画像生成AI「Stable Diffusion」開発者たちが突然発表した新モデル「FLUX.1」、これが楽しすぎてはまりこんでいます。私の本業はゲーム会社。出展を予定している東京ゲームショウまで1ヵ月で、やらないといけないことが山積みなのに、FLUX.1が面白すぎて魅力に抗えません。
わずか30分の学習で画風が安定
FLUX.1が決定的に変えてきそうなのはLoRAです。LoRAは学習済みのウェイトモデルを利用することで、少ない枚数であっても学習ができるということで、画像生成AIの分野では広く普及している手法です。FLUX.1は、Stable Diffusionで使われてきたLoRAの方法論を動かすことができることがわかっています。
そのため、FLUX.1のリリース後、ユーザーコミュニティーでさっそくLoRAの環境の整備が始まり、何ができるのかを試すフェーズに入っています。これまでの「Stable Diffusion XL(SDXL)」用のLoRAは20~30枚程度を学習させるのに5~6時間は学習させないと効果がなかなか上がりませんでしたが、FLUX.1では学習時間が30分程度と比較的短めでも、十分に効果が出るデータを作成できるところに特徴があります。
私の方でも、この連載の作例でおなじみの「明日来子さん」でLoRAを作ってみました。そのLoRAを使い、FLUX.1 Devで生成してみたところ、少しハーフっぽい顔つきに特徴がある明日来子さんを見事に生成できるようになりました。
生成環境は、画像生成アプリ「Stable Diffusion WebUI Forge」。LoRAや、サイズを縮小してVRAMの使用量を減らした量子化モデル(NF4モデル)が動くようになったので、Forgeを使っています。
AIツール開発者のIllyasviel(イリヤスフィール)さんが「A1111ではFLUX.1を動かすための環境に足りない部分がある」と、互換性を捨ててForgeにガシガシと更新をかけていて、独自の環境を発展させています。既存のStable Diffusion XLと同様の動作をしない部分があることを理解したうえで使用する必要がありますが、今までと変わらないような使い方ができます。
もちろん、積極的に対応アップデートを続けているComfyUIでもFLUX.1用のLoRAはすでにサポートされているため、対応のワークフロー(Workflow)と拡張機能を導入すれば問題なく動きます。
この連載の記事
-
第80回
AI
ゲーム開発はAI活用が当たり前になりつつあるが、面白さを作り出すのは人間の仕事 -
第79回
AI
AIが考える“アイドル”がリアルすぎた グーグル「Imagen 3」なぜ高品質? -
第78回
AI
話題の画像生成AI「FLUX.1」 人気サービス「Midjourney」との違いは -
第76回
AI
「Stable Diffusion」の失敗に学び、画像生成AIの勢力図を塗り変える「FLUX.1」 -
第75回
AI
商業漫画にAIが使われるようになってきた -
第74回
AI
AIバブル崩壊をめぐって -
第73回
AI
AIは著作物の「フェアユース」と言えるのか 音楽業界vs.AIミュージック -
第72回
AI
人が絵を描く“工程”をAIで再現 タイムラプス風動画が炎上した「Paints-Undo」 -
第71回
AI
危機的状況の画像生成AI「Stable Diffusion 3」立て直しへ -
第70回
AI
イラストのペン入れと色塗り、AI使えばわずか1分 - この連載の一覧へ