連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第9回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月20日~11月26日分
30~50代の83%が「仕事の専門力は必要」、カフェでのPC作業は見られやすい、技術者の量子コンピュータ認知率、ほか
2021年11月29日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2021年11月20日~11月26日)は、ミドル世代の仕事と専門分野、UXハイプ・サイクル、データ活用の課題、テレワークと私用端末、量子コンピュータの認知度についての調査を紹介します。
■[仕事]ミドル世代の83%が「仕事の専門力が必要」(エン・ジャパン、11月25日)
・ミドル世代の83%が仕事において専門力を持つことは重要
・上位の専門分野は「マネジメント」「業務管理」「営業戦略・営業企画」
・自分の専門力が「代替不可能」と思う人は11%にとどまる
エン・ジャパンの求人情報サイトを利用する35歳以上のミドル世代(30~50代)1564人が「仕事の専門力」について答えた。83%が仕事の専門力は「必要」と回答、世代が高いほど重視する傾向が強い。理由は「希望する仕事に就ける」がトップ。専門分野として多くが挙げたのが「マネジメント」「業務管理」などで、本業での実務経験で身につけた人がほとんど(90%以上)。一方で、自分の専門力を「代替不可能」と考える人は11%にとどまり、31%が「代替可能」と回答している。
■[トレンド]ガートナーがユーザー体験(UX)のハイプ・サイクルを発表(ガートナージャパン、11月25日)
・「人間中心のAI」「五感センサ」「仮想オフィス」など人間の経験・体験に関わるテクノロジーを追加
・Wi-Fi 6、MRなどが「過度な期待のピーク期」
・これから流行る「黎明期」は没入型ワークスペース、仮想オフィスなど
ガートナージャパンのリサーチノート「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」より。ユーザー(顧客や従業員など)に提供するUXの技術のハイプサイクルでは、MR(複合現実)、スマート・スマートワークスペース、Wi-Fi 6などが「過度な期待」のピーク期に。AR、VR、スマートスピーカーなどは幻滅期に入った。「テクノロジ・ドリブン」から「ユーザー・セントリック」への変換が重要、とガートナーのアナリストは助言する。
■[DX][IoT]データ利活用の課題は「人材不足」と「複雑なシステム」、ローカル5Gは15%以上が導入(IDC Japan、11月25日)
・データ利活用の課題は「データサイエンススキル不足」
・データ活用レベルが低い企業は「システムの過度な複雑化」「ビジョン/意識の欠如」が課題
・ローカル5Gは15%が活用中
社員100人以上の企業に実施した定量調査「データ利活用統括者調査」と「IoT担当者調査」より。企業のデータ活用レベルを3段階に分け、人材/スキル、組織構造、経営方針/企業文化、技術/データガバナンス、業務プロセスの5分野で課題を尋ねたところ、「データサイエンススキル不足」「システムの過度な複雑化」などが多く挙がった。IoTの調査では、ローカル5Gは全体の15%強が「活用中」、45.2%が「採用は未定」と回答した。採用が未定である理由のトップは「導入価値/ROIが不明確」だった。
■[仕事][働き方]私用端末でテレワーク経験者は64.7%、業務を他人に見られやすい場所は「飲食店」がトップ(MMD研究所、11月17日)
・64.7%がテレワークで私用端末を業務利用した経験あり
・セキュリティ面で気をつけていることは「ウイルス感染」「端末の盗難・紛失」「メールの誤送信」
・他人の業務作業が見えた/話が聞こえた場所は「飲食店」「公共交通機関」
10月末にスマートフォンを所有する会社員約3800人を対象とした「テレワークにおけるデジタル端末の利用に関する調査」より。テレワークで使用する端末は「以前から使っている会社支給デジタル端末」が52.4%とトップ、28.3%が「新たに支給された」と回答した。私物の端末を業務利用した経験がある人は64.7%。テレワークをする場所として、自宅以外では「飲食店」「ホテル」などが多く挙がった。その一方で「他人の業務作業が見えた場所」として、PCは「飲食店」、スマホは電車など「公共交通機関」が、また「話が聞こえた場所」は「飲食店」がトップだった。業務情報の漏洩にはご注意を。
■[技術]量子コンピュータを認知している技術者は73.3%、実用化は4割が「3~10年未満」と予想(BlueMeme、11月19日)
・量子コンピュータが「注目されている」ことを知っている技術者は73%
・ただし、その約4割は量子コンピュータの活用法を「具体的に知らない」
・量子コンピュータを「活用してみたい」技術者は64%
国内ソフトウェア関連企業に勤務するシステム開発者101人を対象に、量子コンピュータに対する認識の実態を調べた。従来型コンピュータの限界が見えていることを知っている人は54.4%、量子コンピュータが注目されている理由として75%が「処理能力」、63%が「従来のコンピュータでは解けない問題を解ける可能性がある」を挙げた。一方で、活用方法について具体的に「知っている」技術者は62.1%にとどまる。64.3%が「活用してみたい」と興味を示した。
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