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機能はもちろんだが、音の進化はやはり見逃せない。

Noble Audioの「FALCON ANC」を聴く、自然でまとまりよく広大な音場

2022年04月28日 13時00分更新

文● ASCII

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 Noble Audioとしては初めてアクティブ・ノイズ・キャンセリング(ANC)に対応した完全ワイヤレスイヤホン「FALCON ANC」が登場する(関連記事)。5月13日の発売に向けて予約を受付中で量販店での販売価格は2万2000円前後。クアルコムが提唱する“Snapdragon Sound”のロゴも取得した多機能な機種になっている。従来機種と比較するとやや高価にはなっているが、機能を考えるとかなりお買い得な機種と言えそうだ。

 いま市場で人気のある完全ワイヤレスイヤホンというと、アップルのAirPodsシリーズやソニーのWF-1000Xシリーズといった製品がまず思い浮かぶ。市場での認知も両社の製品が圧倒的に高い。そんな中、イヤホン専業ブランドで「音のいいイヤホン」として存在感を高めていたのがFALCONシリーズだ。初代のFALCONの登場が2019年。その評判は高く、編集部と量販店各社で進めている「推し家電大賞」でも上述の2社と並び推薦製品の一角を占めた。かなり広い層に支持された製品となった。その後も「FALCON 2」「FALCON PRO」などラインアップを拡充。クアルコムの最新技術を積極的に取り入れつつ進化を続けている。

 FALCON ANCはそんなFALCONシリーズの最新機種にして、初のANC対応機種だ。最新Bluetoothチップ(SoC)の「QCC3056」を採用しており、通信・DAC・アンプなどに加え、ノイズキャンセル機能などもクアルコムのプラットフォームを活用して実現しているようだ。こういった機種は、今後増えてくるだろう。

 ただし、クアルコムの○○というチップを搭載しているから、Snapdragon Soundに対応しているから……といった理由だけで音質が決まるわけではない。アコースティックの部分、そしてEQカーブなどそのチップの使いこなしがあって音質は決まる。

 FALCON ANCでは直径10mmと大型化した新ドライバーの採用に加え、ノイズキャンセル活用時、外音取り込み時、使用しない場合など各モードで出音に差が出ないようにするなど、細かなチューニングを施したうえで市場投入されている。また、テレワークが増えた昨今の事情も考慮し、マイクも口元に近い位置に変更。こうした内部の更新もあって、従来機種とはかなり印象の異なる外観となった。

外観は従来機種から大きく変化

 装着感や音質はどうだろうか? ここは従来のFALCONからかなり変わっている部分だ。装着感は快適性だけでなく、遮音性にも影響が強く、音質の差という点でも重要だ。筆者としては従来機種と比較して、イヤーチップの選択がより重要になりそうな印象を持った。標準は低反発タイプでやや小型のものだが、筆者耳の穴が大きめのため合わず、初回出荷時のみに付属しているSpinfitの「P360-F」の一番大きいものがよくマッチした。密閉型イヤホンではイヤーチップがうまく合わないと安定性の面でも遮音性の面でもデメリットが増えるので慎重に選びたい。

 直径10mmのDual-Layered Titanium Driverは樹脂層(PU)とチタン層の2層構造で、歴代のFALCONの6mmより大型化している。低域の力感が向上するだけでなく、歪みを抑えながら20Hz~42kHzまでの広域再生もできるワイドレンジドライバーで、深く沈み込みつつ反応のいい低域、立体感のある中域、高解像度な高域を優れたバランスで実現できたという。

 音質は非常によく、価格帯では下になる旧機種「FALCON 2」と比較すると、スケール感にしても解像感にしても一皮むけた進化を感じる。ANCをONにしても悪影響は少ないし、ボーカルなどの存在感、低域の音圧感など全体に強化されているのが分かる。主に低域の改善からだと思うが、音に安定感があって曲に実在感が出ている。価格帯では上のハイブリッドイヤホン「FALCON PRO」との比較では低域の量感、高域のシャープさなど複数ドライバーを持つFALCON PROならではの良さを感じる一方で、FALCON ANCはひと世代進んだバランスの良さというか、チューニングの自然さがある。シングルダイナミック型なのでなおさらそう感じるかもしれないが、低域から高域まで特徴的な部分や刺激的な部分がなく、よりうまく音がつながる印象もある。高域も目立ちすぎず、聴きやすい方向にまとめているので、長時間のリスニングでも負担が少ないように思った。

 Noble Audioでは好評の音質はそのままに、あらゆる場所、あらゆるシーンで“いい音”を届けられ、ガジェットとしての使い勝手も進化させたとする。新開発のアプリは「音楽を思い通りにコントロールするための強力なツールとなる」という自信も見せている。

 ANC機能はフィードフォワード/フィードバックの両方を組み合わせたハイブリッド方式で、アプリを通じ3段階の効果が選べる。チューニングにもこだわっており、ANCのオン/オフ、ヒアスルーなど3つのモードで帯域バランスの変化が出ないよう繊細に調整を加えているそうだ。そのぶん開発に時間がかかったが、ANC搭載でも従来のFALCONシリーズと遜色なくそれを上回る高音質が得られたと自信を示す。ここはクアルコム社からの協力も得て実現した部分で、創業者でオーディオロジストのジョン・モールトン氏のこだわりが存分に発揮された形と言える。

音の良さにクアルコムの多機能も加わった

 また、ヒアスルー音量も大中小の3段階が選べるため常時オンにしていても快適だというが、ここも実際に使っていて納得がいくまとまりの良さだと思う。

 Snapdragon Soundに対応。Bluetooth 5.2準拠でSoCはクアルコム最新世代の「QCC3056」を採用。SBCやAACに加え、aptX Adaptiveによる最大96kHz/24bitの伝送、低遅延、aptX Voiceによる高い通話品質を持つ。左右同時伝送の“TrueWireless Mirroring”に対応。内蔵アンテナ位置を細かく調整して接続安定性を高める“High Precision Connect Technology3”を採用、マルチペアリングだけでなく2台までのマルチポイント接続も可能となっている。また声を拾いやすくするためにシェルの形状を変更し、指向性マイクを下側に配置するようにした。付け心地もソフトになっているという。

 連続再生時間は約6時間(音量100%/ANCオフ/SBCの状態)。音量を60%まで下げれば約8.5時間に伸びるという。連続通話時間は約4時間。充電ケースではイヤホン本体を4回充電できる。IPX4相当の防滴性能を持つ。イヤホン本体の重量は約6.5g。充電ケースの重量は約52gだ。

 

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