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ネットワーク全体をフル冗長化する“キャリアダイバーシティ”を実現

ソニー銀行はなぜクラウド接続の冗長化にアット東京の「ATBeX」を選んだのか

2022年09月15日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 国内の金融機関に先駆けて積極的なパブリッククラウド活用を進めてきたソニー銀行。そのソニー銀行が、オンプレミスのデータセンターとパブリッククラウドを閉域接続するネットワークを冗長化するために、アット東京のクラウド&データセンター間接続サービス「ATBeX」を採用した。

 複数の事業者からアット東京を選んだ背景には、「キャリアダイバーシティの実現」という重要不可欠な要件があったという。同社のITインフラを担当するシステム管理部 シニアマネージャーの吉本恭之氏、システム管理部 マネージャーの林和慶氏に、アット東京のATBeXを採用した背景からサービスに対する評価まで、詳しく話をうかがった。

ソニー銀行 システム管理部 シニアマネージャーの吉本恭之氏、
システム管理部 マネージャーの林和慶氏

銀行業界の先駆けとしてAWS中心のクラウド活用方針を掲げる

 ソニー銀行では、およそ10年前からAWS(Amazon Web Services)を中心とした積極的なパブリッククラウド活用を進めてきた。

 「当社はネット銀行ですし、ソニーのグループ会社ということもあって先端技術を取り入れていくことに積極的です。パブリッククラウドも2013年ごろから活用を始めました」(林氏)

 同社ではまず2011年に、パブリッククラウド活用に向けたアセスメントを開始。2013年には社内システムや「周辺系」と呼ばれる銀行業務の非基幹システムをAWSに移行開始した。その後、2019年には基幹系システムの一部である財務会計システムをAWSで本番稼働開始させている。ここではAWSの大阪リージョンを活用して、DR(災害復旧)対策のための冗長化も図った。

 「現時点では、システム全体のおよそ8割がパブリッククラウド上で稼働しています」と林氏は説明する。サーバーシステムだけでなく、社員が利用する業務用端末(PC)でもAWSのDaaS「Amazon WorkSpaces」を利用している。

 パブリッククラウドを積極的に活用する狙いについて、吉本氏は「オンプレミスよりもクラウドのほうが可用性を高めやすいため」だと説明する。オンプレミスシステムの場合、高い可用性を実現するためには自社で多数のハードウェアを導入しなければならず、調達の時間やコストの負担が非常に大きい。パブリッククラウドならばそうした調達の時間やコストが軽減され、使ったぶんだけのコスト負担で済む。さらに、クラウドのリージョンはあらかじめ複数のAZ(Availability Zone)で冗長化されており、自社では構築が難しいレベルの可用性まで実現できる。

 「もちろん事前にしっかりとアセスメントを行うことが必要ですが、当社はそのうえで問題ないと判断し、積極的に活用しています」(吉本氏)

 ソニー銀行では現在、次期基幹系システムの構築をAWS上で進めている。この新しい基幹系システムがカットオーバーされれば、いよいよ基幹系を含むすべてのシステムがパブリッククラウド上で稼働することになる。

“キャリアダイバーシティ”の特殊要件にも柔軟に対応

 パブリッククラウド活用を進めるためには、ネットワークインフラにも高い可用性が求められる。ソニー銀行ではかねてから、オンプレミスのデータセンターとAWSをダイレクト接続するネットワークを構築し利用しているが、ここでは接続経路や回線を冗長化して高い可用性を担保している。

 そして2020年末には、この主系統ネットワークに加えて新たな副系統ネットワークの構築を検討し始めた。ネットワーク全体を“フル冗長化”することで、万が一の障害にも備えられる非常に高い可用性を実現する狙いだ。

 ここで不可欠な要件となったのが、冒頭で触れた「キャリアダイバーシティ」である。

 ソニー銀行のデータセンターとAWSのダイレクト接続ポイント(PoP)をつなぐ主系統のネットワークでは、ある大手キャリアが提供する光回線を利用している。そこで、新たなネットワーク(副系統)については“現在使用しているキャリア系以外”の光回線を使って接続したいと考えた。回線を多様化=“ダイバーシティ化”することで、キャリアの障害による影響を回避しようという考えである。

 「AWSへのダイレクト接続ポイントを冗長化しても、そこへの接続回線がすべて同一キャリアであれば、キャリアの局舎で障害が発生した場合にやはり影響を受けてしまいます。そこで今回は、いま使用しているキャリア系以外の回線で、その局舎をまったく経由しない経路で接続したいとオーダーしました」(吉本氏)

