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オープンソースのライブ配信ツール「OBS Studio」に対応

PC&専門知識不要で簡単にライブ配信ができる、4K/30fpsまで対応の「Blastreams」が登場

2022年07月05日 11時00分更新

文● 市川 編集●ASCII

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テイラーイノベーションズのライブ配信専用機器「Blastreams(ブラストリームス)」

 テイラーイノベーションズは6月30日、ライブ配信専用機器「Blastreams(ブラストリームス)」を発表した。価格は49万9800円(税込)。2022年7月下旬より出荷開始、7月4日に受注開始となる。

 今回、6月30日に実施された新製品発表会に参加できたので、その模様をお伝えする。

専門知識&PC不要! 簡単操作で4Kライブ配信・録画ができる

 テイラーイノベーションズの代表取締役である星野 佳史氏が登壇し、Blastreamsの特徴や活用シーンなどのプレゼンテーションを行なった。

テイラーイノベーションズの代表取締役である星野 佳史氏

 昨今の配信はPCに加えて、ウェブカメラやミキサーなどの配信機材が必要になる。だが、そういった機材は比較的高額なうえに、そろえたとしても専門的な知識が多少求められる。さらに、配信の設定やHDMIなどのケーブル類の取り回しも考慮すると、かなり手間がかかってしまう。

従来の配信は必要な機材が多いうえに操作も複雑。カメラなどの機材を使うにも、ライフ配信ツールを使うにもPCが必要だ。そこで役立つのがBlastreamsだ

 今回発表されたBlastreamsは、専門的な知識およびPCがなくても、すぐに高品質なライブ配信ができるデバイスだ。映像・音声入力インターフェースを搭載しているため、カメラとLANケーブルを接続するだけで配信可能。ビデオカメラはもちろん、デジカメや自動追尾可能なAIカメラなど、さまざまなカメラを接続でき、最大4K/30fpsの解像度に対応する。

製品概要

 本機はオープンソースのライブ配信ツール「OBS Studio」に対応している。映像の配信・録画はもちろんのこと、PinPやワイプ、テロップなどのエフェクトも利用できる。手軽かつシンプルな操作性を実現しているのもまた、本機の魅力的なポイントといえる。

Blastreamsは映像・音声入力インターフェースを完備。PC不要で、カメラとLANケーブルを本機に接続するだけですぐにライブ配信ができる

 実際の現場では、高品質な映像を見せるために専門のスタッフが稼働する。だが、Blastreamsを導入することで、カメラマンやスイッチャー、セッティングの人件費を削減できるのだという。

Blastreamsの導入により、カメラマン、スイッチャー、セッティングなどの人件費を削減できるという

 本機のスペックを軽く紹介しておこう。CPUはAMDの組み込み型プロセッサー「Ryzen Embedded V1605B」(4コア/8スレッド、最大3.6GHz)、GPUはCPUに内蔵するAMD「Radeon Vega 8 グラフィックス」、メモリーは8GB(DDR4)、内蔵ストレージは約120GB SSD(SATA)といった構成だ。OSはLinuxを採用している。

 14型のディスプレーを内蔵しており、ここに配信ソフトウェアの画面を映して操作するイメージだ。OBS Studioの場合、キーボードとマウスを本体に接続することで、テキスト入力や設定などが可能だが、画面下にあるボタン群でシーン切り替えや配信・録画の開始もできる。

Blastreamsの本体。14型ディスプレーを中央に配置し、その下に4つのシーンセレクトボタン、トランジションボタン、4つのファンクションボタンが並ぶ

側面には排気口がある

 ちなみに、メニューを開いてファイルを開いたり、リアルタイムに録画した映像を、その場で設定して後追いで表示させたりといったことも可能だ。

OSにLinuxを採用しているため、メニューのファイルマネージャからファイルを開くといったことも可能

リアルタイムに録画した動画ファイルを設定して表示することもできる

 画面左下にはシーンセレクトボタンが4つ並んでいる。複数の画面を切り替える際、これらのボタンを押すだけでOK。わざわざマウスを使って画面の切り替えをせずに済むというわけだ。

 画面右下には4つのファンクションボタンを備える。配信開始ボタン(ファンクション3)と録画開始ボタン(ファンクション4)、残りの2つ(ファンクション1、2)はホットキーの割り当て用といった具合だ。さらに中央には、押すだけですぐに配信ができるトランジションボタンを備える。

画面左下には、シーンセレクトボタン×4を備える

中央にはトランジションボタンを備える。これを押すだけでライブ配信が可能。「ポチっとな」という感覚に近いかもしれない

画面右下には、4つのファンクションボタンを備える。2つは配信・録画開始ボタンで、残りの2つは任意の機能を追加できるキー割り当て用といった感じだ

 映像・音声入力端子を含むインターフェースは、本体背面に集約されている。HDMI/SDI端子、DisplayPort 1.4×2、有線LAN端子×2、USB 2.0×2、USB 3.0(Type-A)×2、ライン端子(3.5mmステレオ)、マイク端子(3.5mmステレオ)、2.4GHz/5GHzアンテナを備える。ライブ配信に欠かせない端子は一通りそろっているほか、各端子の配置もわかりやすい。

背面には、有線LAN×2、DisplayPort 1.4×2、USB 2.0×2、USB 3.0(Type-A)×2、ライン端子(3.5mmステレオ)、マイク端子(3.5mmステレオ)、HDMI/SDI端子、電源端子(DC IN)が並ぶ。2.4GHz/5GHzアンテナも備える

 本機の活用シーンは実に多彩で、例えばオンラインレッスンやリアルタイム配信、ドローン空撮などが挙げられる。

コロナ禍の影響で、オンライン授業や社会人学習、カルチャースクールなど、オンラインレッスンの需要が高まっている

ライブ会場での活用シーン

ドローン空撮も可能だという

 本機は、2021年11月から「渋谷愛ビジョン」のライブ配信用機材として、試験的に運用されている。渋谷の様子を24時間YouTubeでライブ配信しているが、Blastreamsで半年以上使用してみた結果、運営者いわく「配信機材が大幅に簡素化されて助かっている」とのこと。

試験的な運用として、2021年11月から「渋谷愛ビジョン」のライブ配信用機材としてBlastreamsを採用

渋谷愛ビジョンの以前の配信構成。パソコンやミキサーなど機材点数は多めだった

しかし、Blastreamsを導入したことで機材点数は少なめに

 Blastreamsの需要は今後どんどん高まることだろう。誰でも簡単にライブ配信ができるうえに、プロの現場でも活用できるからだ。ライブ配信の質を上げたい、手軽な操作でライブ配信ができるデバイスを探している人にとって、Blastreamsは価値のある製品になることだろう。

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