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落語家の春風亭一之輔氏によるビジネスウォーズの新作を配信

Amazon Musicのポッドキャスト制作スタジオ「Wondery」が日本でも本格始動

2023年03月22日 06時00分更新

文● ASCII

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 Amazonは3月22日、Amazon MusicのPodcast制作スタジオ「Wondery」の国内展開を開始、同スタジオの代表的なシリーズである「BUSINESS WARS」の日本語版となる「ビジネスウォーズ:ファストファッション戦争」の配信を開始した。

 Wonderyは2016年設立の制作スタジオで、ハリウッドが本拠地。2020年にAmazonが買収し、2021年からAmazon MusicのPodcast制作スタジオとなった。人物描写を重視した魅力的なストーリーテリングで知られ「Dr.Deth」(死の医師)、「British Scandal」、「Even the Rich」、「BUSINESS WARS」といった人気コンテンツを過去に制作している。また、音声配信の枠を超えた書籍化、映像化などメディアミックス展開にも積極的だ。書籍については「The Art of Business of War」(ビジネスの兵法ー孫氏に学ぶ経営の神髄)、映像についてはApple TV+で配信中の「The Shrink Next Doo」「WeCrashed」などがある。また、Amazonは2021年にPodcastのホスティングや収益化事業を展開するART19を買収しており、Amazon Music、Wondery、ART19の3者のシナジーでPodcast事業を積極的に展開している。

 国内においては、NHK出身で「プロフェッショナル仕事の流儀」や「クローズアップ現代」などドキュメンタリー番組を制作してきた柴田修平氏が2022年9月からHead of JP Podcast Contentに着任しており、Wondery|Amazon MusicのPodcast番組制作を統括している。

 新たに配信となった「ビジネスウォーズ:ファストファッション戦争」(全5話)は、落語家の春風亭一之輔氏の語りによるPodcast番組。Zara、H&M、Topshop、Forever21というファストファッションの4つの巨人にフォーカスを当て、その対決を描くコンテンツだ。大量生産、大量消費されるファストファッション業界の光と影に迫る。

 原作(脚本)はエリン・コンリー氏による英語となっているが、これを日本語に翻訳している。制作はニッポン放送とWonderyだ。なお、ビジネスウォーズの日本語配信自体はニッポン放送の制作で2020年の9月から始まっており、任天堂対ソニーから始まり、2021年11月の第4弾まで配信済みだ。

 今後の予定として、4月19日から配信が始まる「ビジネスウォーズ:トヨタ vs ホンダ」(全4話)も控えている。

落語とは違った挑戦があったと語る

 東京・渋谷のAmazon Music Studio Tokyoで開催された発表会には一之輔さんが柴田氏とともに登場し、制作の裏側についてコメントした。

 「収録に当たっては台本を事前に読んでおくが、家族からは落語に臨むよりもはるかに険しい表情をしており過酷な仕事に行くのだと家族からいたわりを受けた。専門外の仕事であったが、高校3年生になる長男も任天堂対ソニーのエピソードを興味深く聞いており、親の威厳を保たせてくれている。親の威厳が下がる笑点とは対照的(笑)」

 「コロナ禍で仕事が減っているタイミングに、暇そうですねとオファーを受けた。ニッポン放送で“あなたとハッピー!”という番組をやっていてそれが縁になった。ひとりしゃべりなので落語家がいいだろうと。ニッポン放送で番組を持っている落語家は二人いるが、昇太は活舌が悪い。消去法で選ばれた」など、ユーモアを交えてコメント。

 一方で、落語とは勝手が違う仕事として挑戦もあったようだ。

 「声ひとつで人間関係をどう表すかとか、物理的にどういう距離感で話しているかを意識して読んでいる。落語は(人の言葉を)目線、声のトーン、高さなどで表現する。また、会話が中心でだらっとしゃべったり語尾が消えたりもする。原稿通り一言一句ちゃんと喋りながら生きた言葉にする。これは非常に疲れる仕事だった」と語った。

 収録は小分けにし、1話当たり2時間程度の時間がかかるそうだが、「ニッポン放送での収録は4時間ぶっ通しでやったりもする。大変」とも話していた。

 一方、柴田氏はは「日本語版の台本については、自然に理解できるようにするための難しさがある」と話す。冗長にならず、主語と述語が離れてしまって分かりにくいといった日本語と英語の性格の違いに配慮しつつ、なるべく簡潔な表現にするよう心掛けているそうだ。また、本田宗一郎氏のセリフは原文では英語をしゃべるビジネスマンという設定だが、日本ではがらっぱちな経営者というイメージが強いので、その方向に寄せるといった調整をしているという。本田宗一郎の声については、一之輔さんも、若いころと年を重ねた後で声色を変えるなど工夫もしているそうなので、興味を持った人はぜひ聞いてみてほしい。

 一之輔さんは「ビットコインについてはいまだによくわからないが、文字で読んで分からない仮想通貨も声に出すと理解しやすくなる」ともコメント。Podcastの特徴として「イヤホンを着けてすぐ聴けるので、隙間時間を無駄なく有意義に使え、気持ちをリラックスできる。耳だけで楽しむエンタメは人間の世界を豊かにすると思った」とした。そのうえで、ビジネスウォーズの内容は「勉強になり、エンターテインメントでもある。その世界を知らない、分からない人にこそ使ってほしいと思う」とトークを締めた。

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