ELDEN RINGを快適にプレイするために必要なPC環境を実プレイで探る

文●石川ひさよし 編集●北村/ASCII

2022年02月27日 12時00分

 フロム・ソフトウェアの最新タイトル「ELDEN RING」(エルデンリング)が2月25日にリリースされた。オープンワールドのアクションRPGタイトルだ。PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X、同Series S、Xbox Oneに加え、PC(Windows)用にも展開される。

 今回は、ELDEN RINGを快適に楽しむためのPCハードウェアスペックを探るべく、GIGABYTEのGeForceビデオカード3製品を切り換えつつフレームレートを計測してみた。

 ELDEN RINGのハードウェア動作要件はすでに公表されているが、あらためてここでも紹介しておこう。

必要動作環境
CPU Core i5-8400(第8世代6コア6スレッド)
Ryzen 3 3300X(Zen2世代4コア8スレッド)
メモリー 12GB
ビデオカード GeForce GTX 1060 3GB
Radeon RX 580 4GB
DirectX DirectX 12(FEATURE LEVEL 12.0)
ストレージ容量 60GB以上
サウンド Windows互換オーディオデバイス
OS Windows 10
推奨動作環境
CPU Core i7-8700K(第8世代6コア12スレッド)
Ryzen 5 3600XZen2世代6コア12スレッド)
メモリー 16GB
ビデオカード GeForce GTX 1070 8GB
Radeon RX Vega 56 8GB
DirectX DirectX 12(FEATURE LEVEL 12.0)
ストレージ容量 60GB以上
サウンド Windows互換オーディオデバイス
OS Windows 11/10

 必要動作環境はCPU、GPUともに開発当時のミドルレンジクラス、推奨動作環境は開発当時のハイエンドクラスのパーツと言える。

 現在の最新パーツは、CPU、GPUともに高性能化が進んでおり、一つ下のクラスでも要件を満たせるかもしれないが、そうしたところは実際に動かしてみなければわからない。それでは今回の検証環境を紹介しよう。

テスト環境
CPU インテル「Core i5-12600K」
(10コア/16スレッド)
CPUクーラー GIGABYTE「AORUS WATERFORCE X 280」
(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「Z690M AORUS ELITE DDR4」
(インテルZ690、Micro ATX)
メモリー GIGABYTE「AORUS RGB MEMORY GA-AR36C18S8K2HU416RD」
(8GB×2、DDR4-3600)
ビデオカード GIGABYTE「GeForce GTX 1660 GAMING OC 6G」
GIGABYTE「GeForce RTX 3050 GAMING OC 8G」
GIGABYTE「GeForce RTX 3070 VISION OC 8G」
ストレージ GIGABYTE「AORUS Gen4 SSD GP-AG41TB」
(1TB、PCIe 4.0 x4 NVMe SSD)
OS Windows 11

 CPUのCore i5-12600Kは、現在で言えばミドルレンジだが10コア16スレッドというスペックは、推奨動作環境のCore i7-8700Kを上回る。一方、今回お借りしたビデオカードは、GeForce GTX 1660、GeForce RTX 3050、GeForce RTX 3070だ。

第12世代インテルCoreプロセッサーの「Core i5-12600K」

水冷クーラーは280mmラジエーター搭載の「AORUS WATERFORCE X 280」

インテルB6660チップセットを搭載するGIGABYTEのマザーボード「Z690M AORUS ELITE DDR4」

メモリーはDDR4-3600対応のGIGABYTE「AORUS RGB MEMORY」。8GB×2枚を用意した

SSDはPCIe 4.0に対応する「AORUS Gen4 SSD」の1TBモデル

 GeForce RTX 3070は最新ハイエンドモデルなのでなんら不安はないとして、GeForce GTX 1660、GeForce RTX 3050は最新世代とは言えミドルレンジよりもやや下である。ゲームにおいてはビデオカード(GPU性能)の影響が大きいため、プレイ可能としてもどのくらいの解像度、どのくらいの画質設定でどのくらいのフレームレートが出せるのか注目だ。

推奨動作環境に近いスペックのGIGABYTE「GeForce GTX 1660 GAMING OC 6G」

1月29日に発売されたばかりの最新モデルとなるGIGABYTE「GeForce RTX 3050 GAMING OC 8G」

4K解像度+最高画質を狙えるGIGABYTE「GeForce RTX 3070 VISION OC 8G」

 あらかじめ、ビデオカードの性能を見る標準ベンチマークと言える「3DMark」のスコアを紹介しておこう。

ELDEN RINGで計測する前に、3DMarkで各ビデオカードの性能差をチェック

 ビデオカード性能としてはGeForce RTX 3070を搭載するGeForce RTX 3070 VISION OC 8Gがもっとも高く、頭一つ抜け出している。これに続くのがGeForce RTX 3050を搭載するGeForce RTX 3050 GAMING OC 8G。GeForce RTX 3050はリアルタイムレイトレーシングをはじめとした次世代グラフィック機能をサポートするRTX 30シリーズのエントリーGPUだ。

