このページの本文へ

各種ベンチマークで性能をチェック、CINEBENNCH R23計測時のCPUの温度も計測

空冷PCでもCore i7-12700Kの性能が引き出せる! ハイエンドゲーミングPC「G-Master Spear Z690/D4」の実力をチェック

2022年01月29日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「G-Master Spear Z690/D4」

 空冷ながら高速なCPUとビデオカードを搭載し、ハイエンド構成が可能なサイコムのゲーミングパソコン「G-Master Spear Z690/D4」。通気性に優れ、冷却しやすいPCケース「MasterBox CM694」と、大きなヒートシンクで協力にCPUを冷やすサイドフローのCPUクーラー「NH-U12S redux」を採用しているのが特徴だ。

 前回は主にパーツ構成や内部について紹介したが、今回は性能面をみていこう。

 試用したG-Master Spear Z690/D4は、標準構成からビデオカードをMSI製「GeForce RTX 3070 VENTUS 2X 8G OC LHR」(GeForce RTX 3070搭載)、電源をSilverStone製「SST-ST85F-PT」(850W、80PLUS Platinum)へと変更したモデルとなる。

フロントは大部分がメッシュで通気性は高い

G-Master Spear Z690/D4の主なスペック
CPU Core i7-12700K (3.6GHz~最大5.0GHz)、12コア(Pコア8+Eコア4)/20スレッド
CPUクーラー Noctua NH-U12S redux
グラフィックス GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC(試用機はGeForce RTX3070 8GB MSI製GeForce RTX 3070 VENTUS 2X 8G OC LHR採用)
マザーボード MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4
メモリー 16GB(8GB×2)
ストレージ 521GB SSD(Intel SSD 670p Series)
内蔵ドライブ DVDスーパーマルチドライブ(ASUS DRW-24D5MT)+ 書込みソフト
通信規格 有線LAN(2.5GBASE-T)、無線LAN(IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)、Bluetooth 5.1
電源 SilverStone SST-ST75F-GS V3、650W/80PLUS Bronze(試用機はSilverStone SST-ST85F-PT 、850W/80PLUS Platinum)
PCケース Cooler Master CM694(試用機はCoolerMaster CM694 TG)
OS Windows 10 Home(64bit)

空冷でも安定して動いてる?
もっとも気になるCPU性能&温度をチェック!

 搭載されているCPUは、Core i7-12700K。性質の異なる2種類のコアを搭載したCPUで、負荷の高い処理を行うPコア(Performance-cores)を8つ、消費電力の少ないEコア(Efficient-cores)を4つ搭載した、16コア/20スレッドのCPUとなる。

「HWiNFO」で各コアの動作クロックをチェックしたところ。Pコア、Eコアという2種類のコアが異なるクロックで動作していた

 PコアやEコアの詳しい説明は、加藤勝明氏の「CINEBENCH最強の座を奪還!Core i9-12900K、Core i7-12700K、Core i5-12600K速報レビュー」に譲るが、この第12世代CoreでインテルCPUは大きく性能を伸ばし、コストパフォーマンス面でも優れたCPUとなった。

 ただし、消費電力や発熱も大きめになっているため、CPUクーラーには高い冷却性能が求められる。

 早速だが、このCore i7-12700Kがどのくらいの性能なのか、ベンチマークソフトの「CINEBENCH R23」を使って調べてみよう。このソフトは、約10分間のCGレンダリング処理から、CPU性能を測ってくれるもの。結果はptsという数値で表示され、この値が高ければ高いほど高性能となる。

 全コアを使うマルチスレッドの「Multi Core」、シングルスレッドとなる「Single Core」という2つのテストが実行可能。CGレンダリングはマルチスレッドに向いている用途になるため、CPUの最大性能をみるのに適したテストとなる。裏を返すと、CPUに非常に高い負荷をかけるテストともいえる。

「CINEBENCH R23」の結果は、Multi Coreが22627pts、Single Coreが1923ptsと、非常に高いものとなっていた

 結果はみてのとおりで、Multi Coreが22627pts。別PCとなるが、手元の過去データと比べてみると、ひと世代前のCore i7-11700Kは13785ptsとなっていた。単純比較で、60%以上も高速化していたことになる。

 Core i7-11700Kは8コア/16スレッドCPU。EコアぶんCore i7-12700Kの方が多いとはいえ、それ以上の性能差といえるだろう。第12世代Coreプロセッサーで性能が大きく伸びたというのも納得できる結果だ。

 ちなみにライバルとなるRyzen 7シリーズも軽く凌駕。スコアで比較すると、Ryzen 9 5900Xの21691ptsが対抗となるだろう。格上のCPUと互角以上に戦える性能があることに驚かされる。

 これだけ性能が高いと、発熱もかなりのものになりそうだ。

 搭載されている空冷CPUクーラー「NH-U12S redux」は、廉価版とはいえ冷却性能は定評あり、どこまでCPU温度の上昇が抑えられているのか気になるところ。

 そこで、「HWiNFO」を使い、CINEBENCH R23のMulti Coreテスト実行中の温度をチェック。約10分間でどこまで温度が上がるのかチェックしたところ、最大で94度まで上昇していた。

