中小企業をメインターゲットに“シンプル、安心、わかりやすい”クラウドサーバーとコンテナを提供

カゴヤの新クラウドブランド「cloud tap」が目指すものとは

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 カゴヤ・ジャパンは2022年6月8日、クラウドサーバーとコンテナサービスを提供する新サービスプラットフォーム「cloud tap」の提供を開始した。これまで提供してきたIaaSサービス「クラウドサーバー」とKubernetesのマネージドサービスである「コンテナサービス」のブランドを統合し、さらにコントロールパネルや料金体系もより使いやすく、わかりやすくリニューアルしている。

カゴヤ・ジャパンが提供開始した「cloud tap」(cloudtap.jp

 カゴヤはなぜcloud tapという新たなサービスブランドを立ち上げ、サービスを通じてどんなユーザーを支援したいと考えているのか。今回は、cloud tapの技術開発を担当する同社 システム開発チームの栗須高久氏、マーケティングを担当するサービスマーケティングチームの松田そのみ氏に聞いた。

カゴヤ・ジャパン システム開発チームの栗須高久氏、サービスマーケティングチームの松田そのみ氏

日本企業がDXを推進するためには「シンプル」が必要

 cloud tapのWebサイトを開くと、まず目に飛び込んでくるのが「コンテナとサーバーをシンプルに。」というブランドメッセージだ。松田氏は、この「シンプルに」というキーワードこそが、cloud tapという新ブランドを立ち上げた狙い、目的だと説明する。

 「cloud tapがメインターゲットとしているお客様は、中小規模の企業様です。近年ではそうした企業様でもDX推進に取り組まれていますが、その中で『クラウドへの移行が高いハードルになっている』というお話をよくうかがいます」(松田氏)

 企業がDXの取り組みでまず手がけるものの一つが、社内(オンプレミス)にある既存システムのクラウド移行だ。しかし、あまり技術に詳しくない中小企業層では、海外のメガクラウドベンダーが提供するサービスを試用してみても「複雑すぎてどうすればいいのかよくわからない」、完全従量課金型で「コストがかかりすぎるのではないかと心配」と感じて、クラウド移行がなかなか進まないケースが多いのだという。ここでつまずいてしまうと、その先の積極的なクラウド活用、DX推進も難しくなる。

 長年にわたり国産クラウドサービスを提供してきたカゴヤとして、こうした課題を解決し、日本の中小企業が取り組むDX推進を後押しできないか。そう考えて「わかりやすい」「安心な」クラウドサービスのブランドとして立ち上げたのが、今回のcloud tapである。

 「カゴヤでは、VMwareベースのクラウドサーバーやベアメタルサーバー、プライベートクラウド、HCIといったサービス提供する『FLEX』ブランドも持っています。このFLEXブランドは、弊社エンジニアが個別のヒアリングや導入のお手伝いをさせていただき、複雑なご要望にもお応えする自由度の高いサービスという位置づけです。これに対して、新しいcloud tapブランドは「シンプル」で「わかりやすい」からこそ手軽にオンラインで完結できる、小規模から中小規模の企業様向けのサービスと考えていただけば、わかりやすいと思います」(松田氏)

デザインから料金体系まで「シンプル、安心、わかりやすい」にこだわる

 それでは、cloud tapはどんな部分が「シンプル」「安心」「わかりやすい」と言えるのだろうか。まずはcloud tap全体の特徴から見てみよう。

 今回のcloud tap立ち上げでは、クラウドサーバーとコンテナサービスの2つを提供開始している。これまでVPSサービスと同じ「KAGOYA CLOUD」ブランドで提供してきたIaaSとコンテナサービスを、よりシンプルでわかりやすいサービスにリニューアルしたものだ。

 技術開発に携わる栗須氏はまず、デザイン面での改良を挙げた。初めてクラウドを利用するユーザーでも迷わないよう、cloud tapの操作画面であるコントロールパネルは、極力シンプルなUI(ユーザーインタフェース)デザインにしている。加えて「これまで別々のデザインだったクラウドサーバーとコンテナサービスのUIにも、統一感を持たせています」(栗須氏)という。

cloud tapのコントロールパネルは非常にシンプル(下段はクラウドサーバー、コンテナサービスの画面)

