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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第128回

意外なところから見えた? 完全ワイヤレスイヤホンの2ウェイ化に対して一致する視点

2022年06月20日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 第126回のMEMSスピーカーの記事において、USound社がバランスド・アーマチュア型ドライバーをMEMSドライバーで置き換えると語りながら、完全ワイヤレスイヤホンの50%を2025年にはMEMSスピーカーで置き換えるしていると紹介した。強気の発言だが、完全ワイヤレスイヤホンの大半はダイナミック型ドライバーを搭載しており、実は多少の矛盾も感じていた。しかし、ほかのUSoundの記事を参照することで、その理由が理解できてきた。それはANC付き完全ワイヤレスイヤホンの展望についての興味深い予測であることも分かった。

USoundの提唱する2way TWSの例

 記事では、完全ワイヤレスイヤホンが普及することで高音質への期待が高まるが、それは現在の完全ワイヤレスイヤホンがANCを標準的な装備にしようとするトレンドとトレードオフの関係にあるとしている。USoundによると、ANCを使用する場合には動作を保証するためにどうしても高音域特性が犠牲になってしまうのだそうだ。言い方を変えると、高音質を実現するためには、いずれ高音域用のツィーターを持つ2wayシステムがANC付きの完全ワイヤレスイヤホンに求められる時代が来るということだ。ツィーターを加えることで、ANC自体の性能が上がるわけではないが、高域を担当するドライバーを分けることで、中低位気を担当するダイナミック型ドライバーをよりANCに最適な形で動作させられるようになる。そして、この高音域用ドライバーに現在多く用いられるのが、バランスド・アーマチュア型ドライバーだ。

 USoundの主張はMEMSスピーカーはより振動部分が軽量で高音域特性に優れており、さらに小型化が可能であるということ。発音体が小型であれば音導管も少なくでき、不要な着色感も低減できるという。また、円形のダイナミックドライバーと角形のバランスド・アーマチュア型ドライバーは形状がミスマッチで、設計しにくさが出るとUSoundは指摘している。

 別の視点として、イヤホンではスピーカーなどよりも高域をより強く出したほうがいいとするKnowlesの主張(ノウルズ・カープ)も想起される。イヤホンでは今後2ウェイ化が進むという主張はUSoundとKnowlesの意見が一致するところなのかもしれない。いずれにせよANC完全ワイヤレスイヤホンの将来像について、なかなか興味深い提言であると感じた。

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