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ターゲットを1000億円以上の企業層まで拡大、さらなる成長を狙う

スーパーストリーム、2022年度事業戦略とインボイス制度対応の新版を発表

2022年05月24日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 キヤノンマーケティングジャパングループのERPベンダー、スーパーストリームは2022年5月23日、2022年度の事業戦略説明会を開催した。主力製品である経営基盤ソリューション「SuperStream-NX」について「年間500社」の導入目標を掲げた。また6月1日にリリースするSuperStream-NX最新版においてインボイス制度に対応し、標準機能として提供することも発表している。

「SuperStream-NX」の画面イメージ

スーパーストリーム 代表取締役社長の村松昇氏、取締役 企画開発本部長の木下昭彦氏、マーケティング部長の瀧頼子氏

年商1000億円以上の企業も新たなターゲットに事業を拡大

 スーパーストリーム 社長の村松昇氏はまず、同社の基本方針について紹介した。時代の変化に応じたユーザーニーズにいち早く取り組むことを特徴としてきた同社が、2025年度に目指す姿は「技術で尖る顧客満足度ナンバーワンのERPメーカー」だという。

 「お客さまから『SuperStreamは一番使いやすい』、『機能をフル活用するところまで伴走してくれる製品だ』と言われたい。また『こんなに速く処理ができるのか』『こんなに簡単につながるのか』と評価をいただけるような、ふたを開ければピカッと光るメーカーになりたい。『日本の会計・人事を変える。もっと優しく、もっと便利に』をミッションとして事業に取り組み、社会の困りごとにリーチして、お客さまを通して社会に貢献したい」(村松氏)

 2022年の重点戦略としては、短期目標/中期目標を合わせて6つを挙げた。短期目標では、従来の中堅企業層から年商1000億円以上の企業層への事業範囲拡大、パートナーとの共創スキームの強化、顧客開拓などに向けて「お客さま接点強化」、「クラウドシフト」、「エンタープライズの強化」を掲げる。今後数年間で目指す中期目標としては、インボイス制度や改正電子帳簿保存法といった「法改正対応」、自動化やAI、シームレスといった点を強化する「次世代NX構想のスタート」、個人の力を高め、ES(従業員満足度)やeNPS(従業員ロイヤルティスコア)の向上を図る「学習・挑戦する組織」を挙げた。

従来の主要ターゲット層よりも大規模な1000億円以上の企業への事業拡大を目指す。また短期/中期で6つの目標を掲げた

 とくに「お客さま接点強化」では、従来のERPに留まらない“BX(バックオフィスDX)”を推進し、オププション製品による自動化やペーパーレスへの取り組みを強化するほか、ESG領域の可視化、意思決定支援、連携サービスによるパートナーとの共創ソリューションの推進に取り組むという。

従来の会計や人事給与の枠にとどまらないバックオフィスのDX=“BX”を支援すると強調した

 村松氏は、さまざまなソリューションを持つパートナーとの連携によって共創ソリューションを構築/提供することを目的に、テーマアップや技術交流会などの取り組みを増やすと語った。またユーザー会「SuperStream User's Group(SSUG)」の活性化も図り、顧客ニーズを吸い上げて、それを基にパートナーと議論していくとしている。

 またERP市場全体の動向についても触れた。ERP市場は年間10%程度の成長率を維持しており、同時にクラウドシフトが進展している。中小企業向けの製品は多い一方で、年商100億円以上の企業を対象とする製品は少ない。これらの背景から、これまでの中堅企業層から「年商1000億円以上の企業にも、ターゲットを拡大していけると考えている」と述べた。

 「大型法改正への対応、コロナ禍やペーパーレスへの対応、ESG領域の可視化、人的資本の戦略活用といった動きが、SuperStreamの事業環境にとっては追い風になる。法改正をトリガーとした導入促進、オプション製品によるペーパーレス化への対応のほか、ESGでは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応、ISO30414による人的資本情報開示のガイドラインなど、いずれも基幹システムとの連携が必要になる。こうした動きを捉えて、ビジネスを成長させていく」(村松氏)

