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富士通、回路規模をおよそ1/10に低減する高効率な5Gマルチセクタアンテナ屋内基地局装置を開発

2023年01月30日 18時00分更新

文● ASCII

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 富士通は1月30日、回路規模をおよそ1/10に低減する高効率な5Gマルチセクタアンテナ屋内基地局装置を開発したと発表した。

 国立大学法人 横浜国立大学とNTTドコモ、日本電業工作と共同で、マルチセクタアンテナを実装した5Gマルチセクタアンテナ屋内基地局装置を開発。28GHz帯の電波を用いた通信の実証実験に成功したという。

 一般に高い周波数帯の電波は直進性が強く、減衰しやすいため、電波を広範囲に届けることが難しくなり、これまでは全方向へ電波を届ける4つ以上の基地局アンテナが必要だった。マルチセクタアンテナとは360度全方向の空間を複数(マルチ)のエリア(セクタ)に分け、ひとつのアンテナ筐体からそれぞれのエリア(セクタ)に対し、同時かつ独立に電波を送受信するアンテナ。

 本実証実験に用いたマルチセクタアンテナは特定の方向に強く電波を送受信できる指向性アンテナ素子を放射状に12素子配置したアンテナで、テレビ放送などで用いられる八木・宇田アンテナを高周波数帯に応用したもの。屋内を高い周波数帯の電波で全方向にエリア化するには、従来は多素子の平面アレーアンテナを複数用いる必要があり、付随する回路規模が増大し、消費電力や設置性において課題があった。実証実験では高いアンテナ利得を全方向に対して実現するマルチセクタアンテナと5Gで標準化されているビーム切り替え技術を組み合わせ、基地局装置の低消費電力・小型化を実現。

 本基地局装置のマルチセクタアンテナを天井に設置することで、従来より少ない基地局で高い周波数帯の電波を部屋の隅々まで届けることができ屋内の通信環境の改善に貢献するという。

 今後、本基地局装置を用いてさまざまな環境での実証検証を行ないながらアンテナ部分の回路実装を進め、低コストでのエリア構築が可能となる基地局装置の実用化を目指すという。

 また、本実証実験についてはドコモが2月2日からオンライン上で開催する「docomo Open House’23」にて紹介する。

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