 そしてGeForce GTX 1660を搭載するGeForce GTX 1660 GAMING OC 6Gが続くが、GeForce RTX 3050とのスコア差はそこまで大きくない。性能と価格はおおよそ比例する。ただし、現在、需要と供給の関係でビデオカード全般の価格が高くなっており、コストパフォーマンスを考慮する必要があるだろう。

ELDEN RINGのさまざまなシーンでフレームレートを計測

 では、ELDEN RINGの計測方法について説明しよう。計測ポイントは計8ヵ所。ELDEN RINGはビルトインベンチマークを搭載していないため、フレームレートの計測には「CapFrameX」を用い、60秒(1分)間のログを取得しそこから計算した。

 なお、フロム・ソフトウェアのPC版ゲームは60fpsが上限だ。そのため、たとえばGeForce RTX 3070で1920×1080ドットプレイ時などでは余力があっても60fpsという表記になる。この点にも注意していただきたい。

 また、ELDEN RINGでは最高、高、中、低という4つの画質プリセットが用意されている。これら画質と解像度の組み合わせで負荷は変化し、得られるフレームレートも変わる。ここでは画質と解像度の組み合わせで3つのパターンを設定し計測した。1920×1080ドット&低画質設定(フルHD低)、1920×1080ドット&高画質設定(フルHD高)、3840×2160ドット&最高画質設定(4K最高)だ。それでは計測結果をご覧いただこう。

1つ目リムグレイブ東部、小黄金樹の幹を周回するコース

2つ目は小黄金樹から少し南に下った森の中にいる狼の集団との戦闘シーン

3つ目は小黄金樹の西の森にいる熊との戦闘シーン

4つ目はリムグレイブ西部、関門前の廃墟にあるキャンプでの戦闘シーン

5つ目はアギール湖の飛竜アギールとの戦闘シーン

6つ目は関門前の廃墟から嵐の丘に抜ける谷での巨人との戦闘シーン

7つ目はリムグレイブ東部と西部を分ける川にある「曇り川の洞窟」での戦闘シーン

8つ目はマップの南側にある啜り泣きの半島、モーンの城、昇降機前にいる巨人が放つ矢を避けながら進むシーン

 シーンによって描画するオブジェクト数やテクスチャー量、エフェクトが変わるため、フレームレートにも多少の違いがあるが、全体的な傾向は同じだ。

 もっとも負荷が低い1920×1080ドット&低画質設定は3つのビデオカードすべてで平均60fps前後を満たせる。3D性能としては3枚のビデオカードのうちもっとも低いGeForce GTX 1660について見ると、低位1%でも50fps台後半なので、あまりフレームレートの低下、たとえば映像がカクカクするようなことは感じないだろう。

 GeForce GTX 1660とGeForce RTX 3050のフレームレートはそこまで大きく違いはない。ただし低位1%や最小fpsに関しては、より性能が高いGeForce RTX 3050のほうが高い。つまりGeForce RTX 3050を選んで余裕を持たせる選択もありだ。

 1920×1080ドット&高画質設定も同様の傾向だが、GeForce GTX 1660では低位1%で50fpsを下回ることが増えてくる。つまり、カクカクした映像になる瞬間が増える。一つ上の性能のGeForce RTX 3050なら低位1%でも55fps程度確保できている。1920×1080ドット&高画質設定を狙うなら、GeForce RTX 3050のほうが適していると言えるだろう。

 3840×2160ドット&最高画質設定は、GeForce GTX 1660とGeForce RTX 3050が平均30fps前後まで下がる。これらのビデオカードは1920×1080ドットで楽しむためのスペックと言える。3840×2160ドット&最高画質を狙えるのはGeForce RTX 3070だけだ。

 ただし、平均fpsで50fps台半ば、低位1%は40fps台であるから、理想的な60fpsを狙うなら一つ落として3840×2160ドット&高画質設定や、2560×1440ドット&最高画質設定とするのがいいだろう。あるいはGeForce RTX 3080以上のGPUを搭載するビデオカードを組み合わせるのがよい。

 簡単なテストだが、ELDEN RINGとビデオカード性能、解像度と画質設定についての検証は以上のとおりだ。

フルHDならGeForce RTX 3050で高画質設定が狙える

 ELDEN RINGの美しい世界観を楽しむなら、できるだけ高い画質を狙いたい。画質設定を変更して印象が変わるのはキャラクターの描画だ。もちろん今回の3枚のビデオカードでもっとも理想的なものと言えばGeForce RTX 3070として、お手持ちの液晶ディスプレーが1920×1080ドットならばGeForce RTX 3050で高画質設定が狙える。

 さらに余裕を見てGeForce RTX 3060クラスの製品との組み合わせもいいのではないだろうか。また、そこまで予算を割けない、あるいは画質よりもプレイできることを優先したいのであればGeForce GTX 1660でもいい。ということでGeForce GTX 1660をエントリー向けと評価したい。今回の検証がELDEN RING用にゲーミングPCを組む際の参考となれば幸いだ。

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