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第5回 大河原克行の「2020年代の次世代コンピューティング最前線」

量子コンピュータを牽引するIBMが捉える変曲点。1121量子ビットの「Condor」プロセッサー登場へ

文●大河原克行

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 量子コンピュータは、未来のテクノロジーと言われてきた。だが、この数年で、研究開発分野での活用に留まらず、企業がビジネスにおいて、量子コンピュータを活用する時代が訪れている。

 その流れを牽引している1社がIBMである。

 2018年に、IBMリサーチを率いていた米IBMのジョン・ケリー シニアバイスプレジデント(当時)にインタビューした際、量子コンピュータについて、次のような回答が返ってきたことを思い出す。

「最初に量子コンピュータを考えたときには、これを生涯のうちに見ることができるかどうかを疑問視していた。しかし10年ほど前から、この勢いであれば、量子コンピュータを見ることができるだろうと考えるようになった。そしていまでは、それが現実のものになっている。それだけ、量子コンピュータの進化は、指数関数的になっている」 

 最先端の研究者ですら、想像しなかった勢いで、量子コンピュータは進化し、一気に実用化の域にまで到達しているのだ。

 IBMが量子コンピュータの研究を開始したのは、1970年代にさかのぼる。

 量子コンピュータの論理に関する研究から始まり、量子効果を制御する技術が現実になった2000年以降は、その研究を一気に加速。2016年には、5量子bitの量子コンピュータ「IBM Quantum Experience」を稼働させ、IBM Cloudを通じて世界中の研究者が利用できるようにした。

 その後の進化はさらに加速している。

 2017年5月には、16量子ビットのIBM Qシステムを発表。このとき、IBMリサーチのディレクターを務めていた現IBM会長兼CEOのアービンド・クリシュナ氏は、「量子コンピュータはいま始まったところであるが、いまこそが、ITの歴史に残る、歴史的瞬間である」と発言。「古典コンピュータの性能がさらにあがっても、苦手なものがたくさんあり、それはいくら訓練しても克服できない。それをカバーするのが量子コンピュータ。できることはなにかを導き出し、解決不能と考えられていた問題を解決できるようになる」と述べた。

IBMのアービンド・クリシュナ会長兼CEO

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