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docomo Open House'22レポート

6Gの世界、デジタルのデータが私たちの筋肉を動かし始める未来

2022年01月24日 11時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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docomo Open House'22を見てきた

 NTTドコモが、「docomo Open House'22」を開催した。

 docomo Open House'22は、ドコモの研究開発や最新技術を活用したソリューションなど幅広い取り組みを紹介する展示会イベントだ。前身となる「DOCOMO R&D Open House」も含めると、2014年から毎年開催されており、今回で7回目の開催となる。

 今年はオンラインでの開催となったが、メディア向けには現地での取材会が開催された。いくつかのソリューションを体験してきたので、その様子をお届けしたい。

ガイドブックの代わりにARグラスを活用

ARグラス「Nreal Air」

 まずは「ARグラスによる新観光体験」の展示内容を紹介。NTTドコモでは、2020年の10月から、ARグラス「Nreal Air」を販売している。およそ76gの軽量なデザインと、ノーマルなサングラスに近い見た目が特徴のARグラスで、130インチ相当のARディスプレーを投影することが可能だ。

 対応するAndroidスマートフォンとの接続では、ARグラス内の仮想3次元空間上において、複数のコンテンツを同時に投影する「MR Space」モードも使える。同じ動画を見ながら、誰かとコミュニケーションをするといった使い方も可能だ。

ガイドブックを見ることなく、観光情報を得ることができる

 展示内容はこれを活用したもの。Nreal Airを装着しながら、浅草の街並みを模したパネルを眺めると、各観光名所の上にキャプションがオーバーレイ表示された。手元のスマートフォンでポインターを操作すれば、景色を眺めながら、AR上で観光地の情報が得られ、ガイドブックに目線を移す必要もなくなる。

 各名所とキャプションのずれがほとんどなく、また動きもスムースだったことから、十分に実用段階に入っていると感じた。現在は世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、海外旅行が難しい状況となっているが、いずれインバウンドが戻れば、すぐにでも使い始められそうだ。

 現時点では、市区町村などの自治体や、観光施設の運営企業などへの販売を見込んでいるが、将来的には、一般消費者向けにも提供する可能性があるとのこと。アフターコロナの観光は、以前とは少し違った趣を持つのかもしれない。

離れていても、ロボットで“直接”操作を教えられる

 高齢の親戚などにスマートフォンの操作を電話で教えていて、伝えたい内容がうまく伝わらず、困った経験はないだろうか。

 親戚中のパソコンやスマートフォンの先生になってしまうのは、ITの媒体で働いている私たちの“あるある”だが、かく言う私も、「矢印が四角で囲んであるマークを押して、緑色で、白い丸が入っているアイコンを選択してください」「点がみっつ横に並んでいるマークを押して、開いたメニューから『編集』を押してください」など、遠隔地の親戚に、言葉で操作を伝えるのには苦労している。

スマートフォン操作支援ロボット

 ユカイ工学とNTTドコモが共同開発した「スマートフォン操作支援ロボット」は、カメラと、ロボットアームを模した可動式のスタイラスを備えるロボットだ。

 スマートフォンをセットすると、遠隔地のスマートフォンから、セットしたスマートフォンの画面を映像で参照できるようになる。遠隔地のスマートフォン上で画面をタップしたりスワイプしたりすると、スマートフォン操作支援ロボットのスタイラスも、同じように動く。

 つまり、離れていながら、その場にいるように実際に操作をして見せることが可能になるのだ。これは素晴らしい発明だ。言葉で10回伝えるよりも、1回操作して見せた方が伝わりやすく、早い。実際に操作をしている様子も見せてもらったが、多少のラグはあるものの、かなり正確。意図した動作が、ロボットにセットしたスマートフォンにストレートに伝わっていた。

 パソコンとスマートフォンの先生である私は、すぐにでもこのロボットを使いたいと思った。現時点では、ドコモショップで貸し出しをするスキームを検討しているとのことだが、買える価格なら、買ってしまいたいくらいである。

 個人利用だけでなく、ビジネスとして運営されている教室の遠隔化を促進することにも使えるのではないか。

データセンターの空調をAIで低コスト化

 BtoBでは、NTTファシリティーズが提供している「スマート空調制御システム<Smart DASH>」が目を引いた。

スマート空調制御システム<Smart DASH>の駆動イメージ

 大規模なデータセンターでは、サーバーが高温になるのを防ぐため、常に冷房を入れておく必要がある。しかし一般的な空調設備では、どこを冷やすかを細かく指定することはできない。結果的に、冷やす必要のない部分まで冷やすしかなかった。

冷やす必要があるポイントを可視化できる

 <Smart DASH>をインストールすると、室内のワイヤレス温度センサーモジュールと空調機を関連づけて、各センサー計測値の変動に合わせてAIが空調機を選定し、自動で制御する。これにより、空調に関する消費電力を、最大で30%削減できるのだという。

 単純に計算すれば、100万円かかるクーラーの電気代を70万円に、1000万円かかっていたなら700万円にまでに減らせることになる。インストールにもある程度の金額が必要になるものの、データセンターの規模によっては、かなり早い段階でペイできるのではないだろうか。

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