最近、“LE Audio”に対応予定とうたう製品が市場で増えている。例えば、4月発売のJBL「LIVE FREE 2」や6月に発売されたばかりのソニー「LinkBuds S」などだ。LE AudioはBluetoothの新しい規格であり、そのコンセプトは数年前から示されていたが、最近になってやっとこうしたLE Audio対応製品が登場し始めたわけだ。
LE Audioの特徴は、新コーデックのLC3による高音質・低消費電力、左右ユニットに別転送を可能にするマルチストリーム、多数のリスナーに伝送できるブロードキャスト機能などである。このうちのブロードキャスト機能については「Auracast」という名称で独立したことを最近の記事に執筆したので興味ある方はそちらを参照してほしい。
ただし、こうした優れた特徴はLE Audio対応製品を購入してすぐに使えるようになるわけではない。その理由はLE Audioの進化は表面的な改良だけではなく、Bluetooth仕様のコアの部分にまで及んでいるからだ。具体的には、音楽など時間的に意味があるデータを扱えるようにする“アイソクロナス転送”、複数転送先をコアレベルでサポートすることなどである。これにはイヤホンとスマホ両方で、Bluetooth 5.2が必要となる。またLE Audioの標準コーデックであるLC3コーデックもサポートしなければならない。
Androidについては、Android 13においてLC3コーデックが実装されるのではないかという記事をこの連載でも書いた。最新のAndroidスマートフォンのひとつである「Google Pixel 6」はすでにBluetooth5.2に対応しているから、おそらくAndroid13で必要なプロファイル等も実装されて、Androidスマートフォンユーザーはこの夏にでもLE Audioが使用できる可能性が高いのではないかと思う。
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