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塩は通さず水を高速で通すナノチューブ、東大が開発

2022年05月17日 05時54分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、水を高速で通すが塩は通さないナノチューブを開発した。同様の性質を持つ物質としてはアクアポリンが知られているが、今回開発したナノチューブはアクアポリンの4500倍の速度で水を通すという。海水を淡水化する水処理膜への応用が期待できそうだ。

東京大学の研究チームは、水を高速で通すが塩は通さないナノチューブを開発した。同様の性質を持つ物質としてはアクアポリンが知られているが、今回開発したナノチューブはアクアポリンの4500倍の速度で水を通すという。海水を淡水化する水処理膜への応用が期待できそうだ。 研究チームは内側にフッ素原子が密に結合した大環状化合物を、超分子重合と呼ばれる手法で一列に重ねて、フッ素化ナノチューブを開発した。このナノチューブの内径は0.9ナノメートル。アクアポリンの内径0.3ナノメートルに比べると大きいが、フッ素化ナノチューブの内壁が負に帯電しているため、同じく負に帯電した塩化物イオンの侵入を許さない。さらに、フッ素化ナノチューブの内表面は、水分子の間に働く結合を崩壊させる。一般に数分子のかたまりとして存在している水が、ナノチューブ内部に取り込まれるとバラバラになり、水とチューブ内壁の間の摩擦が低減し高速に水が透過する。 研究成果は5月12日、「サイエンス(Science)」誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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