ユーザックシステムに聞いたWebEDI自動化と名人マーケットのメリット

WebEDIの自動化にAutoジョブ名人はなぜ最適なのか?

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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 ユーザックシステムのRPA製品「Autoジョブ名人」は、小売・流通業界の取引で利用されているWebEDIとの連携が強みだ。Autoジョブ名人はなぜWebEDIに最適なのか? ユーザックシステム RPAカスタマーサクセス部 渡辺 大輔氏に話を聞いた。

ユーザックシステム RPAカスタマーサクセス部 渡辺 大輔氏

WebEDI化で作業の負荷やミスが増える事態に

 EDIとは「Electronic Data Interchange」を意味しており、文字通り企業間の取引で必要なデータ交換をデジタルで行なう仕組みを指しており、おもに小売・流通業で活用されてきた(関連記事:EDIの教科書 ~EDIの始まりから流通BMS、ISDN終了問題(2024年問題)まで~)。WebEDIはもちろんそのWeb版を指す。従来のEDIは特別なモデム・TA(ターミナルアダプタ)などが利用された専用システムだったが、WebEDIはインターネットに接続されたPCとWebブラウザがあれば実現できるため、2000年以降は利用が増えている。このWebEDIの処理を自動化できるのが、ユーザックシステムのRPAである「Autoジョブ名人」になる。

 ユーザックシステムがなぜWebEDIに取り組むようになったのか? ここには同社がRPAを開発する経緯も絡んでくる。

 業務パッケージソフトベンダーのユーザックシステムは、元々EDIに対応するパッケージソフトEOS名人を提供していた。同社が提供していたEOS名人自体は前述したように特別なモデムやTAを使った専用システムだったが、処理自体は自動化されていたという。しかし、WebEDIになった途端、自動化されない部分が増えてしまったという。「専用システムでない代わりに、WebEDIのブラウザ操作を人手でやらなくてはならなくなってしまったお客さまが増えてしまったんです」と渡辺氏は語る。

 人手を介したWebEDIの課題は、まずミスが許されないということだ。取引先によっては受発注のみならず、出荷や請求、支払いのデータを扱う場合もあるが、いずれにせよ企業にとっては重要なデータ。操作漏れやミスは取引先との関係悪化につながる可能性もある。また、WebEDIの操作手順が各社で微妙に違うため、取引先が増えると煩雑な業務になりがちだ。当然、担当者が固定化してしまい、担当者が休みをとったり、辞めたりすると受注業務に大きな影響がでてしまう 。

 こうした顧客の悩みに応えたのが、Webブラウザ操作の自動化を可能にするユーザックのRPAの始まりだ。「お客さまのWebEDIでは、受注データのダウンロードを忘れたり、異なるファイルを登録してしまうといったミスが出たり、この人しか操作できないという属人化が起こるようになりました。『なんとかならないの?』という相談を受け、2004年にRPAでAutoジョブ名人の前身であるAutoブラウザ名人を開発しました」と渡辺氏は語る。

きめ細かさが必要なWebEDIの業務を自動化するRPA

 WebEDIで発注データを利用する手順としては、相手から指定されたWebEDIサイトにログインし、メニュー画面から最新データを検索し、ファイルをダウンロード。これを自社の販売管理システムに登録するというのが一般手順となる。それぞれの操作自体は難しくないのだが、取引先が増えると作業は増え、販売管理システムの処理時間によってはさらに時間がかかる業務となってしまう。

 しかし、Autoジョブ名人を利用すると、これら一連の作業が自動化される。相手先のWeb EDIサイトにログインし、最新のファイルをダウンロード。さらに自社の販売管理システムに直接受注データを取り込む。「販売管理システムにデータをコピー&ペーストするという方法もありますが、データが多いと時間もかかるし、エラーも増えます。その点、弊社は販売管理システムに直接受注データを連携できます」と渡辺氏はアピールする。一部の作業ではなく、WebEDIの作業フロー全体を自動化できるのが大きなメリットだ。

 処理時間を細かく指定できるスケジューリング機能を標準搭載しているのもAutoジョブ名人の売りの一つ。Windowsのタスクスケジューラーで設定すると、1つのサイトが混んでいてアクセスできずリトライを繰り返しているうちに、次のタスクの実行時間と重なりエラーになる恐れがあります。しかし、Autoジョブ名人では前のタスクの終了を待って実行するなど、きめ細かなスケジューリングが可能で、安定度が高い。月次の請求処理のために月に1度動作させるとか、休日なので次の日に処理を振り返るといった細かいスケジューリングも可能だ。