 Webサイトも、新たにcloud tap専用サイトを立ち上げ、クラウド利用を検討するユーザーがわかりやすいようにシンプルな説明を心がけている。たとえば「VPN接続で安全なWindows Serverを安価に使いたい」「Kubernetesの構築経験はないが運用してみたい」といったよくあるユースケースを取り上げて、そのインフラ構成や目安となる月額料金を具体的に紹介している。

 “国産クラウドサービス”ならではの安心もある。cloud tapのサービスは、「けいはんな学研都市」にある国内データセンターで提供される。24時間・365日の有人監視付きデータセンターなので、緊急時の対応も可能だ。国産なので当然だが、オンラインマニュアルからユーザーサポートまで、すべて日本語に対応している点も安心できる。Webサイトには動画による操作マニュアルも掲載されており、これも非常にわかりやすい。

cloud tapのWebサイトでは、具体的なシステム構成例や月額料金の目安も紹介されており、わかりやすい

 料金体系もシンプルでわかりやすく、なおかつ「使いすぎ」の心配もないように工夫されている。基本的には従量課金型で、毎月“使ったぶんだけ”料金を支払えばよいのだが、この利用料金が一定額に達するとそれ以上は課金されない仕組みだ。そのため、たとえば開発環境など短時間しか利用しない場合はコストを節約でき、24時間稼働させる業務システムでも毎月一定額で済む。これならば、ユーザーは事前にコストのめどを立てやすい。

 さらに利用料金は、クレジットカード払いだけでなく口座振替払いにも対応している。このあたりも、日本の企業ユーザーに合わせた工夫と言えるだろう。

利用料金のイメージ(クラウドサーバーの場合)。従量課金型だが、月間200時間を超えると自動的に「月額の上限額」が適用される

 ちなみにcloud tapでは、クラウドサーバー、コンテナサービスの両方で「30日間無料トライアル」を提供している。自社で検討しているユースケースで実際に使ってみてどうなのかを、無料でしっかりと試せるわけだ。このあたりも「安心」かつ「わかりやすい」を実現することにこだわった部分だと言える。

クラウドサーバー:料金引き下げで中小企業がより使いやすく

 続いて、cloud tapで提供する個々のサービスについて、それぞれの特徴や強化点を見ておきたい。まずはクラウドサーバーのサービスからだ。

 クラウドサーバー(旧称:KAGOYA CLOUD IaaSサービス)では、KVMベースの仮想マシンが提供される。ユースケースに応じてコア数やメモリ容量、ディスク容量を柔軟に選択できる仕組み、サーバー作成時にOS(Windows、Linux)をセットアップできる仕組み、スイッチやVPNルーターも提供してプライベートネットワークが構築できる仕組みなどが特徴だ。

 まず、サーバースペックとディスク容量はそれぞれ独立して選択できる。サーバースペックは最小スペック(1コア/512MBメモリ)から最大スペック(20コア/224GBメモリ)まで95パターン、ディスク容量は最小(20GB)から最大(1TB)まで10パターンがラインアップされており、ユースケースに応じて柔軟な組合せが可能だ。個別にスケールアップしたり、1台のサーバーに複数のディスクを接続したりすることもできる。

 「今回のリニューアルではディスクの利用料金を従来の半額にしましたので、よりご利用いただきやすくなったと思います」(栗須氏)

 サーバーOSは、最初のセットアップ段階でWindows ServerやLinux(CentOS、Ubuntu、KUSANAGIなど)を選択して、インストール済みの状態からスタートすることができる。なおWindows Serverを利用する場合でも、OSのライセンス料が別途かかることはなく、Linuxと同じサーバーの利用料金で使える。この点でもシンプルだ。

