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スーパー耐久2022レポート 第2回

冨林勇佑「とても悔しい2位」念願の富士24時間レース優勝へは届かず

2022年06月26日 15時00分更新

文● 吉田知弘 写真●秋山昌輝、加藤智充 編集●ASCII

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 ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankookの第2戦、「富士SUPER TEC24時間レース」が6月4~5日に富士スピードウェイで開催。ASCII.jpが応援する冨林勇佑選手の39号車「エアバスターWinmax RC350 55ガレージ TWS」は、ST-3クラス2位表彰台を獲得した。

39号車「エアバスターWinmax RC350 55ガレージ TWS」

年に1度の大舞台
24時間の戦いが今年もやってきた

 3月の開幕戦・鈴鹿から約2ヵ月半のインターバルが空いて迎えた第2戦。シーズン中で最も過酷と言われる24時間耐久レースだ。ここで優勝すると、通常よりも多いポイントがもらえるだけでなく、24時間レースを勝つだけで、周囲の評価も大きく変わる。デルタ田中代表、冨林をはじめ、チーム全員が“何が何でも勝つ!”という意気込みで、レースウィークを迎えた。

 このレースではスタートが土曜日の午後ということで、公式予選は金曜日に行なわれる。まずはAドライバー予選で冨林が乗り込みタイムアタックを担当。クラスポールポジション獲得のために、ギリギリまで攻め込んでいき、1分52秒478を記録した。しかし、ライバルの52号車 埼玉トヨペット GB クラウン RSが1分52秒188をマークし、トップに浮上。さすがの冨林もこれを上回るのは難しく、クラス2番手でセッションを終えた。

 続くBドライバー予選では伊藤鷹志選手がアタックを担当。目立ったミスはなく、1分52秒760をマークしたが、Bドライバー予選はSUPER GTなどで活躍するトップドライバーも出走しており、ST-3クラス3番手という結果になった。2人のタイムを合わせた総合結果では、52号車に続くクラス2番手からスタートすることとなった。

 昨年から安定した強さをみせている39号車だが、今回も52号車がライバルになることは明白。24時間の長丁場をどう戦っていくのか。チームも夕方遅くまでミーティングを重ね、いつもとは違う緊張感に包まれた。

2位じゃダメなんです!
1位を目指して24時間レースがスタート

 迎えた6月4日の決勝レース。曇り空とはなったものの、雨の心配はなく、全クラス合わせて56台が、スターティンググリッドに整列した。

 39号車のスタートドライバーは冨林が担当。序盤から逃げを打つであろう52号車に食らいついていくためだ。その読み通り、序盤から2台ともペースをあげていく展開に。速度の違う他クラスの車両を掻き分けながら冨林も2番手をキープしていった。その後は、ドライバーを交代していき、順調に周回を重ねた39号車だが、夜間走行に入ったところで、想定外のことが起こる。

 クラッチ系のトラブルを抱えてしまい、その修復をするために長時間のピットインを強いられることとなった。富士24時間レースでは、安全にレースを行なうために、開始20時間を迎えるまでに「メンテナンスタイム」と呼ばれる10分以上のピットストップを一度行なわなければならない。39号車は、これをセーフティカー導入中に使ったためロスタイムを最小限に食い止めることができたほか、それでも20分ほどの作業時間を強いられた。

 まだレース前半の日付が変わる前のタイミングということもあり、後半はある程度クルマを労わりながらの走行を強いられた。

 さらにメンテナンスタイムを行なったことで、クラストップとは7周差の4番手に後退することとなった。少し後手を踏む展開となってしまったが、ここでも冨林が夜間のスティントで素晴らしい走りをみせ、レース終盤に見えてくるであろうライバルの背中を追いかけた。

 レース開始から12時間を経過したところで、コース上に1台のマシンがストップ。この回収のためセーフティカーが導入されることとなった。ここで全体のペースが落ちるのを好機と捉え、多くのマシンがメンテナンスタイムを実施。52号車もこのタイミングで義務を消化した。これも逆転トップ浮上を難しくする要因のひとつにもなった。

 日曜日の朝になってST-3クラスの全車がメンテナンスタイムを完了。トップは変わらず52号車で、39号車は2番手に返り咲いたのだが、その差は約2周弱。自力で追いつくのは難しいが、もし相手に何かあれば逆転の可能性が出てくる位置関係だ。

 スタートから不眠不休で戦況を見つめるデルタ田中代表(ドライバーは交代のタイミングで仮眠が取れるが監督は起きてないといけない)。わずかな望みをかけ、最終スティントに再び冨林を投入することを決断した。残り2時間を切ったところで大滝拓也からバトンを受け取った冨林は、少しでもプレッシャーをかけるべく、39号車にムチを打った。

