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ブラックホール近傍のコロナの位置や形状を明らかに=理研など

2022年11月29日 06時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所や広島大学などの共同研究チームは、銀河系内にあるブラックホールと恒星の連星系「はくちょう座X-1(Cyg X-1)」の観測から、ブラックホール近傍から放射されるX線がわずかに偏光していることを発見。ブラックホール近傍にある高温のプラズマの位置と形状を明らかにした。

理化学研究所や広島大学などの共同研究チームは、銀河系内にあるブラックホールと恒星の連星系「はくちょう座X-1(Cyg X-1)」の観測から、ブラックホール近傍から放射されるX線がわずかに偏光していることを発見。ブラックホール近傍にある高温のプラズマの位置と形状を明らかにした。 ブラックホール連星系のブラックホールの周辺には、恒星からのガスがブラックホールの強い重力に引かれてできる渦巻き状の高温の「円盤」と、円盤よりも高温の「コロナ」と呼ばれるプラズマが存在する。さらに、ブラックホールに流れ込むガスの一部が、「ジェット」と呼ばれるプラズマ噴出流として、ブラックホール近傍から細く絞られて射出されている。 研究チームは今回、米航空宇宙局(NASA)とイタリア宇宙機関の共同プロジェクトであるX線偏光観測衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」を用いて、はくちょう座X-1を観測。同天体から放射されているX線が、ジェットの方向にわずかに偏光していることが分かった。研究チームによると、X線の偏りと強さから、コロナはジェットの方向には存在せず、円盤の両面を覆っているか、もしくは円盤の内縁とブラックホールとの間に位置していると考えられるという。 ブラックホール近傍の物質の位置関係は、従来のX線望遠鏡では遠すぎて分解できず、偏光を観測することで初めて明らかになった。今回の研究成果は、今後、ブラックホール近傍における強重力場下の物理の検証や、ブラックホールの自転速度の測定につながることが期待される。研究論文は、科学雑誌サイエンス(Science)オンライン版に2022年11月3日付けで掲載された

(中條)

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