 Autoジョブ名人で実現するWebEDI自動化のメリットについて渡辺氏は、「まず手作業がなくなりますし、出荷も早くなります。属人化も解消できるので、担当者がわざわざ出社する必要もありません。また、受発注の端末が会社にあっても自動処理されるので、停電や自然災害などのBCP対策にもなります 。夜中にRPAが取り込み処理を進めれば、担当者が朝来たらすぐに出荷できるようになります」とアピールする。

WebEDIごとの受注業務を名人マーケットが自動化

 Autoジョブ名人がWebEDIに最適な理由は、さまざまなWebEDIのデータ形式に対応しているからだ。

 受発注に用いられるデータはテキストをカンマで区切った汎用のCSVデータなのだが、製品や事業者によって形式が異なる。カンマで区切られた並びやカラム数が違うし、「製品」が「商品」という表記になっていたり、桁数や日付の表記も異なる。また、商品名や型番、納品先なども取引用と社内用で別々に存在する場合もある。さらに、データを取り込む際は、このデータを基幹システム用に変換しなければならない。

 こうしたWebEDIサイトごとに異なるデータ形式の変換を容易に実現するのが、Autoジョブ名人のWebEDI標準化ライブラリ「名人マーケット」になる。名人マーケットで販売されている自動化シナリオ(スクリプト)をダウンロードし 、ユーザーごとのログイン情報や検索条件を設定。Autoジョブ名人に取り込むと、WebEDIにおける受注業務の自動化が実現する。

名人マーケットを用いたWebEDIの自動化

 現在(2021年11月時点)で用意されているのが43種類で、食品、ホテル、アパレルのWebサイトやWebEDI製品に対応している。基本は商談ありきでライブラリを開発し、年内はキャンペーンにつき、無償で開発している。 「たとえば、BtoBプラットフォームであるインフォマートは利用企業がすでに60万社を超えています。今後は電子や機械部品を扱う製造業などに増やしていきたいです」と渡辺氏は語る。

 RPAの開発にはそれなりに時間がかかるが、名人マーケットを使えば各社各様のWebEDIの受注業務は簡単に自動化できる。検証済みの自動化シナリオを、Autoジョブ名人ですぐに使えるのは大きなメリット。また、プロが作ったスクリプトを教材として学ぶことも可能だ。最近は電子帳簿保存法の改正で電子データの自動保存に関しても、さまざまな連携が実現するという。

 個別開発ではなく、自動化用のスクリプトをマーケットとして公開したねらいについて渡辺氏は、「WebEDIは得意分野ですので、さまざまな開発を手がけてきましたが、毎回個別開発しても、われわれもお客さまもメリットが少ない。同じWebEDIシステムの自動化シナリオであれば標準化して提供し、お客様の業務のスピードを少しでも上げていけないかというのは、以前から考えていました」と語る。

 また、販売管理システムに関しても、現在は大塚商会の「SMILEファミリー」、内田洋行の「スーパーカクテル」、OBCの「奉行シリーズ」などに対応しているが、今後は連携する製品を増やし、さらなる標準化を進めていくという。

2024年問題、電帳法改正などで加速するWebEDIのニーズに応える

 WebEDIでのRPA導入はすでに数百社にのぼっている。基本はWebで発注する企業が多いので、小売業や製造業がメイン。最近では、ホテルやECの受注も増えている。

 たとえば、パルグループホールディングスやテラオはECサイトでの受注業務を自動化した。「IT化が進んでいると見られがちなECサイトだが、バックエンドは意外とアナログ。作業が追いつかないで大変という会社は多いです」と渡辺氏は語る。

 廣記商行は440社以上の取引先との受注業務を自動化した。「日伝さんはEDIセンターを作ってもらい、受注は人がゼロ。受注量が増えても、人を増やすことがありません」(関連記事:RPA導入でEDI連携を加速した日伝が語る「構築と運用」のコツとは?)といった事例もある。

 今後、成長が見込まれるのが、2024年問題での需要増だ。これは2024年のISDNサービスの終了にあわせて、ISDNを使っていた従来型のEDIを刷新する動きを指す(関連記事:2024年問題とは?EDI再構築のポイント)。渡辺氏は「いずれにせよ、流通BMSか、インターネットを用いたWebEDIの二択になります。電帳法改正によって、紙からの脱却も進むので、WebEDIのニーズはますます増えていくと思います」と語る。

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