 どちらかにミスやアクシデント、トラブルが出たら勝負が決する……。そんな緊迫した戦いは、最後まで続いたが、結局順位は変わらず。午後3時に24時間を迎え、チェッカーフラッグが出された。39号車は最終的にクラストップから3周遅れの2位という結果になった。

 昨年はトラブルに悩まされながらのレースだったが、今年は24時間を通してチャンピオンらしい力強い戦いをみせた。だが、結果は一歩及ばず……。冨林も悔しさを隠しきれない表情をしていた。

デルタ 田中延男代表コメント

 「正直“もう2位はいりません”という気持ちです。悔しい。ドライバーはミスなく走ってくれましたけど、クラッチトラブルで止まってしまいました。その差だったのかなと思いますが……、そうでなくても(52号車には)届かなかったです。あとは、冨林をはじめ、うちのドライバーはみんなよくやってくれました。ただ、シーズンはまだ終わっていません。3連覇はどうしても獲らないといけないので、もう1回仕切り直しという気持ちで、頑張ります!」

冨林勇佑選手コメント

 「今回は、何がどう転んでも実力的に敵わなかったなというのが、正直な感想です。僕たちもトラブルはありましたが、それを抜きにしても、今回は届きませんでした。ここ最近、ずっと2位が続いているんですよね。S耐の開幕戦も2位だったし、この前のSUPER GT(第3戦鈴鹿)も2位だったし、今回も2位でした。次のSUGOは僕たちとしては苦手なコースですけど、悔しさをぶつけられるように頑張ります。シリーズに関しても、あと4戦残っているので、全部勝つつもりいきたいです。そのためにはドライバーの力も上げて、総合力で立ち向かっていかないと、相手も手強いですからね。自分たちができることを精一杯やっていきたいです」

伊藤鷹志選手コメント

 「52号車が速すぎました。向こうはクルマの仕上がりも良かったですし、ドライバーの皆さんのスキルも高かったので、プロドライバーの集団なんだなと、改めて実感しました。僕たちは次回のSUGOラウンドも、僕自身もクルマの運転のスタイルを見直して、完璧な状態で臨めるようにしたいです」

hondaの社内チームも
モータージャーナリストと共に24時間参戦!

 Hondaの社内有志チーム「HONDA R&D Challenge」も、ST-2クラスの743号車 CIVIC TYPE-Rにて参戦していた。先日、Nakajima Racingの企画でお世話になったHondaの広報部 商品・技術広報課の木立 氏と、CIVIC TYPE-Rの開発責任者・柿沼氏もステアリングを握ったということで、24時間レース終了後に編集部のスピーディー末岡が話を聞いた。

左から木立純一氏、藤島知子氏、桂 伸一氏

 なお、昨年も出場していたのだが、スタート直後のエンジントラブルにより、エンジンを載せ替えてチェッカーを受けたものの、規定周回数未達で完走扱いにならなかったという。今年はその雪辱をはたすべくの出場となった。

 木立氏によると、レースで得た知見を市販車「CIVIC TYPE-R」に活かすことを目的に、開発メンバーも参戦をしている。その際にアドバイザーとして、モータージャーナリストの藤島知子氏と、ニュル24時間参戦経験のある桂 伸一氏を迎え、完走だけでなくより上の順位を目指すことになった。

 藤島氏に今回の感想を聞くと「ほかのチームだったら勝つためのエンジンを用意したりすると思いますが、このチームはあえてそういうことをせず、市販車に高負荷をかけていくやり方ですよね。スタッフもみなさんもさまざまな部署の社員が集まって、それぞれの知識と技術を持ち寄ってやってるのがすごいなと。レース屋さんじゃなくて自動車メーカーの人が集まったチームなだけありますよ。そんなチームが今回24時間を完走できたのは、大きな収穫ですよね。なにより私は昨年も出てたのですが、まったく走れなかったのでリベンジできてよかったです」と語ってくれた。

社内チームというのも、モータースポーツのイメージが強いHondaならではだ

 同じくモータージャーナリストの桂氏は「92~93年くらいにグループAというレースにシビックで参戦してて、そのときにドライバーをやらせてもらっていた縁で声をかけていただきました。でもトラブルでまったく走れなかったので、今年こそはと。今年は今年で決勝前にミッションにトラブルが出たんですが、決勝中は大きなトラブルはなく、淡々と走って完走しました。最後のほうで黄旗追い越し違反をやっちゃったドライバーがいましたが、昨年と比べたらなんてことはありません(笑)。24時間走りきったあとの達成感は格別です。もちろんほかのレースも楽しいですが、24時間はなんとも言えない感動がありますよね」と振り返った。

 ワークスではないが、自動車メーカーゆえの知見を活かして戦うHONDA R&D Challenge。今回の結果が市販車にどうフィードバックされるのかが楽しみだ。今後も機会があれば取材する予定なので、お楽しみに。新型CIVIC TYPE-Rでの参戦はいつになるのか!?

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