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液体をプラズマでナノミストにする新手法、東京農工大が開発

2022年06月29日 06時31分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京農工大学の研究チームは、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノメートル・サイズのミストを作製する手法を開発した(1ナノメートルは1ミリメートルの百万分の1)。薬剤吸入をはじめとする医療分野を中心に、薄膜塗装、農薬噴霧などさまざまな産業分野に応用できそうだ。

東京農工大学の研究チームは、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノメートル・サイズのミストを作製する手法を開発した(1ナノメートルは1ミリメートルの百万分の1)。薬剤吸入をはじめとする医療分野を中心に、薄膜塗装、農薬噴霧などさまざまな産業分野に応用できそうだ。 研究チームは、外径8ミリメートル、内径6ミリメートルの硼珪酸ガラス管の内側に注射針を差し込み、注射針に高電圧を印加。ガラス管外側に巻き付けた電極を接地し、ガラス管内部に誘電体バリア放電(電極間に誘電体を挿入して交流電圧を印加する放電)を発生させたところに、注射針を通して液体を注入することで、ナノミストを生成させた。 今回の研究で検証した液体は、超純水、リン酸緩衝生理食塩水、ヒマシ油の3種類で、その全てがナノミスト化できることが分かった。さらに、生成されたミスト粒子の大部分が、皮膚のバリア機能(皮膚の表面にある角質層が持つ肌を保護する機能)を通過できるサイズとなっていることを確認した。 医療分野では最近、薬剤を皮膚表面から体内に浸透させる技術が注目を浴びている。同技術は、薬剤の血中濃度を長時間維持できることや効果の変動が起きにくいため副作用の軽減が期待できるといった利点がある半面、薬剤を皮膚から効率よく浸透させるために薬剤を溶かした液体をナノサイズ化することが重要な課題となっている。 研究成果は、学術誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)に6月22日付けでオンライン公開された

(中條)

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