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『STEINS;GATE』スタッフが贈る科学ADVシリーズ最新作!

ハッキングトリガーの“気付き”がクセになる!『ANONYMOUS;CODE』開発陣が作品へ込めたこだわりとは?

2022年08月16日 11時00分更新

文● Zenon/ASCII

 アスキー編集部がこの夏に注目するタイトルを紹介する「アスキー厳選ゲームレビュー大特集」企画。今回は、MAGES.が2022年7月28日に発売したメタ科学アドベンチャー『ANONYMOUS;CODE(アノニマス・コード)』(以下、本作)のレビューをお届けする。

 記事の後半には、発売直後に行なった本作開発陣へのインタビューも掲載。プロデューサーとディレクターの統括を兼ねる松原達也氏、シナリオライターの林直孝氏および末廣彩乃氏に貴重なお話をうかがった。そちらもあわせてチェックしてほしい。

 なお、本記事には軽微なネタバレが含まれるので、未プレイの場合は注意してもらいたい。

「ハッキング」をテーマに結び付く物語とシステム

 本作は、主人公のハッカー少年・高岡歩論(ポロン)が、着ぐるみを着た謎の少女・愛咲もも(モモ)をバイクに乗せて追跡者から逃げるシーンから始まる。

 追跡者は組織立った包囲網を敷いており、捕まるのは時間の問題だった。逃げ道をふさぎ、ターゲットの乗るバイクのシステムにハッキングを仕掛け、強制停止させる。まさに「チェックメイト」に相応しい追跡劇。

 しかし、強制停止の直前、ポロンは自分からブレーキをかけて停車する。まるでバイクの制御を奪われるのを「知っていた」かのようなタイミング。その後もポロンは立ちふさがる追跡者に対して予言めいた言葉を残し、見事逃亡に成功する。というのがプロローグで描かれるお話だ。

「51秒後だ」と追跡者の無線が鳴るタイミングを言い当てるポロン。なぜそんなことが可能だったのだろうか

 ここでのポロンは、とある瞬間に手に入れた謎の力「セーブ&ロード」を駆使して、「失敗した未来」の記憶を引き継いで過去に戻り、「成功する未来」をつかみ取っている。つまり、2回目の逃走劇だったから、これから起こることを知っていたし、無線の鳴るタイミングも言い当てられた。

「1回目」の逃走劇では、強制停止したバイクに振り落とされて体を強打。追跡者に殴られてモモを奪われ、1人で破れかぶれの逃走に走る

「2回目」の際はケガもなく、モモを連れて逃走に成功

 これが、経験した未来の展開を元に過去をやり直し、現在起こる結果を変える「セーブ&ロード」の力となる。任意のタイミングで行なった「セーブ」ポイントを、いつ「ロード」するのか。それによって主人公が得られる情報が変化し、異なる展開へと派生していく。

 「セーブ&ロード」の力はポロンが元から持っていたものではなく、逃走中に突如手に入れていたもの。誰かがポロンの視界を映す「BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」をハッキングし、勝手にインストールしていた謎のアプリの機能である。

プレイヤーは主人公に対し「ハッキングトリガー」を使い、いつでも「セーブ&ロード」を促すことができる。だが、それに応じるかどうかは彼次第だ

 また、科学ADVシリーズの特徴として本作には「選択肢」がなく、このハッキングトリガーによって物語が分岐していくことになる。そのため、主人公のセリフから意図を汲み取り、適切なタイミングでハッキングトリガーを行なう必要があるのだが、明確に「今だ!」と表示されるわけではないので、促すアクションも試行錯誤することになる。

 ゆえに、大部分のプレイヤーは「今じゃねぇ」「集中させろ」といった、主人公の拒絶セリフを何回も聞くことになるだろう。それゆえに、「ここだ!」というタイミングでハッキングトリガーが成功したときはその気付きが非常に気持ちの良いものになっている。

 また、筆者はこの主人公がプレイヤーを認識して語りかけてくるシステムに、次元を越えた意思疎通ができているように感じられ、とても面白いと感じた(そして何度でもトリガーを押し続ける)。

マンガ表現を取り入れた動きのあるADVゲーム

 アドベンチャーパートは昔ながらの立ち絵+テキストで読み進めるが、ここではE-moteという2Dグラフィックスをアニメーションのように動かす技術を使用し、目パチ・口パクにとどまらないアクションによってキャラクターを表現し、派手な立ち回りはマンガナイズビジュアルで表現された動きのあるドラマを展開。これも本作の特徴の1つで、音楽の良さも相まって非常に物語に引き込まれる表現だ。

通常のアドベンチャー会話。主にポロンの視界が表示され、BMIによるARニュースなども各所に表示されている

マンガのコマを追うようなシーン演出(マンガナイズビジュアル)。一枚絵+テキストで描写されるよりも、動きがあるので視覚的にわかりやすいというメリットがある

もちろん、ときには一枚絵が表示されることも。ビジュアルの美麗さもあってインパクトは大だ

 もともと科学ADVシリーズは物語に引き込む力が強く、クリアするまで頭のなかをその世界の謎がグルグルと占領し続けるような「中毒性」を備えているのが特徴だと筆者は思っている。

 それが本作ではこうしたさまざまな手法を取ることで、プレイヤーを飽きさせず物語へと没入させてくれる。これは明確なシリーズ上の進化であり、ゲームの作りとして非常にうまいと感じた。

 なお、あまり書くとネタバレになるので難しいが、「セーブ&ロード」も万能ではない。よかれと思ってロードを促した結果、そこからどうあがいてもバッドエンドということもあった。「セーブはこまめに取っておこう」という、昔ながらの忠言が身に染みる……。

 『ANONYMOUS;CODE』は、良質な物語に触れたい人は文句なしにオススメの一本。同シリーズの『STEINS;GATE』や『CHAOS;CHILD』などを遊んだ人はもちろん、科学ADVシリーズ初のタイトルとしても十分に楽しめる。

 世界観は同じなので、シリーズ経験者はニヤリとできる要素が散りばめられているが、物語は独立しているので過去シリーズを知らなくても問題はない。

 小説やマンガ、TVドラマに映画といったコンテンツのいいところを合わせたかのような本作で、ゲームならではの体験を楽しんでみてはいかがだろうか。

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