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Microsoft Build 2022 Spotlight on Japan完全レポート 第1回

Revitalize Japanに向けた最新テクノロジーと活用を披露

Build 2022の日本マイクロソフト基調講演 産業メタバースやローコード開発の事例を披露

2022年05月26日 07時00分更新

文● 阿久津良和 編集●大谷イビサ

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 マイクロソフトは現地時間2022年5月24日から開発者向けイベント「Microsoft Build 2022」を開催している。今年はグローバル、フランス、ドイツ、ラテンアメリカ、英国、日本に分割した独自セッションを用意した。本稿では日本の基調講演にあたる「Revitalize Japan - 技術革新とコラボレーションの未来を共に創り上げる為に」の概要を紹介する。

DXを実現するアプローチとしての「メタバース」

 最初に登壇した日本マイクロソフト 代表取締役 社長 吉田仁志氏は、「政府によれば日本でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる企業はわずか13%。われわれはRevitalize Japan(日本社会の再活性化)を最優先としている」と述べながら、各産業の現場に根ざして活躍する開発者、市民開発者(シチズンデベロッパー)を鼓舞した。

日本マイクロソフト 代表取締役 社長 吉田仁志氏

 続けてDXを実現するアプローチとしてメタバースにも言及。メタバースは「現実世界を構成する物理世界と、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)を駆使して仮想世界を融合したイマーシブ(没入的)なインターネット」(吉田氏)空間だ。

 ご承知のとおりマイクロソフトは、MRヘッドセットのMicrosoft HoloLensを提供しているが、日本マイクロソフトは「コンシューマー向け、インフォメーションワーカー向け、各産業特化型のメタバース」(吉田氏)の三種に分類した。コンシューマー向けはパイロット視点でゲームに没入できる「Microsoft Flight Simulator 2020」、インフォメーションワーカー向けはアバターを通じたコミュニケーションを実現する「Microsoft Mesh for Teams」。そして産業特化型は物理環境とデジタル環境をMRとデジタルツインで実現するソリューションを取り上げた。

 ナデラCEOの基調講演でも紹介された川崎重工の事例では、ハイブリッド環境における業務遂行と、遠隔地の関係者と打ち合わせする仮想空間を実現。同社では「インダストリアルメタバース」と呼んでいる。さらにマイクロソフトが2017年に設立した「Mixed Reality CaptureStudio」を日本に持ち込み、ニコンが東京都大田区の平和島に設立予定の映像製作拠点で採用されたことも明かした。

川崎重工の「インダストリアルメタバース」

ニコンのイメージ映像

Azure Container Appsの一般提供を開始 Power Pagesもプレビュー版

 続いての登壇者は日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 手島主税氏。開発基盤や開発環境をアピールしつつ、50を超えるBuild 2022のアップデートから、Azure Container Appsの一般提供開始と、Power Pagesのプレビュー版公開に触れた。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 手島主税氏

 手島氏はAzure Container Appsについて、「モダンなマイクロサービスを開発したいが、Kubernetes環境の費用や運用コストが足りず手が出せない。マイクロサービスの一部にKubernetesを取り入れ、必要なときだけ応答する仕組みを開発したい方向けだ。しかし、本サービスはWeb APIのリクエストやバックグラウンド処理イベント、駆動型処理などが利用できる新たなサーバーレスコンテナプラットフォーム。煩雑なインフラ管理やコンテナオーケストレーションの管理が不要になるため、開発者は必要な機能の実装に集中できる」とアピールした。

 また、Microsoft Power Platform(以下、Power Platform)に連なるPower Pagesは、Webサイトを誰も簡単かつスピーディーに開発し、外部向けに素早く公開できるローコード開発サービス。「たとえばCMSをWebサーバーで構築し、公開することが多いものの、これらの煩雑さを排除し、『Power Appsと同じく、手軽に外部サイトを作成したい』との声に応えたという。当然Power Automateによる自動化など、他サービスとのシームレスな統合も実現した」(手島氏)と述べている。

GAに達したAzure Container Apps

新たなWeb開発ツールとなるPower Pages

 Power Platformの事例として経済産業省をピックアップした。同庁はコロナ禍におけるデジタル化を求められているが、法令に基づく行政手続きは約5万8000種類にもおよぶ。そこで各種申請をオンライン化し、審査や交付を行なう「gBizFORM」を構築。申請ページはPower Appsポータル、申請確認ページはPower Appsのモデル駆動型アプリで開発することで、業務負担の軽減に成功した。

 トヨタ自動車もPower Platformで業務改善を実現した企業の一つ。同社のデジタル変革推進室に所属する永田賢二氏はIgnite 2019への参加をきっかけに、Power Platformに強い関心を持った。自らエバンジェリストとして社内の利用者を増やし、現在では遊休設備マッチングアプリなどの多様な業務改善アプリの開発が進んでいる。手島氏は、「最初はPower Platformの初心者だった5名のみなさんが、2週間で完成に至っている。まさに現場主導型の改善アイデア。職場に新しい文化、素晴らしい効果を生み出した」とコメントした。

 吉田氏は結びの言葉として「われわれは創業時の開発言語であるBASICから現在まで、開発者の皆さんを大切にしている。今の日本を変えるのは皆さん一人一人の熱意と行動にかかっている。共に日本の未来をビルドしていこう」(吉田氏)と述べながら、"Revitalize Japan"にかけた思いを強調した。

(提供:日本マイクロソフト)

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