独自スパコンを導入するグーグルやマイクロソフト
だが、日本での産業利用が進展する一方、北米のIT企業では、自らスーパーコンピュータを導入する動きが加速しており、グーグルやマイクロソフトは独自に高性能のスーパーコンピュータを導入して、AI研究などに生かしている。
2021年11月のTOP500ランキングでは、マイクロソフトのスーパーコンピュータ「Voyager-EUS2」が、初めてトップ10入りし、グーグルやエヌビディア、テスラもAIに関する性能ランキングなどで上位に入っている。
豊富な資金力を背景に、企業が独自にスーパーコンピュータを導入することで、開発競争にも優位性を発揮しようというわけだ。
富岳やHPCIを産業利用することで、現時点で、日本の企業は、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)よりも、高い性能のスーパーコンピュータを活用できる環境にあるともいえるが、今後は企業が持つスーパーコンピュータとの組み合わせ利用を積極化する必要もありそうだ。
日本の産業の競争力を高めるためにも、企業におけるスーパーコンピュータの活用促進は、ますます重要な要素になるだろう。
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