このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第15回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年1月8日~14日

オンライン商談ツールはBtoCにシフト、フロントライン労働者のストレス軽減策、ほか

2022年01月17日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2022年1月8日~14日)は、パーソナルデータ活用サービス、フロントライン従事者のストレス、オンライン商談ツール、マルチクラウド、国内エンプラシステム市場についてのデータを紹介します。

■[個人情報][プライバシー]パーソナルデータ活用サービスを「利用したい」は23%(NTTデータ経営研究所、1月14日)
・約10%がパーソナルデータ活用サービスの利用経験あり、23%が利用意向示す
・信頼度が高いのは「銀行」「クレジットカード」などの金融系
・サービス選択条件のトップは「安全管理措置の確保」

 NTTコム リサーチ登録モニターを対象に、情報銀行などパーソナルデータ活用サービスに関して一般消費者の意識を調べた。利用経験がある人は10%(「利用経験があり今後も利用したい」8%と「利用経験はあるが今後も利用したいと思わない」2.6%の合算)、23.1%が「利用したことはないが今後利用したいと思う」と回答。利用意向を見せている層にどうアプローチするかが鍵になるとしている。信頼度が最も高いのは、「銀行」(23.2%)や「クレジットカード会社」(18.4%)など金融機関、ついでインフラ企業となった。

パーソナルデータを活用したサービスに対して、23%が利用意向を示している

パーソナルデータを活用したサービスを選択する条件としては、「安全管理措置の確保」が最も多く選ばれている

■[DX]フロントライン従事者のストレス軽減は? 昇給、有給、テクノロジーに期待(マイクロソフト、1月13日)
・フロントライン従事者は“グレートリシャッフル”――米国で450万人が退職
・転職する理由は「昇給」「ワークライフバランス」「働き方の柔軟性」など
・63%がテクノロジーがもたらす雇用機会に期待

 Microsoftの労働トレンドインデックス「Work Trend Index」の一部として、世界9600人のフロントライン従事者と管理者を対象に調べた。店頭、医療、必須インフラなどで最前線を受け持つフロントライン従事者は、「新型コロナでも在宅勤務ができない」などの理由から高いストレスレベルが続いている。米国では2021年11月に450万人が退職しているが、LinkedInのデータから多くが別の経験を求めて転職していると予想している。テクノロジーはストレス軽減につながる要素の3番目に挙がった。

フロントライン従事者は互いに絆を感じているが、多くが「経営陣が職場文化の構築を重視していない」と感じている

ストレスの軽減として、「給与の増加」「有給休暇」「仕事を容易にするテクノロジーツール」などが挙がった

■[生活][DX]オンライン商談ツールはBtoCが市場を牽引、2020~2025年は66%で成長(アイ・ティ・アール、1月13日)
・オンライン商談システム市場、2021年は前年比27%増で成長
・2020~2025年の年平均成長率(CAGR)は19%
・BtoB向けは一巡してマイナス成長、BtoCはCAGR 66.5%で成長

 コロナ禍で営業スタイルも変化を強いられる中で、2020年度のオンライン商談システム市場規模は26億円に。2019年の倍となった。2021年は前年比26.9%増と落ち着くと予想している。BtoB向けは一巡したことから、市場が縮小する一方でBtoCが成長を牽引する、これまで窓口を使っていたやりとりがオンラインで行われるようになると見込む。金融・保険で導入が進んでいるほか、高齢の富裕層向けの旅行、不動産、百貨店などの接客業務で拡大が見込まれると予想している。

オンライン商談システムはBtoBは減少、BtoCが成長を契印する

■[クラウド][AI]日本企業の81%がマルチクラウド、AI運用率は49%(インフォマティカ、1月13日)
・日本企業の81%がマルチクラウドを利用、世界全体の3分の2より高い比率
・クラウド中心の運用モデルの導入は14%、APJの中でも低い
・AIの運用率は49%で、APJ平均の35%を上回る

 インフォマティカがIDCに委託して、日本を含む10カ国でおこなった調査より。複数のクラウドを利用する(マルチクラウド)企業は世界の3分の2、日本でも81%が利用していると回答した。だがクラウド中心型の運用モデルについては、日本はわずか14%しか導入しておらず、APJの中でも低い結果に。データ管理に費やす時間についても、日本は最も少ないという。企業データの管理者が役員やリーダー職を務める企業は17%、これもAPJ全体の67%と比較して少ないことがわかった。「クラウド活用が標準化しつつある中、分散化が加速するデータを管理・統合するための運用モデルや人的リソースに対して、十分な投資がなされていない」と指摘している。

日本企業の8割強がマルチクラウド環境にある

データ管理では、クラウド中心の運用モデルを実行していないなどの課題が浮き彫りに

■[インフラ]国内エンプラインフラ市場は2021年、前年比7.2%減(IDC Japan、1月11日)
・2021年の国内エンタープライズインフラ市場は6596億8300万円、前年比7.2%減(予測)
・2020~2025年のCAGRはマイナス0.1%――2021年はマイナス成長、22年よりプラス成長へ
・SoR(Systems of Record)はマイナス1%だがSoE(Systems of Engagement)はプラス3.4%

 サーバーとエンタープライズストレージシステム(ExternalおよびStorage Expansionのみ)を合算した国内エンタープライズインフラ市場は2021年、前年比7.2%マイナスの6596億8300万円と予測。2020年に市場を後押しした公共機関向け大型スパコンを補う規模の案件がないこと、半導体不足などが要因となっている。システムタイプ別ではSoE/SoI(Systems of Insight)がプラス3.4%で成長、配備モデルではパブリッククラウドが前年比18%増で最も高い成長率を予想している。

国内エンタープライズインフラ市場は2020~25年、CAGRマイナス0.1%と予想している

カテゴリートップへ

この連載の記事

アクセスランキング

集計期間:
2024年03月22日~2024年03月28日
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード