このページの本文へ

新たなマーケティング支援、Microsoft Baseの全都道府県展開、データ&AIの取り組みなど

日本MS、Azureを通じた幅広い日本企業のDX支援施策を紹介

2021年11月29日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 日本マイクロソフト(日本MS)は2021年11月26日、「Microsoft Azure」の国内施策に関する記者説明会を開催した。日本の企業のDXを推進する新たな取り組みとして「Find new value on Azure」を打ち出し、これを促進するための「Find new value on Azure Marketing Accelerator(FAMA=ファーマ)」を展開すると発表している。

 日本マイクロソフト Azureビジネス本部 プロダクトマーケティング部の田中啓之部長は、「Find new Value on Azureは、米国本社が打ち出しているビジョンや戦略に沿うかたちで、日本企業の課題を踏まえて最適化したDX推進施策の総称。日本マイクロソフトとして独自に打ち出したもので、新たな価値の発見、創出を、Azureを中心としたクラウドプラットフォームで提供していく」と位置づけた。

「Find new value on Azure」のキービジュアル

日本マイクロソフト Azureビジネス本部 プロダクトマーケティング部 部長の田中啓之氏、日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏

 Find new Value on Azureでは、日本マイクロソフトだけでなくパートナー企業、ユーザー企業とともに「Find new Value on Azure」のキービジュアルを使用して、日本におけるDXの推進を行うという。FAMAにおいては、日本マイクロソフトが指定するテンプレートに従って簡易的なビジネスプランを提出すると、各種特典を提供。これを活用したマーケティング活動などを行うことができる。

 具体的なマーケティング支援策としては、キービジュアルやPower Point向けテンプレートなどの共通クリエイティブの無償提供、Find new value on Azure特設サイト(2021年12月以降に開設)を通じたソリューションなどの訴求、公式ブログであるMicrosoft Base blogへの技術情報の投稿、Microsoft Azureの各種支援プログラムの利用相談、PoC用途でのAzureの無償提供などがある。

パートナーのマーケティング支援策「FAMA」の概要

 取り組みの第1弾として、「Data & AI」に関する情報をWebサイトを通じて発信するという。田中氏は、「国内におけるAzure Synapse AnalyticsやAzure Purviewの導入事例などを紹介し、日本におけるデータ活用や分析の促進につなげたい」と述べる。

 「データは最も戦略的な資産であるが、日本ではデータの利活用が進んでいないという実態がある。膨大なデータを迅速に活用していくことがビジネスの秘訣であり、データドリブンな企業は、そうでない企業に比べて売上高や利益が54%増加し、新たなサービスの市場投入までの時間を44%短縮し、顧客満足度は62%高まっている」(田中氏)

データとAI、アプリのモダナイズに関する最新の取り組み

 Data & AIに関連するAzureの最新サービス群とその国内採用動向についても紹介された。

 「Azure Synapse Analytics」は、データの統合処理、ビッグデータの分析や可視化、機械学習を実装する統合データ基盤だ。2021年2月にリリースされ、発売時点に比べて国内売上成長が35%増、国内導入企業が240社以上、国内公開事例数が17社に達しているという。

 導入企業の1社であるNTTドコモでは、1日16億件の通信、通話データを処理するTraffic DWHのEOSLにあわせて、プライベートクラウドとSynapse Analyticsのハイブリッド構成へと移行した。従来の「SQL Server 2014」によるオンプレミス構成のパフォーマンスを維持しながら、半分以下のハードウェアコストで運用できているという。今後、Synapse Analyticsを活用してdポイント会員のデータ分析を行うことで、新たな顧客体験の創出につなげる方針だ。

 またアドインテでは、国内最大級のリテールメディアプラットフォームを支えるデータ分析基盤としてSynapse Analyticsと「Databricks」を活用。ワン・トゥ・ワンマーケティングのソリューションとして、広告配信などに活用しているという。

「Azure Synapse Analytics」の国内最新事例、NTTドコモとアドインテ

 またデータガバナンスソリューションである「Azure Purview」については、国内初の導入事例として横河電機での活用を紹介。工場内で発生するさまざまなデータを、Azure Purviewによって一元的に管理。使いたい機能をいち早く検索し、セキュアに活用できる環境を整えたという。

 「Azure Purviewは2021年9月にリリースし、2021年内には国内リージョンでの展開を予定している。2022年3月まで、Azure Purviewに関するPoC費用を一部負担するといった取り組みも行っている」(田中氏)

横河電機における「Azure Purview」の導入事例と、Azure PurviewのPoC向け一部無償提供

 さらに、データ分析においては「Azure OpenAI Service」のプライベートプレビュー版の提供を開始した。これはOpenAIが持つ巨大な言語モデル「GPT-3」をAzure上で利用できるもので、「すでに世界数十万社から利用したいという声が出ている」という。