「HWiNFO」で「CPU Package」の温度をチェック。最大は91℃だが、多くの場合80℃台後半で安定していた

 若干温度は高めとはいえ、80度台後半で安定していたというのは悪くない結果だ。もちろんファンの回転数が高くなるため駆動音は大きくなるものの、一般的な空冷パソコンよりも明らかに静か。ファンが唸るような音はしないため、気にすることなく利用できる。

 Core i7-12700Kの性能を引き出しながら、騒音も抑えられている点で、素直に感心してしまった。

定番ベンチマークソフトでG-Master Spear Z690/D4の実力をチェック

 空冷クーラーでもCPUが問題なく動作することが分かったところで、パソコンとしての性能をみていこう。

 まずは「PCMark 10」を使った総合性能から。総合スコアだけでなく、アプリの起動時間やビデオ会議、ブラウザーの性能をみる「Essentials」、Officeソフトなどの動作をみる「Productivity」、写真やビデオ編集、レンダリングなどの性能をみる「Digital Content Creation」というスコアもチェック可能だ。

「PCMark 10」のスコアは8695。Essentialsが11521、Productivityが11266、Digital Content Creationが13745と、どれもが高スコアだ

 結果はみてのとおり。CPUが強力ということもあって、8000台後半と高いものになっていた。各サブスコアも高レベルで、11000以上を記録。とくにGeForce RTX 3070を搭載していることから、Digital Content Creationのスコアが高くなっている。

 続いてストレージの性能だ。メインストレージとしてPCIe 3.0接続のNVMe対応SSD、「Intel SSD 670p」(512GB)が搭載されている。このSSDは公称値でシーケンシャルリード3000MB/秒、ライト1600MB/秒となる製品だ。

「CrystalDiskMark」でストレージ性能をチェック。シーケンシャルリード、ライトとも、しっかりと公称値を超えてきた

 結果はシーケンシャルリードが約3065MB/秒、ライトが約1643MB/秒と公称値を上回るもの。しっかりと性能が出せていることが分かる。

 このSSDは性能よりもコストパフォーマンスに優れたものとなるため、より高速なSSDや、より大容量のSSDがほしいという場合、BTOオプションで変更してやるといいだろう。

 サイコムの魅力は、このBTOメニューが豊富なこと。容量の変更だけでなく、メーカーや型番まで細かく選べるのだ。速度を重視で「WD Black SN850」シリーズや、「SAMSUNG 980 PRO」シリーズを選ぶ、といったこともできるのがうれしい。

 最後は、ゲーミングパソコンでもっとも気になる3Dグラフィック性能。定番ベンチマークとなる「3DMark」と、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の2つを試してみた。

「3DMark」は複数のテストがあるが、「Time Spy」の結果がこちら。DirectX 12世代、2560×1440ドットの解像度でのテストとなる

 3DMarkの「Time Spy」の結果をみると、スコアは13447。Core i7-12700KとGeForce RTX 3070の組み合わせは非常にゲーミング性能が高く、文句なしの性能といえるだろう。

 3DMarkにはこれ以外にも、DirectX 11世代となる「Fire Strike」、レイトレーシングテストとなる「Port Royal」などもあるので、そちらの結果もまとめておこう。

3DMarkの結果

 ちなみに、「Extreme」や「Ultra」とついているのは解像度が違いで、より重たいテストになっている。

 もう1つ、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果もみていこう。ベンチマークソフトとしての登場は少し前だが、今でも重量級のテストとなっている。

 設定はプリセットから「高品質」「フルスクリーン」を選択。解像度は「1920×1080ドット」「2560×1440ドット」「3840×2160ドット」の3種類で試した。

1920×1080ドットでのスコアは12756で、評価は「非常に快適」。文句なしに遊べるレベルだ

2560×1440ドットでもスコアは高く、9597。評価も「とても快適」となっており、ストレスなく遊べる

3840×2160ドットではさすがにスコアが落ち、5834に。といっても評価は「やや快適」で、シーンによってカクツキがあるかもしれないが、プレーへの影響は少ない

 結果は以上のとおりで、2560×1440ドットまでなら文句なしに快適に遊べる性能がある。3840×2160ドットでもよほど重たいシーンでなければまず問題ないので、大画面で遊びたい、画質を優先したいという人ならこの解像度で遊ぶのもありだろう。

長く使えるメインパソコン、ゲーミングパソコンがほしい人に

 ゲーミングパソコンは高価な買い物となるだけに、製品選びはなかなか決断が難しい。G-Master Spear Z690/D4はサイズが大きめで、轟音ではないものの静音性もそこまで高くはなく、水冷クーラー採用などの目玉となる部分もない。

 しかし、ハイエンド構成でも性能がしっかりと出せるパーツ選び、拡張性の高い余裕のケース内スペースがあり、使い勝手の面では文句なしに高レベル。購入時の構成のまま使い続けるのもいいし、パーツの増設・換装による強化もしやすい。

 どんなゲームも快適に動作する性能が欲しいというのはもちろん、将来の強化も視野に入れ、長く使えるパソコンが欲しいと考えているなら、G-Master Spear Z690/D4を選んで間違いはない。その期待に応えてくれるだけのポテンシャルのある製品だ。

カテゴリートップへ