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G-Master Hydro Z790 Extreme/D5をレビュー

13900K&RTX 4080のデュアル水冷PCが低温かつ低騒音でニクイ

2023年02月18日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトライッペイ

提供: サイコム

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CPUはPL1=160Wのサイコム独自設定

 さて、ここからはG-Master Hydro Z790 Extreme/D5のCPU性能と冷却能力のバランスをチェックしていこう。試用機材のCPUはCore i9-13900Kで、24コア/32スレッド(Pコア×8、Eコア×16)、ターボブースト時の最大クロックが5.8GHzに達するハイエンドモデルとなる。

Core i9-13900Kは24コア/32スレッド、最大ターボパワー253WというハイエンドCPUだ

 Core i9-13900Kは短時間の高負荷では最大電力の253W(最大ターボパワー=PL2)で動作するものの、長時間高負荷がかかる場合は125W(プロセッサーのベースパワー=PL1)に制限して電力効率を高める。

 ただし、この電力値はPCメーカー(あるいはマザーボードメーカー)によって設定が変更できるため、同じCPUでも機種によって性能が大きく変わってくる。わかりやすく言えば、安定した電力供給と十分な冷却能力があれば、より大電力……つまり、高クロックでの動作を長時間行えるという話だ。

 G-Master Hydro Z790 Extreme/D5の簡易水冷クーラーは360mmラジエーターを備え、冷却面での心配は少ない。つまり、高クロックな長時間動作に耐えられるだけのポテンシャルがあるはずだ。

 そこで、モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使って電力設定を確認してみると、PL1は125Wではなく、160Wに引き上げられていた。サイコムこのクーラーの高い冷却性能を知り尽くしているからこその設定だろう。

「PL1電力制限」という項目で、PL1=160Wになっていることを確認

 まずはこの設定でCPUの性能を確認してみよう。試したソフトは「CINEBENCH R23」。こちらはCGのレンダリング速度からCPU性能を測ってくれるベンチマークソフトで、結果は独自スコアーの「pts」という単位で表示する。このスコアーが高ければ高いほど、CPUの性能が高いということになる。

 テストはすべてのスレッドを動かす「Multi Coreテスト」と、1スレッドの性能を計測する「Single Core」の2つ。今回注目したい点は最大性能なので、Multi Coreテストの結果に注目していこう。なお、CINEBENCH R23はCPUに高負荷を長時間かけられるので、CPUクーラーの冷却能力が十分なのかどうなのかも検討できる。

CINEBENCH R23の結果(PL1=160Wの場合)

 スコアーはMulti Coreテストが34314ptsで、Single Coreテストが2273ptsだった。ほかのCPUレビュー記事を見たことがある人なら気づいたかもしれないが、実はこのスコアー、Core i9-13900K搭載PCの結果としては決して高くない。それもそのはずで、多くのレビュー記事ではPL1の設定を160Wではなく最大ターボパワーと同じ253W、もしくは無制限で検証していることが多いからだ。

 もちろん、CPUの最大性能を知りたいという純粋な検証としては正しい。ただし、CPUクーラーは強力なものを使うことが前提の条件だ。さらに言えば、騒音などはまったく気にせず、とにかく冷やして最大冷却時の最大性能を確認するテストになる。つまり、常用するにはあまり適さないという環境になる場合が多い。

 その点、サイコムのPL1=160Wという設定は、性能と静音性のバランスが絶妙で、より実践的な設定と言い換えてもいいだろう。ただし、CPUクーラーの動作モードはAUTOから性能重視のPWMに切り替えても、ほとんど動作音が変わらなかった点は少し気になった。

 不思議に思って、HWiNFO64 ProでCPUの温度を見たところ、どちらの設定でもCPU温度は65度前後で安定していた。つまり、ここまで温度が低ければ、PWMモードでもファンが高回転になることはなく、動作音はほぼ変わらないということになる。

 また、検証時期が冬場で室温が低く、CPUの温度が上がりにくいというところも影響していると思われる。しかし、CPU温度が65度前後であれば、PL1の電力設定をさらに高くしても余裕で動きそうだ。

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