量子技術は、次世代の重要な技術に位置づけられているのは明らかだ。では、日本の量子技術のポジションは、いまどこにあるのか。その動きを捉える上で、象徴な取り組みがある。
2021年9月1日、「量子技術イノベーション立国」として、日本が確固たるポジションを獲得することを目指し、産官学が連携する形で設立した「量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR=Quantum STrategic industry Alliance for Revolution)」がそれである。
2021年9月の設立時点で、伊藤忠テクノソリューションズ、SBSホールディングス、キヤノン、JSR、住友商事、SOMPOホールディングス、第一生命保険、大日本印刷、大和証券グループ、長大、東京海上ホールディングス、東芝、凸版印刷、トヨタ自動車、NEC、NTT、日立製作所、富士通、みずほフィナンシャルグループ、三井住友海上火災保険、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産、三菱ケミカル、三菱電機の24社が名前を連ねて発足。
運営委員会の委員長には、東芝の綱川智取締役会議長(当時は社長)が就任し、副委員長にはNECの遠藤信博会長、NTTの篠原弘道会長、日立製作所の東原敏昭会長、富士通の時田隆仁社長、三菱ケミカルの和賀昌之社長が就いた。運営委員には、トヨタ自動車の内山田竹志会長も参加している。また、実行委員長には、島田太郎執行役上席常務(現・東芝社長)が就任している。
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