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ベータマックスからPS5まで! ソニー製品栄枯盛衰物語 第7回

高価で高性能な「Liberty」、この幅があれば生きていける「Pixy」憧れたソニーのコンポたち

2022年10月03日 12時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII

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カッコよさに憧れたコンポ

 システムコンポやミニコンポが、あんなにも欲しくて憧れだった1980年代。家電量販店でオーディオコーナーにひしめきあっていた、あの仰々しいオーディオシステムはどこに行っちゃったんでしょう?

 レコードプレーヤーやカセットデッキ、イコライザーやアンプ、スピーカーがひとまとめになったあの要塞のようなフォルムは僕たちを魅了してやまなかったのです。

 ソニー製システムコンポの歴史で忘れちゃいけないのが、「Liberty(リバティ)」です。初号機は1983年に登場した「Liberty V1」。時期を同じくして、世界初のCDプレーヤーとして発売された「CDP-101」もオプションで対応していました。CDやテープ、レコード、FMラジオといったソースを思いのままに操れる、まさに夢のようなシステムで、シルバー調で鋭角的な四角い筐体が積み上がり、フェザータッチのフラットパネルに、シートキースイッチという新しい操作性を導入するなど、当時で言うところの近未来感を醸し出していました。

CDP-101を組み込んだ「LibertyCD V1」

世界初のCDプレーヤーでオプションの「CDP-101」。当時の価格は16万8000円

 ラインナップはV1/V2/V3の3モデルが用意され、最上位モデルは基本システムだけで23万6000円と、当時としてはかなり高額だったのも憧れに繋がっていました。

 80年代も後半になると「レベッカ」を起用したCMのインパクトが強烈に残る「B・B Liberty」や「D・D Liberty」が登場しました。定番の黒いボディーのアンプやデッキ類が積み上がり、その両サイドにネットに覆われながらもスピーカーコーンが透けて見える巨大なスピーカーが鎮座。

 表示窓にみえるグライコ(グラフィックイコライザー)のデジタル波形は、もはや最先端を体現していたといっても過言ではありません。

 この頃はレコードプレーヤーがオプション扱いとなり、CDプレーヤーが標準装備に、ダブルカセットやチューナー、アンプを含めて「B・B Liberty」は9万9800円。上位モデルの「D・D Liberty」になると、15万6000円から23万8000円と高価になり、個々の性能が上がるだけでなく、181個もあるキー操作ができるなどマニアックさを極めます。

 中には、5枚のCDがセットできる「CDチェンジャート」や、レーザーディスクからCDVといった映像ディスクを再生できる「マルチ・ディスクプレイヤー」といったオプションを拡張できるモデルもありました。

 しかし、さらにエスカレートするのはソニーの今も昔もかわらないところ。サイドにウッドを採用したり、ソニーのハイファイオーディオで最上位モデルに与えられる称号“ESシリーズ”と同じGシャーシを採用する超付加価値モデル「E・E Liberty」も登場。「DAT」と組み合わせできるよ! と言われても、ソニーの極度なマニアな方々以外に誰が歓喜するのかわかりません。正直、オプションをフルフルで50万円オーバーと、高すぎて売れたのかどうかはちっともわかりません。

 このシステムコンポ、価格もさることながらそれはそれは大きくて場所をとります。そのあたりからしても、学生にはとても手がとどくような代物でもないし置き場所もありません。

 そこによりコンパクトかつ、リーズナブルになったミニミニコンポブームが到来します。

日本の住宅事情にマッチして人気が出たPixy

 1989年に、ミニミニコンポの初代モデルともいえる初代「Pixy(ピクシー)」の「MHC-P77」が登場。特徴はその小ささで、今まで主流だったシステムコンポの横幅サイズの約半分の幅225mmというコンパクトなボディー。キャッチコピーも「人間は、Pixyの幅があれば生きていける。」でした。

初代「Pixy(MHC-P77)」。本体幅を225mmで統一したことが画期的だった

 インテリアにマッチする、ダークグレーのシックなスウェード調のデザインに加えて、アンプやチューナー、CDプレーヤーといった4つのモジュールが独立して、好みにレイアウトできる自由さが魅力です。スピーカーは35W+35Wのハイパワータイプで、音量にあわせてしまりのある重低音を再現するD.B.F.B(Dynamic Bass Feedback)や、グラフィックイコライザーを搭載していました。

 1991年に発売された「Pixy」の上位モデル(MHC-P909/MHC-P707)では、アンプは高音用と低音用の2つにわかれた「バイアンプ」となっており、さらに高域専用スピーカーと低域専用スピーカーへと独立して配置することもできました。

 表示窓には、荒いドットではなくキメ細かい「フルドットディスプレイ」を採用して、文字やイコライザのみならず、アイコンも表示できました。DSP(デジタルシグナルプロセッサ)をいじって残響音を調整し、音場をおもいのままにコントロールできるのは、まさにイマドキだったのです。このDSPユニットには、ビデオセレクター機能も備えたため、ビデオデッキやLDプレーヤーなどと組み合わせることもできました。

 この頃、圧倒的に支持されたのが、ソニーの「Pixy」に加えて、パイオニアの「セルフィ」、ケンウッドの「アローラ」です。毎年発表される新製品、見かけない日はないくらいテレビで流れるCM。高校や大学の入学祝いや、誕生日のプレゼント、お年玉を貯めて何が欲しいかと言われれば、まさにミニミニコンポ一択だったのです。

 筆者の初ミニミニコンポデビューは、まさにPixy「MHC-P77」でした。確か、大学入学祝いで両親に買ってもらい、一人暮らしの狭い部屋にはぴったりのサイズでした。一緒に買ってもらった21型のソニーのトリニトロンテレビは、予算の都合でステレオスピーカーではなくモノラルスピーカーのモデルだったため、ゲームをプレイするには音声が物足りなかったのを覚えています。

 そこで、メガドライブやスーパーファミコンの音声出力を「Pixy」に接続。アンプとスピーカーから醸し出される圧倒的な音量に感動しながらゲームプレイを満喫していたのでした。

 人生初の一人暮らしをはじめた齢18の自分にとって、ホームシックになることは微塵もなかったのは、テレビとミニミニコンポとゲームという、三種の神器があったからでしょう。無論、大学の先輩や友達が毎日入り浸ってゲーム三昧の日々を送るわけですが、この時代も僕の青春はソニーとともにありました。

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筆者紹介───君国泰将

ソニー(とガンダム)をこよなく愛し、ソニーに生きる男・君国泰将氏

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