新バージョンでインボイス制度に標準対応

 6月1日から提供を開始する新バージョン「SuperStream-NX 2022-06-01版」では、2023年10月から導入されるインボイス制度に対応することも発表した。保守契約を結んでいる既存ユーザーは追加費用なしでバージョンアップし利用できる。

 具体的には、売り手側の機能として、取引先に対するインボイス発行機能を追加。また買い手側の機能では、受領した請求書や納品書、領収書などの伝票入力処理や、伝票に紐づけた保存が可能となるほか、免税事業者との取引における仕入税額控除への対応、インボイスに記載されている消費税額を既存の業務を変更せずに入力するための支援機能なども用意される。

 入力系の機能は6月1日から提供。また売り手側を対象とする帳票系機能でのインボイス対応は2022年12月を予定している。

 また、固定資産業務においても、資産情報やリース情報にインボイス情報を登録し、会計仕訳と連携するなど、固定資産およびリースに関わるインボイス対応を図る。

6月リリースの最新版でインボイス制度への対応機能を標準搭載する

 スーパーストリーム マーケティング部長の瀧頼子氏は、「インボイス制度に対する関心は高いが、どうやっていいのかがわからないという企業も多い」と述べ、いち早く対応することで、ユーザーが計画的に法対応を進められるようにしたいとした。

 「インボイス制度で利用される適格請求書は、適格請求書発行事業者のみが発行可能であり、登録番号や税率ごとに区分した消費税額を追加するなど、記載事項が増加。一定の事項が記載されていない請求書は、仕入税額控除の対象外となる。一方で請求書を受領する企業は、請求書受領時の業務フローを見直す必要がある。SuperStream-NXでは、統合会計および固定資産を中心にインボイス制度に対応。入力負荷軽減機能を提供し、経理担当者の業務負荷軽減を、システム面からサポートする」(瀧氏)

 さらにインボイス制度への対応だけでははなく、ITツールを活用した経理業務の改善、バックオフィスのデジタルトランスフォーメーション(BX)をサポートして、効率化と負荷軽減を実現すると語る。

 SuperStream-NX 2022-06-01版は、「SuperStream-NX 統合会計」のオンプレミス向けBASE User License が5ユーザーで500万円(税抜、以下同様)。「SuperStream-NX 固定資産管理」のBASE User Licenseは5ユーザーで400万円、固定資産管理を単独導入する場合は5ユーザーで500万円。このほか、クラウドライセンス(オープンプライス)も用意している。

累計導入が1万社を突破、顧客ニーズの変化に対応していく

 SuperStreamシリーズは、1995年の発売以来、2022年3月末に累計導入社数が1万110社となり、目標としていた1万社を突破。累計833社の上場企業への導入実績があり、国内約85社のパートナーを通じた販売および共創体制も構築している。

 スーパーストリーム 取締役 企画開発本部長の木下昭彦氏は、「発売から27年を経過し、会計・人事給与に特化した製品として進化。常に市場の声に耳を傾け、お客さまに活用いただきながら機能を磨き続けることを最も大切にしてきた。バックオフィス業務に散在する課題を解決し、最適な業務環境を提供してきたことが、現在につながっている」と説明する。

 2009年に発足したSSUGにり、現場のリアルな声を聞き、機能改善やサポート支援などへ反映しているのも特徴だ。

 「この10年間で企業を取り巻く環境が大きく変化した。ESG経営が求められたり、労働人口の減少に対応するために生産性を向上するDXが重視されたり、社員満足度を高めながら働き方を改革していくことが求められている。これまで以上にお客さまの声に耳を傾け、AIなどのトレンド技術も採用し、これからも、もっと優しく、もっと便利にしていくことを約束する」(木下氏)

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