佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第149回
海外企業のSonicalが提案
Headphone 3.0とは? Ear OS搭載のヘッドホンが登場し、機能をユーザーが選ぶ時代が来る?
2022年09月25日 06時00分更新
3年ぶりにリアル開催された「IFA 2022」において、ヘッドホンの進化において興味のある展示が披露された。それが「Headphone 3.0」である。
Headphone 3.0はのSonicalという会社によるコンセプトだ。その進化はヘッドホン・イヤホン用のOSである「EarOS」を搭載することで実現されるという。いわば、“イヤー・コンピューター”のコンセプトだ。この計画にはクアルコムでaptX開発に携わっていたJonny McClintockなども参画している。
彼らによると、Headphone 1.0はウォークマンなどに使われる有線ヘッドホン、Headphone 2.0は現在の主流であるワイヤレスタイプで、音楽再生、電話応答、ANC搭載といった特徴を持つ“固定機能”のヘッドホンだという。Headphone 3.0では、その次の進化のためにOSを搭載し、さまざまなアプリを搭載できるようにするという。
例えば、音楽などの再生では、空間オーディオ対応、ゲーム対応、ハイレゾ会話、マルチチャンネル動画、没入型のAR/VRなどが挙げられる。また聴覚関連の分野では、パーソナライズされたプロファイル、聴覚保護、知的なノイズ制御、聴覚補助など。さらに健康分野では、フィットネストラッキング、健康測定、メンタル保護、睡眠測定などがある。
このようにヘッドホンがただ音楽を聞くだけでなく、ウェアラブル機器となり、IT化していくためのベースとなるのがEarOS(情報によってはCosmOS)というわけだ。機能はメーカーから提供されるだけではなく、ユーザーが自分でアプリケーションをインストールして選ぶ時代が来るとSonicalでは主張している。
Sonicalは、アイルランドで脳活動のモニタリングやニューロ技術を開発しているSegotiaと提携している。まず、Sonical自身がそうしたアプリケーションの例を示すためだろう。だ緒についたばかりだが、ますます高機能化するヘッドホンの先を見すえるために、なかなか興味深い進路を示していると言えるだろう。
この連載の記事
-
第267回
AV
K2HDに対応、個性的な機能備えたiFi audioのスティック型USB DAC「GO bar剣聖」 -
第266回
AV
日本とは異なる趣を持つ、ドイツのヘッドホンイベント“The World of Headphones” -
第265回
AV
Apple MusicとSpotifyの争いが飛び火? 欧州委員会がアップルに制裁金 -
第264回
AV
Noble Audioの「XM-1」を聞く、MEMSスピーカー採用イヤホン第2弾、有線接続ならではの高音質 -
第262回
AV
ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024開催、高級ヘッドホンシステムの新試聴イベント -
第261回
AV
コルグのLive Extremeを用いた世界初のAuro-3D配信 -
第260回
AV
MetaのAudioboxを試す、指定の効果音や音声読み上げを文章から作れる生成AI -
第259回
AV
Apple Musicにほかのストリーミングサービスから移行するための機能か? -
第258回
AV
ハイエンドに絞ったヘッドホン試聴イベント、フジヤエービックが新たに開催 -
第257回
AV
Auracast初の実用製品が登場、大規模施設での応用も想定したAuri -
第256回
AV
WAVファイルに映像や照明の情報を書き込める、ヤマハの新技術「GPAP」とは? - この連載の一覧へ