連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第151回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月14日~9月20日
“デジタルネイティブ企業”がクラウドコストより重視すること、人事担当と管理職の「やりがい」トップは、ほか
2024年09月24日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2024年9月14日~9月20日)は、大きく伸びる日程(スケジュール)調整市場、テクノロジー採用に積極的なデジタルネイティブ企業のクラウドベンダー選定、クラウドプラットフォームのハイプ・サイクル、マネジメントに対する人事担当と管理職の悩みとやりがい、についてのデータを紹介します。
[生産性]スケジュール調整市場は前年度比24%成長、オフィス回帰の後も需要は大きい(アイ・ティ・アール、9月19日)
・2023年度の国内日程(スケジュール)調整市場は12億1000万円に
・2024年度も成長トレンドは継続、前年度比25%増を予測
・コロナ禍で市場の認知が進み「コラボレーションを支える基盤」として需要拡大
複数の関係者が時間、場所、手段を効率的に決定できる日程(スケジュール)調整ツールについて、国内の市場規模推移および予測を調べた。コロナ禍を通じて認知と導入が進み、ユーザーの獲得が進んだ結果、2023年度は12億1000万円を売り上げた。ベンダー上位2社の貢献が大きいという。同市場のCAGR(2023~2028年度)は20.1%、2027年度には2023年度のおよそ2倍になると予想している。
[クラウド]「デジタルネイティブ企業」の9割がクラウドのコストよりセキュリティを重視(アカマイ・テクノロジーズ、9月13日)
・DNBはクラウドベンダー選定で性能、拡張性、コストよりセキュリティを重視
・クラウドセキュリティ対策のトップは「APIセキュリティ」
・75%が「クラウドの性能と機能における最大のギャップは『セキュリティ』」
テクノロジー導入を積極的に推進する企業を「デジタルネイティブ企業(DNB)」と定義し、アジア圏のDNBの実態を調査した調査より。DNBは「API」「クラウドベースのインフラ」を広範囲で利用しており、その結果としてサイバー攻撃の標的になっている。そのため、クラウドセキュリティ対策の最優先事項は「APIのセキュリティ」であり、9割のDNBがクラウドベンダー、セキュリティベンダーの評価ポイントとして「セキュリティ」を見ている。特にクラウドベンダーの選定においては、87%が「パフォーマンス、評判、スケーラビリティ、コストよりもセキュリティ機能を重視する」と回答している。
[クラウド][インフラ]可観測性などが「過度な期待」のピーク期に、クラウド・プラットフォームのハイプ・サイクル(ガートナージャパン、9月18日)
・過度な期待のピーク期には「可観測性(オブザーバビリティ)」「インフラ自動化」「メインフレーム・トランスフォーメーション」など
・「分散クラウド」「LLMプラットフォーム・サービス」などは黎明期
・幻滅期には「マルチクラウド」「DevOps」「コンテナ管理/Kubernetes」など
「日本におけるクラウド・プラットフォームのハイプ・サイクル:2024年」より。クラウドを前提としたプラットフォーム戦略に関わる37のテクノロジーやトレンドを取り上げた。これから期待のピークに向かい黎明期のテクノロジーとして、「分散クラウド」に並んで「メインフレーム・トランスフォーメーション」「Newオンプレミス」が位置付けられており、ITインフラの刷新と新技術の受け入れの両方が進んでいることが伺える。
[人事]人事は「次世代管理職が育っていない」、管理職は「メンバーのやる気アップ」で悩む(リクルートマネジメントソリューションズ、9月20日)
・企業における組織課題のトップは「次世代の経営を担う人材が育っていない」
・管理層が難しいこと/時間を使っていることは共に「メンバーのやる気アップ」
・管理職のやりがいは「メンバーが成果を上げた」「成長した」「生き生きと仕事をしている」
企業の人事担当150人、管理職層150人に、マネジメント業務について調査を実施。人事担当に会社の組織課題について聞いたところ、「次世代の経営を担う人材が育っていない」「ミドルマネジメント層の負担が過重」が多く上がった。管理職の負担の軽減では「ITツールの導入」「プロセスの見直しと改善」などが多く挙がった。
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