 ネットワークについては、スイッチやVPNルーターがラインアップされており、複数台のクラウドサーバーを接続したり、オンプレミス環境とVPN接続したりしてプライベートネットワークを構築することができる。

 「cloud tapでは中小規模の企業様をメインターゲットとしていますので、クラウドサーバーはVPSと比べて2倍~3倍のネットワークスピードが出るように設計されています。また、VPN接続が利用しやすいようにVPNルーターやスイッチの利用価格も引き下げました」(栗須氏)

コンテナサービス:Kubernetesを手軽に使い始めたいユーザーに

 コンテナサービスについては、難易度が高いKubernetesクラスタの構築や運用を簡単にするために、RancherというGUI管理ソフトを採用しているのが特徴だ。コンテナサービスをセットアップすると、KubernetesとRancherがインストール/構築済みのクラスタ環境が提供されるので、初めてコンテナ環境を利用するユーザーにもやさしい。

 「コンテナを活用したアプリケーション開発に注目が集まり、利用も急成長していますが、やはりKubernetes環境を一から構築するのは非常に難しい作業です。cloud tapのコンテナサービスならば、そうした難しい部分を回避してすぐに利用をスタートできます。また、マネージドサービスとして提供していますので、お客様で何かお困りごとがあれば弊社のほうでも対応できます※注」(栗須氏)

※注:コンテナサービスにおけるカゴヤのサポート範囲はコンテナ基盤(Rancherおよびコントロールパネルから作成したノード)となります。またクラウドサーバーについては、管理者権限がユーザー側にあるため、運用管理はユーザー自身で行うかたちとなります。

 Rancherでは、Kubernetesクラスタの稼働状況監視やコンテナの操作だけでなく、「WordPress」などのアプリケーションテンプレートも用意されている。GUIからの簡単な操作だけで、カタログから選んだアプリケーションをセットアップすることができるのだ。「まずはRancherで利用をスタートし、使いながらKubernetesの仕組みやコマンドライン操作を学んでいくこともできますね」と栗須氏は語る。

コンテナサービスで提供される「Rancher」の画面。アプリケーションのカタログも用意されており、簡単にセットアップできる

 コンテナサービスの料金体系も、管理サーバーとノードそれぞれの利用料金を合算するだけのシンプルなものだ。管理サーバーとノードはそれぞれ数種類のスペックが用意されているので、利用規模に合わせたクラスタの構成ができる。利用開始後のスケールアップやスケールアウトも可能だ。

cloud tapを「新たな価値提供のプラットフォーム」へと育てたい

 今回提供をスタートしたcloud tapについて、カゴヤでは「新たなサービスプラットフォーム」と位置づけているという。ここでプラットフォームと呼んでいる意味とは、何なのだろうか。

 「まずはカゴヤからクラウドサーバーとコンテナサービスを提供する基盤としてスタートしましたが、将来的にはこのcloud tap上でお客様が独自のサービスを構築し、それを外部に提供していく基盤としてもご活用いただきたいと考えています。弊社とお客様と一緒にcloud tapという環境を作り、社会に向けていろいろな価値提供をしていくためのプラットフォームにできたらいいですね」(松田氏)

cloud tapのロゴは3つの折り紙を組み合わせたイメージ。これは「カゴヤ」と「ユーザー企業」、そして「ユーザー企業の先にいる顧客」を表しているという

 栗須氏は、そのためにもまずはcloud tapを利用し、機能強化や改善のためのフィードバックを積極的にしてほしいと呼びかける。「クラウドサーバー、コンテナサービスだけでなく、もっといろいろなサービスをご用意して、それらをcloud tap上でつなげていく。ぜひそんなプラットフォームに育てていきたいです」(栗須氏)。

* * *

 いまやDX推進やクラウド活用は、企業規模を問わず取り組まなければならない課題になっている。そのハードルを大きく引き下げるcloud tapを通じて、社会に新たな価値を提供するサービスがいくつも生まれてくることを期待したい。

(提供:カゴヤ・ジャパン)

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