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法人カード一体型支出管理「Staple」のクラウドキャストCEO 星川氏に聞く、バーチャルファーストな働き方の価値

新しい働き方実現のために、あえて「週1日だけ」オフィスを開ける理由

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 Dropboxを積極的に活用しながら新しい働き方を模索する「バーチャル・ファースト・アンバサダー企業」。日本でその1社に選ばれたのが、Fintechスタートアップのクラウドキャスト(Crowd Cast, Ltd.)だ。

 クラウドキャストではコロナ禍をきっかけにバーチャルファーストな働き方を本格化させたが、あえて「週1日だけ」オフィス出社日も設けている。“100%リモートワーク”を実践した結果、浮き彫りになった課題もあったためだ。本記事ではクラウドキャスト CEOの星川高志氏、マーケティング担当のビクトリア・シュピンドラー氏に、バーチャルファーストな働き方を目指す理由と実践の成果を聞く。聞き手はDropbox Japan 社長の梅田成二氏だ。

クラウドキャスト 創業者 兼 代表取締役CEOの星川高志氏(中央)、 ビジネス/マーケティング統括本部 マーケティング担当のビクトリア・シュピンドラー氏(左)、Dropbox Japan 代表取締役社長の梅田成二氏(右)

テクノロジーで課題を解消し「すべての働く人に、法人カードを。」

――(Dropbox 梅田氏)まず最初に、クラウドキャストさんがどんなビジネスを展開されているのか、簡単にご紹介いただけますか。

クラウドキャスト 星川氏:クラウドキャストは2011年に設立されたFintechスタートアップです。現在は「すべての働く人に、法人カードを。」というミッションを掲げて、これまでの法人カードにまつわるさまざまな課題を解消した「Staple(ステイプル)」というサービスを開発、提供しています。簡単に言えば、経費精算サービス一体型の法人カードですね。

クラウドキャストの「Staple(ステイプル)」は法人プリペイドカード一体型の支出管理サービス。決済だけでなく多彩なサービスを提供する(画像は同社Webサイト)

――「法人カード」というのは企業が社員に配って業務上必要な支払いに使う、いわゆるコーポーレートカードのことですよね。どんな課題があったのでしょうか。

星川氏:そもそも日本では法人カードの普及率がとても低いんです。アメリカでは企業従業員の80%程度が法人カードを持つのに対し、日本の場合、特に中小企業だと20%程度にとどまります。

 日本で普及率が低い理由は大きく2つあります。一つは「会社としての与信問題」。中小企業やスタートアップは実績がないため、これまでのクレジットカード会社の与信審査がなかなか通らない。もうひとつは「ガバナンスの問題」です。クレジットカードは決済データの反映に時間がかかり、経理部門からは何にお金を使ったのかが“ブラックボックス”でした。ガバナンスに不安があるため、一部の役職者にしか法人カードを持たせられなかったわけです。

――米国80%、日本は20%ですか。たしかに日本国内で法人カードを使っている人はあまり見ないな、というのが実感です。

星川氏:クラウドキャストでは、そうした課題をテクノロジーの力で解消することをミッションだと考えました。

 まず、与信の問題はプリペイド方式でクリアしました。交通系ICカードのように、従業員が持つカードに会社側から金額をチャージして、それで決済を行う仕組みです。出張や会食などの予定がある場合は、事前に申請してカードにチャージしてもらうわけです。またカード決済の機会が多い役職者向けには、オートチャージ機能も用意しています。もう一つのガバナンスの問題については、すべての決済データを会社側がリアルタイムに把握できるようにして、ガバナンスのコントロールが利くようにしました。

 こうした仕組みと機能を提供することで、カードの不正利用も起きづらくなり、まさに「すべての働く人に」法人カードを提供できるサービスが実現したのです。

Stapleで発行される法人カード(プリペイド)。カード年会費無料、VISAのタッチ決済に対応。物理カードに加えて、オンライン決済専用の「バーチャルカード」も提供している

――その仕組みなら安心して法人カードを持ってもらえますね。すごく面白いサービスです。

星川氏:日本の企業では、従業員がいったん立て替え払いを行って、それを月末に経費精算する方法が主流です。しかし経費精算の作業は面倒ですし、会社としてはガバナンス上の問題もあります。Stapleを使えば、こうした問題のある立て替え払いを「ゼロ」にできます。さらに、決済データを会社の会計システムやERPに連携できますから、従業員の経費精算作業もなくせます。

クラウドキャスト 星川氏

――そもそも、Stapleの発想はどこから生まれたんですか。

星川氏:開発を始めるときに考えたのは「これまでの法人向け製品は、管理側の人を中心に作られている」ということです。法人カードを一部の役職者にしか持たせないのも同様で、たしかに経理の人からすれば楽かもしれないけれど、一般の従業員は全然楽じゃない。これをエンドユーザー中心の視点で作り直してみたらどうなるか――。そういう発想からスタートしています。

 法人カードの世界は決済処理だけでなく、経費精算のワークフローであるとか、企業の会計システムなどとの接続までをカバーしなければなりません。法人カードの発行にとどまらず、そうしたエンドトゥエンドのスムーズなワークフローも含めて提供する、それがStapleの大きな特徴です。決済処理以外の部分はソフトウェアで独自の進化ができますから、ここがわれわれの競争優位になります。

――「エンドユーザー視点でサービスを考える」というのは、われわれDropboxとも共通するところですね。実際にはどんなお客さんがStapleを利用しているのでしょうか。

星川氏:中小企業やスタートアップを中心に、1000名規模の中堅企業まで幅広いお客様にご採用いただいています。

 Stapleの仕組みなら、正社員以外の従業員にも法人カードを発行することができる点もポイントですね。実際に、クラウドキャスト社内では業務委託の方にもStapleカードを渡していますし、面白いユースケースとしては介護現場のヘルパーさん、買い物を代行されるショッパーさんなどにも活用いただいています。フリーランスの方も多いこうした現場で、立て替え払いをするしかなかったものをStapleで変えられた。僕らも想定していなかったような新しい使い方が広がっているのを知ると、うれしいですね。

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