このページの本文へ

「グローバルの総力を結集して日本のDXに貢献」、2023年度は5つの事業方針を掲げる

米本社直轄となったServiceNow Japan、鈴木新社長が戦略を語る

2023年03月31日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ServiceNow Japanは2023年3月23日、日本市場における2023年度事業戦略の記者説明会を開催した。今年1月に執行役員社長に就任した鈴木正敏氏が登場し「主たるDXパートナーとしてお客様の変革に寄り添い、一緒に牽引したい」と語った。コミュニティやベンチャー、人材など、日本市場への投資準備も進めているという。

1月から米本社直轄組織になった日本へのさらなる注力姿勢を示した

1月5日付でServiceNow Japanの執行役員社長に就任した鈴木正敏氏。「今後5~10年で、日本のお客様に最も貢献できるソリューションテクノロジー領域だと確信した」ことがきっかけだったと述べた

日本市場への高い期待、日本法人が米国本社直轄組織に昇格

 ServiceNowは、2004年にITサービス管理(ITSM)ツールベンダーとして米国で創業。現在は「NowPlatform」をベースに、IT部門向け、従業員向け、カスタマー向けといった幅広いワークフロー、業務自動化ツールをSaaSとして展開する“プラットフォームカンパニー”を標榜している。

 「ServiceNowはさまざまな業務をサポートすることが可能で、システム・オブ・エンゲージメント(SoE)領域ではすでにトッププレイヤーになっている。土台のNowPlatformは単一プラットフォーム、単一データモデル、単一アーキテクチャであり、ここが大きな優位性になっている」(鈴木氏)

統合基盤である「NowPlatform」上でさまざまなワークフローサービスを展開している

 直近会計年度の売上額は72億4500万ドルで、サブスク売り上げは2017~2022年の6年間、年平均32%増で成長している。顧客数は7700社以上で、契約更新率は98%を誇る。現在ではITSM以外の製品が新規売上の40%を占める。

ServiceNowの最新業績(グローバル)

 日本には2013年に拠点を設立し、現在ではサービスを提供するデータセンターも東京と大阪に設置している。日本でもグローバルと同様のペースで成長しており、NTTドコモ、富士通、UCC上島珈琲といった大手企業をはじめとする多数の国内顧客を抱える。

 鈴木氏は、日本におけるビジネスの現況として、日本でもITSMだけでなくEXやCXの領域に利用の幅が広がっていること、“DXの柱”としてServiceNowを導入する企業が増えていること、幅広い業種/業態で新規顧客を獲得できていることなどを紹介した。

 昨年度の重要な取り組みとしては、AIを活用したレコメンドなどの機能でDXを推進する新サービス「ServiceNow Impact」の投入のほか、ブランディングの強化、ServiceNowコミュニティの拡大などを挙げる。

 ServiceNowでは今年1月、それまでアジアリージョン配下だった日本のビジネスを米国本社直轄に昇格させた。日本は米国に次ぐ規模のソフトウェア市場(市場全体の4%)を持ち、「Forbes Global 2000」のうち215社を日本企業が占めるなど、今後の市場成長機会も考えたうえでの決定だという。

 鈴木氏は「これは日本市場に対する会社としてのコミットの表れだ」と述べたうえで、今後の事業運営において本社との連携が取りやすくなり、日本の顧客やパートナーの声を本社や開発部門に直接共有することで、日本市場にさらなる貢献ができると期待を寄せる。

米ServiceNowのCEO、ビル・マクダーモット(Bill McDermott)氏がビデオメッセージで登場。「日本においてServiceNowは比類なきレベルの機会がある」「2023年は記録的な1年となるよう本腰を入れる」と語った

 日本市場には10億ドルのビジネス価値があると鈴木氏は見ている。「お客様がServiceNowを活用してビジネス価値を享受いただけるチャンスがある。われわれが貢献できる余地は大きく、戦略的な協業をすることで、その可能性をリアルにしていく」と抱負を述べる。

 今回、グローバルの新たな施策として紹介されたのが「ServiceNow Ecosystem Ventures」だ。これはパートナーエコシステムの成長促進を目的とした取り組みで、詳細は今年5月のグローバルイベント「Knowledge 2023」で発表されるが、アライアンスパートナーとの共同市場戦略、2万人弱のエンジニア育成などが含まれるという。ここでも、最重要投資先の1つとして日本市場にフォーカスしている。

日本法人としては「インダストリー拡大」など5つの取り組み

 ServiceNow Japanとしての、2023年の事業方針も説明した。ここでは「インダストリービジネスの拡大」「プラットフォームカンパニーへの進化」「パートナーエコシステムの強化拡大」「ビジネス効果を最大化する提案」「新規顧客獲得」という大きく5つの取り組みを掲げる。

ServiceNow Japanの2023年度事業方針

 中でも数年前から取り組んでいるインダストリービジネスについては、提供済みの通信/サービスプロバイダーに加えて、今後3年で製造業、金融サービス、公共事業でも提供を始めるとした。

 またプラットフォームカンパニーへの進化では、ITSMを超えてテクノロジー領域や従業員向け、カスタマー向けのサービスをより拡大させる。ここでは、パートナーと得意領域を持ち寄った形でソリューション提供も進めていくという。

インダストリービジネス、プラットフォームカンパニーの取り組み

 重点投資先としては「コミュニティ」を挙げる。ServiceNow Japanが独自に展開するCxO向け招待制コミュニティ「CxO Club」をより充実させるほか、ユーザーグループの「SNUG2」やデベロッパーコミュニティも強化していく。大学など教育機関と連携したデジタル人材の育成も進める方針だ。

 そのほか、先述したServiceNow Ecosystem Venturesを通じたベンチャーエコシステムへの投資、パートナーとのソリューション共創、ServiceNowスキル人材育成などへの投資を予定していると語った。人材については日本市場での採用を継続的に行い、日本に根ざした社員の能力開発、キャリア支援を行う。

 締めくくりの言葉として鈴木氏は、「ServiceNowのグローバルの総力を結集して、日本市場への投資を拡大・加速し、お客様の主たるDXパートナーとして日本のデジタル化に貢献する」と、今後への思いを語った。

■関連サイト

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