ドイツ・ベルリンでは9月1日から5日まで世界規模によるエレクトロニクスのイベント「IFA 2023」が開催されました。IFAに合わせて毎年、オーディオに関連する最新製品も数多く発表されます。IFAの出展を振り返りながら、2023年の後半から来年にかけて注目を集めそうなオーディオのトレンドを考察してみます。
HomePodの対抗馬! JBLからレトロデザインの
ドルビーアトモス対応スピーカー
IFAではドルビーアトモス再生に単体で対応するワイヤレススピーカー、ワイヤレスイヤホンの発表がありました。
JBLは、毛色の違う2種類のワイヤレススピーカーをドルビーアトモス対応の新製品として発表しました。ひとつがレトロなデザインに最新のワイヤレスオーディオ技術を詰め込んだ、Wi-Fi/Bluetooth対応のポータブルスピーカー「JBL Authentics(オーセンティック)」シリーズです。
1970年代にJBLが発売して人気を博したHi-Fiスピーカー「JBL L100」の意匠を模して、中味は最新鋭のオーディオ技術を惜しみなく投入した“Newstalgia”(ニュースタルジア=新しい+ノスタルジアの造語)コンセプトが特徴です。
シリーズには最上位の500のほか、トップに持ち手として機能するハンドルを付けた300、エントリーモデルの200があります。欧州では9月15日から発売を予定していますが、日本導入は未定です。
この中でトップエンドのJBL Authentics 500が、単体でのドルビーアトモスによるイマーシブオーディオ再生に対応します。音楽配信サービスをWi-Fiで受けて、イマーシブオーディオで楽しむことを目的としています。日本ではサービスがないTIDALにあるドルビーアトモスコンテンツの対応からスタートして、来年までにはソフトウェアアップデートによりApple MusicやAmazon Musicの同じドルビーアトモスコンテンツの再生をサポートします。
本体に内蔵するスピーカーは3.1チャンネル構成。2基のトゥイーターを正面斜め向きに配置したことで、広がり豊かな音場を生成します。JBLを取り扱うハーマンインターナショナルが、IFAの期間中に開催したプライベートイベントにはドルビー・ラボラトリーズの責任者も出席して、JBLとドルビーが密に連携してJBL初のドルビーアトモス対応スピーカーを音づくりから練ってきたことを明かしました。
筆者はイベント会場で短時間ですが、本機を試聴しました。リビングルームに溶け込むデザインとバランスが良く聴き疲れしにくいサウンドが、特徴です。アップルのHomePodやアマゾンのEcho Studioよりもサイズは横幅が大きめですが、見た目には違和感なく部屋に馴染みそう。ドルビーアトモス再生に変な誇張感がないので、本機を「置いた場所がコンサートホールになる」というJBLのうたい文句にも納得が行きます。
もうひとつのドルビーアトモス対応スピーカーは、パーティチューンの銘機「PartyBox」シリーズの最上位モデルである「JBL PartyBox Ultimate」です。こちらは重心が低く、懐の深い立体音響再生を得意としています。本体のサイズが大きいので、特に日本の一般家庭に置くことは難しいかもしれません。でも一方で音楽のイベント施設に、ドルビーアトモス再生の感動をもたらすスピーカーとして導入を検討するのはアリだと思います。

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