に設定できる。バックアップ先は、ローカルNAS、リモートNAS、クラウドなど豊富に用意されている

 続いて「回復性」である。長年にわたってNASを運用していると、いつかは必ず障害や故障が発生する。そのため、ビジネス用途のNASでは、障害発生からいち早く健全な状態に戻し、ビジネスを継続させる回復性を持つことが欠かせない。

 回復性を高める機能の一例として、QuTS heroには独自の「RAIDドライブ自動交換機能」がある。これは、一般的なNASのようにドライブ障害が発生してから交換とRAID再構築(リビルド)処理を行うのではなく、障害発生前に(ドライブの健全性が低下してきた段階で)自動的にデータをスペアドライブに移行し、切り替える機能だ。つまり、RAID再構築の処理がなくなるので、その間のデータ損失リスク上昇やパフォーマンス劣化も回避できる。

 現在では「セキュリティ」も欠かせない要件だろう。QuTS heroでも、暗号化ボリュームの作成、自己暗号化ドライブ(SED)への対応、アンチウイルス/マルウェアツール提供、さまざまなアクセス制限といった豊富なセキュリティ機能を備えている。

 こうしたセキュリティ機能は、日本語のGUI画面から簡単な設定をするだけで使える。ただし、豊富に用意された機能をそれぞれ適切に設定しなければならず、管理の手間がかかることが心配になるかもしれない。

 そこで、QuTS heroでは「セキュリティセンター」というチェックツールを用意している。求めるセキュリティポリシーのレベル(初級/中級/上級)に応じて、適切なセキュリティ設定が行われているかどうかをチェックしてくれる、便利なツールだ。チェック結果のアドバイスに従って設定を行えば、確実にセキュリティレベルを向上させることができる。

「セキュリティセンター」でセキュリティ設定のチェックを実行した画面。リスクの内容が明示されている。「設定アシスタント」を実行すれば、よりセキュアな設定に変更してくれる

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