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認知症リスクを検出する脳MR画像解析AI。デジタル連携がカギ

脳ドック用プログラムBrainSuiteで脳健康のための正しい生活習慣を知る

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このスタートアップに聞きたい

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 高齢化の進む日本において、認知症患者の増加が喫緊の課題の1つとなっている。2012年時点で国内の患者数は460万人を超えており、2025年には600万人を超えると予測されている。国内の医薬品メーカーもその治療薬の開発を急いでおり、米国メーカーと共同開発を行うなど、世界中で開発競争が激化している。

 一方で、認知症にならないようにする予防医療についても様々な視点から研究が進められている。株式会社CogSmart(コグスマート)は東北大学加齢医学研究所の研究成果に基づいた脳の健康レベルを診断し、認知症にならないよう生活習慣改善アドバイスなどを行う脳ドック用プログラム「BrainSuite(ブレインスイート)」を開発・サービス提供している。同社代表取締役CEOの樋口彰氏に、同社のビジョンやBrainSuiteの概要を聞いた。

東北大学加齢医学研究所による20年間の蓄積が認知症予防の光を産む

 CogSmartは東北大学加齢医学研究所発の医療ヘルスケアスタートアップであり、同研究所教授の瀧靖之氏が進めてきたヒトの脳に関する研究を基盤技術として持っている。特に約8年間にわたり約400名の健常者に対して継続的に収集した、脳MR画像データベースは世界でも類を見ないものとなっている。

 この画像データベースには、被験者の海馬の体積データとともに、運動、喫煙、アルコール摂取、睡眠、食生活などに関する生活習慣データも収集されている。すなわち、健常な人の脳がどのような生活習慣によってどのように変化していくのかを知れる。この画像データベースにAIを組み合わせることによって開発されたのがCogSmart社の脳ドック用プログラム「BrainSuite」だ。

 脳ドックの受診者には、脳の萎縮や認知症の傾向を発見できるのではないかという期待を持つ人が少なくなかったが、実際の脳ドックにはそのような機能はない。BrainSuiteは脳ドックの受診者に向けて、現在の認知機能・脳健康状態を評価し、脳の健康の維持・改善に向けたアドバイスを提供する。

 脳の海馬はヒトの記憶を司る部位であり、アルツハイマー型認知症の場合には、海馬の顕著な萎縮が認められるとされている。BrainSuiteを使うと、今後どのように海馬が縮小していくと想定されるかがわかる。加えて、どのような生活習慣の改善を行うと、海馬で神経の生まれ変わりである「神経新生」が起きるかをわかりやすくアドバイスしてくれる。

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