年末なので1年を振り返るネタでいこうかと思っていたのだが、あにはからんや、12月になって大物の新製品が出てきたのであった。ソニーの「α7IV」である。ミラーレス一眼の、いやデジタル一眼界のスタンダードモデルとして長く頑張ってきた「α7III」であるが、発売から3年。後継機が待たれていたところで年末すべりこみである。
もちろん猫瞳AFは健在。個人的には背面モニターがチルト式からバリアングル式に変わってしまったのが残念なのだけど、そこも時代の要請と思えば仕方がないのかもしれない。
何はともあれ新しいカメラがきたらうちの猫だ。まずはかふか。ちょっと暗い部屋でキャリーバッグに入って寝てるところを左手で撫でながら右手で撮影。ブレないようにシャッタースピードを上げて撮る。ISO感度がぐぐっと上がるけど、ノイズは全然気にならなくて、この画質の安定感はさすが。
次はソファでくつろいでる黒猫のミル。相変わらず黒猫の猫瞳AFは得意ではないのだけど、これだけくわっと目を見開いてくれれば文句なし。
前モデルに比べて、画素数が増えたり(約2400万画素→約3300万画素)はしたけど、全体にメニューのデザインが新しくなって、ボタンやレバーの配置もちょっと違ったり、動画関連が強化されて本格的な映像作品作りも視界に入れるなど、全体的に時代に合わせてモダンになった感じ。
では届いたばかりのα7IVを持って散歩である。この日は猫とは全然関係ない撮影だったのだけど、たまたま駐車場の端に怪しい発泡スチロールの箱を見つけたのだ。何が怪しいって、四角く穴が開けられてるのである。しかも雨上がり。
もしかしているかなと思ったら、中でくつろいでおりました。発泡スチロールの中は温かいし濡れないものな。猫ハウスにはいいよな。
バリアングルモニターを開いて(こういうときはチルト式の方が便利なのだけど)しゃがんで猫と高さを合わせたら、中の猫がこちらの気配を感じて目を開いたとたん、猫瞳AFが仕事してくれた。よきかなよきかな。
と、猫に構ってる場合じゃないのだった(実はモデルさんを待たせてる)、と移動しようとすると、どこからともなく猫の声がする。声のする方に近づいてみると、階段の途中できれいなハチワレ発見(冒頭写真)。人を呼んでるのか、こっち来るなと言ってるのかわからないけれども、この段から動かないのであった。
不思議なもので、ひょんなところで猫と出会うと、さらに次々と目の前に現れる。近くにあった公園に入ると、若い2人連れが公園の隅っこの方を見ている。意味もなく見てるわけがないわけで、視線を追うと枯葉砦の中に猫が。砦ってのも変だな。なんかうまい具合に幹の周りに枯葉の土塁、いや土じゃないので枯葉塁(?)ができてて、砦に立て籠もるように2匹の猫が寝てたのである。
誰かが作ったのか、たまたま幹の周りに枯葉を掃き集めたらそこに猫が自分で居場所を作ったのかわからないけど、枯葉ベッドの猫ってなかなかいいのである。さすがにこれは猫瞳AF聞かないので普通に一点AFで。ちなみにわたしがαシリーズで撮るときは被写体を指定して、AF-ONボタンでトラッキングAFかけることが多い。
最後はソニーが2021年に突如発売した、小型軽量の単焦点レンズシリーズから50mm F2.5を。このレンズ、単焦点レンズにしてはF2.5とあまり明るくはないのだけど、絞りリングもついてて使いやすいのである。いい感じに近寄らせてくれるハチワレがいたのでそっとローアングルで。ちょっと目を閉じてたけど、背景のボケ方もほわっと柔らかくてきれいでいいレンズかも。
かくして年末にふさわしい新スタンダードモデルの登場なのだった。
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筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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