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編集部員の「これ、買いました」 第4回

無骨な雰囲気の人気者:

ミリタリーウェア“定番”の一つ、M-65フィールドジャケットを買う

2022年05月12日 17時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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ミリタリーウェア界でも屈指の人気者

 いきなり上野あたりを歩いていそうな笑顔のアラサー男性の写真で恐縮ですが、今回は筆者が着ているアウターの記事です。以前に記事化した「フランス軍のM-64パーカー」に続いてのミリタリーウェア紹介となります。

 今回のテーマは、アメリカ軍のフィールドジャケット、いわゆる「M-65フィールドジャケット」と呼ばれるものです。正式名称は「COAT, COLD WEATHER, FIELD」。フィールドジャケットとは言いますが、分類としては“コート”なのですね。

M-65フィールドジャケット。持っていなくても、「似たようなものは見たことある」という人は多いのでは

 ミリタリーウェアは、ざっくり言うと、フィールドジャケットと、「MA-1」などでおなじみの「フライトジャケット」に二分できます(海軍に支給された「デッキジャケット」などもありますが……)。M-65フィールドジャケットは、“フィールド”という通り、野戦用のものです。

 M-65フィールドジャケットは、1950年代初頭から1960年代後半に生産された「M-51フィールドジャケット」の後継として開発されました。M-51フィールドジャケットの前面にある4つの大きいポケットや、長すぎないミディアム丈などを引き継ぎつつも改良を加え、1965年から、なんと2008年頃まで納入されました。

M-51フィールドジャケット(COAT, MAN'S, FIELD, OLIVE GREEN 107, M-1951)

 筆者は古着を購入しました。1万2800円。状態もさほど悪くなかったので、納得しております。サイズや状態、後述するモデルの違いなどによって価格は異なってきますので、購入を検討する際は注意が必要かもしれません。

細かくモデルチェンジされています

 M-65フィールドジャケットは数十年も使われていたわけで、細かなマイナーアップデートを繰り返しました。大きく分けて、通称「1st」「2nd」「3th」「4th」の4つのモデルがあります。

 1stは最初期のモデルで、1965〜66年に生産されました。外見は筆者が購入したものと大きくは変わりませんが、肩のエポレットがないという特徴があります。どうしてエポレットがなかったのか、その理由ははっきりしていないそうです。ともかく、1年足らずでモデルチェンジとなりました。非常にレアなモデルといえます。

 2ndはざっくり言うと、1stにエポレットが付いたモデル。「タクシードライバー」でロバート・デ・ニーロが着ていたのはこれです。このモデルも細かくマイナーアップデートされていて、袖口にマチがあったのが廃止されたり(破れやすかったのでしょう)、裏地(ライニング)がグレーのものがあったりします。1971年ぐらいまではこの2ndモデルで、こちらも状態がよいものはなかなか見かけません。

 3rdモデルは筆者が購入したもので、1972年頃から1980年代中頃まで採用されたものです。生産時期が長いこともあり、古着で見かけるのは、このモデルがかなり多いように思います。1st、2ndと比べると、大きな違いとして、ファスナーがアルミからブラス(真鍮)になっています。

 4thモデルではファスナーがプラスチックになります。その理由として、軽量化、消音、海水などの塩害によるサビの防止などが挙げられています。

筆者が購入したのは、通称「3rd」モデル

 細かなアップデートを経て、長年使われ続けたM-65フィールドジャケット。シンプルで機能的、そして無骨なスタイルは、多くの軍のコートに影響を与えたほか、多数のファッションブランドがそのデザインを引用することになりました。

 また、M-65フィールドジャケットを街着のファッションとして着用している例も枚挙にいとまがなく、日本でも(放出品か、レプリカかはともかく)俳優やアイドルが着用しているケースも多いですね。

 もちろん映画などでこれを着用しているケースも多く、たとえば「タクシードライバー」(1976年)でロバート・デ・ニーロが、「ランボー」(1982年)でシルヴェスター・スタローンが着ていたのは有名。M-65フィールドジャケットを着せることで、登場人物に「ベトナム戦争から帰ってきた」という設定を持たせる意味合いもあったわけです。

 それでは、筆者が購入したM-65フィールドジャケットのディテールを見ていきましょう。

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