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kintone認証基盤の活用で、代理店もkintoneアプリに直接データ登録

アロンはなぜ代理店システムの構築にToyokumo kintone App認証を使ったのか?

2022年05月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 「ハウスクリーニングのオン」のブランドでハウスクリーニング事業を展開するアロン。業務管理をExcelからkintoneに乗り換え、トヨクモのFormBridgeやkViewerの導入で業務の見える化を推進している。最近では「Toyokumo kintone App認証」を用いて、代理店システムの効率的な運営につなげているという。kintoneシステム構築を自ら率先して構築しているという代表取締役 橋本有弘氏に話を聞いた。

ハウスクリーニングのオンを展開するアロンのWebサイト

Excelからkintoneへ FromBridgeとkViewerでさらに業務を効率化

 まずは同社のkintoneジャーニーを見ていこう。もともとアロンはハウスクリーニングの業務管理をExcelで行なっていた。お客さまからの依頼を受注し、担当スタッフに発注し、日程を決めたり、支払いを管理したりといった一連の情報をカスタマイズしたExcelで管理していた。

 しかし、サービスの受注件数が増え、社内でも受発注の状況をリアルタイムで見たいという声が上がり、クラウド化を検討することにした。ここで候補に挙がったのが、取引先も使っていたというサイボウズのkintone。大阪梅田のサイボウズオフィスで行なわれたセミナーをきっかけに、同社は2016年にkintoneを導入し、Excelで行なっていた業務管理をkintoneに移行した。

 その後2017年には、Webサイトで受けた問い合わせをkintoneに登録するために、トヨクモの「FormBridge」を導入した。FormBridgeはkintoneのアカウントを持っていないユーザーでもフォーム形式でkintoneにデータを登録できる。「今まではWebサイトで来た問い合わせがメールで飛んでくる形だったので、kintoneに蓄積されている顧客情報と連携させるには、手作業で入力しなければなかった。登録を自動化するために、FormBridgeを導入しました」という背景だ。

アロン 代表取締役 橋本有弘氏

 2020年にはトヨクモの「kViewer」を導入した。kViewerはkintoneアカウントなしで参照したり、編集することが可能になる。こちらはkintoneに登録された発注内容を確認するためのビューを外注先や顧客に提供する。以前はメールで送っていたが、kViewerを導入することで、発注内容の変更があってもリアルタイムに反映される。「お客さまにもkViewerで専用のビューを発行しているので、依頼いただいたサービスの内容をいつでも確認できます」(橋本氏)。

代理店事業でのToyokumo kintone App認証の活用法

 そして、最近導入したのがToyokumo kintone App認証だ。Toyokumo kintone App認証を一言で言えば、kintoneのアカウントを持っていないユーザーに対して、データを共有するための仕組みになる。トヨクモ側がメールアドレスで認証を行なうことで、kintoneデータを参照したり、登録することが可能になるkintoneに限定した認証基盤と言える。

 kintoneアカウントを持っていないユーザーに対してデータを共有するToyokumo kintone App認証と既存のForm BrdgeやkViewerとどこが違うのか? まずページごとのアクセス制御であるFormBridgeやkViewerと異なり、ユーザー認証であるToyokumo kintone App認証では、いったん認証を通ってしまえば、アクセス権を持つページを利用できる。

Toyokumo kintone App認証の仕組み(トヨクモサイトより抜粋)

 Toyokumo kintone App認証は、同社の新規事業である風呂釜洗浄の代理店事業「KIREIYU(キレイユ)」で採用されている。「代理店システムでは、代理店ごとに顧客を管理してもらう必要がありました。でも、本部であるわれわれが代理店側の顧客管理を代行するのも、われわれのシステムに登録してもらうのも難しい。そんなとき、Toyokumo kintoneApp認証の記事を読んで、まさにこれだと思って導入しました」(橋本氏)。

 キレイユ事業の場合、kintoneにアクセスするのは、不特定多数のユーザーではなく、認定された代理店になる。そのため、代理店のメールアドレスで認証を行なうことで、kintoneに登録された自社のデータだけ参照・更新を行なえる。Toyokumo kintone App認証のメールアドレスと、加盟店マスタ、店舗マスタ、契約マスタ、顧客マスタなどをひも付けて、必要なビューを提供できるようになっているという。

 代理店としては、システムを所有することなく、登録した顧客データを再活用できる。橋本氏は、「代理店も手作業・アナログで管理されている事業者が圧倒的です。でも、Toyokumo kintone App認証を使うことで、代理店専用のWebサイトにログインし、問い合わせフォームに入力されたお客さまのデータを確認できます」と語る。また、本部であるアロンは代理店の入力したデータがそのまま自社のkintoneに登録されるため、転記や入力の手間がないのが一番大きい。また、アカウントの再設定なども自動化されるため、認証に関わる運用管理の手間がないのも大きなメリットだ。

認証を経ることで代理店もアロンのkintoneシステムをセキュアに利用できる

 2022年5月時点では40店舗程度が登録しているが、Toyokumo kintone App認証ではIDとパスワードの組み合わせを最大1万までカバーできるため、アロンとしては最大1万件の代理店までカバーできることになる。今後は代理店ごとにポータルをカスタマイズできるようにしたいと考えている。

経営者兼IT担当から見たkintoneとトヨクモ

 もともと橋本氏は、家事代行やハウスクリーニングの会社で責任者を任された経験を元にアロンを起業した。そんな橋本氏から見て、ハウスクリーニングのビジネスは情報共有が命だという。「お客さまのプライバシー空間に入って行なうサービスなので、『ここは入ってはダメ』とか、『この時刻に来てほしい』といった、細かいご要望をきちんと伺うことがとても重要です。でも、オペレーターが要望を聞いても、実際に伺うスタッフときちんと共有できていないと、お客さまは不満につながります」と橋本氏は語る。

 また、リピーターの獲得には、情報共有だけではなく、過去の作業履歴も重要になる。「2回目にお伺いした際に、前回の要望が活かされ、きちんとスタッフに共有されているのかも、お客さまとの信頼関係を築くための重要な要素だと思います」(橋本氏)。kintoneを用いた情報共有の質がスタッフや会社自体への信頼感に直接つながるというわけだ。

 こうした情報共有の課題を解決すべく、IT担当者と共に、経営者である橋本氏自らが中心となり、クラウドサービスの構築・運用を手がけている。「サイボウズにしろ、トヨクモにしろ、おそらく業務の流れを一通り理解していないと構築できないし、構築できたとしてもシステムの運用につながらないと思うんです。これに対して、トヨクモやkintoneは、実務に関わる担当者が使いやすいシステムを作るためのフォーマットを提供してくれています。これはすごく理想的だと思います」と語る。業務知識を元に、現場のためにkintoneのシステムを作り続ける橋本氏の挑戦はまだまだ続く。
 

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