 アプリケーションのモダナイゼーションについても「テクノロジー/製品」「パートナーソリューション」「スキリング」の3点から進めている。他方で田中氏は、日本では.NETベースで開発されているアプリが数多く存在し、世界でも開発者に最も好まれているフレームワークが「.NET Core」という調査結果も出ていると述べた。

 「2021年11月には新たに『.NET 6』をリリースしており、今後も.NETベースの開発支援を力強く継続していく。また、同じく11月に発表した『Visual Studio 2022』により、開発者の生産性向上、アジリティ向上を実現することができる」(田中氏)

マイクロソフトは今月、「.NET 6」や「Visual Studio 2022」をリリースした

Microsoft Baseでは新たに2拠点を発表、全都道府県への展開目標も

 先月、拠点拡大方針を明らかにしていたMicrosoft Baseの取り組みについても、あらためて説明した。

 コロナ禍を受けて休止していた実拠点での活動を、2021年11月26日からすべての拠点で再開する。今後は、オンラインを組み合わせたハイブリッドによる活動を進めることになる。また2022年3月までに新たに6拠点を開設して全国18拠点とすること、2023年6月までには47の全都道府県に拡大する計画も正式に公表した。

 Microsoft Baseは、2019年12月にAzure Baseとしてスタート。東京・代官山と大阪、佐賀の3拠点は日本マイクロソフトが直営するが、その他の9拠点は各地域のパートナー企業が展開している。地域と密に連携し、地域DXの推進、地域課題の解決に取り組むほか、地域における情報発信基地や教育の場としての役割を担う拠点と位置づけられている。2021年7月から、Microsoft Baseに名称を変更している。

 すでに新潟・加茂、名古屋・本山、伊勢、那覇への新設が発表されているが、今回新たに東京・虎ノ門(日本ビジネスシステムズ運営)、長野(TOSYS運営)の2拠点だ。

Microsoft Baseは2022年3月までに8拠点を追加、合計18拠点となる。全都道府県への展開目標も発表した

 もうひとつ新たな施策として発表したのが、「Solution Competency Center」の取り組みだ。これは日本独自の施策として展開するもので、パートナーが持つソリューションや知見、ノウハウを融合。パートナーとの共同販売の強化なども行う。2021年8月から、複数のパートナー企業とともに試験的に運用を開始しており、8社のパートナーが参加して正式にスタートした。2022年6月までにさらに10社のパートナーが参加する予定だ。

日本独自の施策として「Solution Competency Center」を発表

DX支援でのさまざまな取り組みも紹介

 日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部の上原正太郎本部長は、日本市場におけるDXとその課題について述べた。

 総務省「情報通信白書2021年度版」では、DXに取り組んでいる日本の企業がわずか13%であることが示されている。さらに調査会社によると、日本のAI市場成長率は47.9%増であるものの世界に比べて伸び率が低く、ビッグデータの活用では63カ国中63番目、ITエンジニアの72%がIT企業に集中するなど、日本市場には「特異性」があるという。

 さらに今後、2024年までに65%のアプリケーションがローコード開発になること、社内IT部門が供給するモバイルアプリが5倍になること、マーケットプレイスで取引されるアプリケーションの量が70%増えること、といったDXを取り巻く新たな動きの予測を示しながら、「AIの市場成長や企業成長の起爆剤になるデータ活用という観点では、むしろ伸びしろがあると捉えることができる。また、内製化の波をどう作るのかということが、今後の日本マイクロソフトの課題にもなる」(上原氏)と述べた。

デジタル化/DXを推進する企業向けの人材開発支援策

 DX支援ではその他の取り組みも活発だ。国内の大手企業新規ビジネスプラン創出に向けた「Empower Japan Intrapreneur Community」では、現在実施中のシーズン2において23社36人が参加。2022年4月からシーズン3のプログラムを開始することを発表した。同時に、スタートアップ企業支援施策である「Microsoft for Startups」では、国内だけで350社以上に提供している実績を示しながら、2021年10月からはLinkedInアカウントのみで加入できる「Microsoft for startups Founders Hub」を開始。新たなプログラムでは「未上場のスタートアップ企業すべてが対象になり、Microsoft Azureに加えて、最大35万ドル相当のベネフィットを提供。メンターリングによるサポートも行う」(田中氏)という。

 パートナーとの取り組みでは「業界に特化したところに、イノベーションの伸びしろがある」(上原氏)としたうえで、そうした領域でのビジネス協業を進めており、特に国内企業全体の9割以上を占める中小企業におけるクラウド活用の加速を支援していると述べ、「デジタル庁の発足に伴う官公庁分野での新たなパートナー連携を進めているところだ」とした。

 「日本マイクロソフトのコアバリューは、日本のお客様、パートナーとともに、最新テクノロジーを活用した日本のDX 推進を加速させるためのプラットフォームやリソースを作り上げるために、持続的な支援を提供し続ける点にある」(上原氏)

■関連サイト

カテゴリートップへ