 複数の事業者に提案を求めたが、特殊な要件ということもあり、最終的にこの要件を満たす提案ができたのはアット東京だけだったという。

 アット東京側で本件の技術担当を務めたテクニカルサービス部の中西祐介氏は、「標準仕様外の部分もありましたが、ソニー銀行様の要件を実現したいという思いで、柔軟な対応を行いました。当社が手配したキャリア側も、われわれの思いをくんで積極的に考え、熱意をもって動いていただけたと思います」と振り返る。

アット東京 ソリューション本部 テクニカルサービス部の中西 祐介氏(撮影:松木雄一)

ATBeXを活用することで東京~大阪間の接続コスト削減

 もうひとつ、アット東京がATBeXを提供していることも、ソニー銀行がアット東京を選択する理由になったという。

 ソニー銀行では関東圏と関西圏にオンプレミスのデータセンターを構え、同時にAWSの東京リージョン/大阪リージョンも利用している。そして万が一の障害に備えて、既存の主系統ネットワークはこの4拠点間を相互接続する「網構成」になっている。関東圏データセンターからAWSの東京/大阪リージョンへ、同様に関西圏データセンターからも東京/大阪リージョンへ、それぞれ直接接続する仕組みだ。

 新たに構築するネットワークにおいても、これと同じように網構成をとりたいと考えたという。「主系統と同構成にし、障害発生時には速やかにネットワーク切り替えを行いたいと考えました」(吉本氏)。ただしこちらは副系統、つまりバックアップ用途のネットワークであり、できる限り時間をかけずに主系統と同等の品質のものを導入したい。

 ここでATBeXのメリットが生きてくる。ATBeXには複数のデータセンターやクラウドのネットワークを集約する「東京ゾーン」と「大阪ゾーン」があるが、この東京ゾーンと大阪ゾーン間は冗長化されたバックボーン回線で接続されている。そのため、ATBeXの東京/大阪ゾーンに接続すれば、アット東京のバックボーン回線経由で網構成が実現する。

 「ATBeXではあらかじめ東京ゾーンと大阪ゾーン間の冗長回線が用意されているので、たとえば当社の関東圏データセンターからATBeXの東京ゾーンに接続すれば、バックボーンの論理回線経由でAWSの大阪リージョンにも直接接続できます」(林氏)

 自社で独自に東京-大阪間の専用線を引くとなると、非常に大きなコストがかかる。ソニー銀行はアット東京のATBeXを活用することで、コストを抑えながらも非常に可用性の高いネットワークを構成することができたわけだ。

 「ネットワークの検討や導入に際しては、こちらからのいろいろな質問にご回答いただきましたし、要望にも非常に柔軟にご対応いただけたと思っています。感謝しています」(吉本氏)

ATBeXを用いた今回のネットワーク構成

高機能なATBeXを活用した、さらなるメリット享受も検討していく

 前述したとおり、ソニー銀行では今後、次期基幹系システムをパブリッククラウド上で本番稼働させる計画だ。林氏は、基幹系システムのクラウド化によるメリットを次のように説明する。

 「基幹系システムの負荷は日々大きく変動しますが、クラウドならばその変動に合わせて必要なぶんだけ、柔軟に素早くスケーリングすることができます。同時に、クラウドへの移行によって、新しいアプリや新しいサービスをより迅速に開発、提供できるようになるだろうとも考えています」(林氏)

 その中で、今回“フル冗長化”を実現したネットワークが活用されることになる。吉本氏は「新たに構築したネットワークは何の問題もなく稼働しています。これからも安定稼働を期待しています」と語る。

 ソニー銀行ではこれまでAWSをメインに採用してきたが、今後は他社パブリッククラウドも含めたマルチクラウド活用に進む可能性もある。また、在宅勤務の促進を含むワークスタイルの改善にも取り組んでおり、「ネットワークのあり方は今後も適切に見直していく」と吉本氏は語る。

 国内の主要パブリッククラウドやデータセンター、キャリアとの柔軟な接続を可能にするATBeXのメリットは、そうした多様なクラウド活用の場面においても生きてくるはずだ。吉本氏は「アット東京には、今後も新しいサービスの提案を期待しています」と締めくくった。

(提供:アット東京)

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