Z690マザーでNVMe SSDが認識しない!? 「Intel VMD」で変わるOSインストールの手順

文●藤田 忠 編集●北村/ASCII

2021年11月04日 22時00分

BIOSでIntel VMDが無効になっていれば問題なし
有効の場合はWindowsがNVMe SSDを認識しない

 第12世代Coreプロセッサーとともに登場したLGA1700向けのチップセットIntel 600シリーズでは、「Intel VMD(インテル ボリューム・マネジメント・デバイス)」技術が新たに導入されている。

 システムストレージのパフォーマンスを最大5%向上させるとともに、PCIe NVMeストレージの互換性問題を緩和するというユーザーにメリットのある新技術なのだが、この技術がちょっとくせ者になっている。

 BIOSのデフォルト設定でIntel VMDが無効(Disabled)になっているならまったく問題なく、その存在に気がつくこともないのだが、一部の「Intel Z690チップセット」マザーボードでは、デフォルトで有効(Enabled)に設定されていることもある。

 このIntel VMDが有効になっている状態では、Windowsが内蔵しているNVMeデバイスドライバーで、NVMe(PCIe) SSDが認識されなくなってしまうのだ。そのため、“Windows 10/11のインストール”実行時に、Intel VMDのドライバーを手動で導入する必要がある。

 ドライバーはマザーボードの付属メディアにWindows 10/11インストール用のドライバーが含まれているので、光学ドライブを使って直接読み込むか、USBメモリーにコピーして導入する必要が必須になっている。

 メーカーごとにデフォルト設定は異なるようなので、まずはBIOSでIntel VMDに関する項目を探して確認。有効の場合は無効にするか、有効のままドライバーを組み込んでWindowsをインストールしよう。

OSインストール先のストレージが、なにも認識されないのは、かなり慌てる。実際慌てましたよ、悩みましたよもう……

Windows11のデバイス マネージャー。Intel VMD有効時(右)は、従来(左)の「標準NVMe Express コントローラー」ではなく、「Intel RST VMD Controller」と「Intel RST VMD Managed Controller」が組み込まれる

今回試したGIGABYTE「Z690 AORUS MASTER」のBIOS画面(F1)。Intel VMDに関する設定項目の「VMD setup menu」は「Settings」「IO Ports」にある

デフォルトで有効になっている。無効にするか、ドライバーを組み込むか判断しよう。なお、最新のBIOSからは、デフォルトは無効にするとのことだ

ASRock「Z690 PG Riptide」のBIOSバージョン「3.01」の画面。「Advanced」「Storage Configuration」の「VMD Configuration」から変更でき、デフォルトで無効になっている

恐怖のブルーorブラックスクリーンの発生も!

 もう1点、Intel VMDで把握しておきたい点がある。OSインストール時のストレージドライバーの組み込みと聞いて、ピンとくる人も多いだろうが、現状のWindows 10/11側ではIntel VMDの有効、無効の切り替えができない。そのため、Intel VMD無効の状態でインストールされたWindowsは、有効化した環境下で起動することができないのだ。

 プラットフォーム変更時は、ほとんどの人がOSをクリーンインストールすると思うが、Intel 400や500シリーズを搭載したマザーボードで使っていたNVMe SSDを、Intel VMD有効化のIntel 600シリーズ搭載マザーボードに差して起動すると、OSを起動できず「BSOD」ことブルースクリーン(Windows 11ではブラック画面に変化)が発生することがある。逆も同じで、Intel VMDを有効化してインストールしたWindows 10/11は、無効の環境化では起動できない。

 Windows側でIntel VMDの有効・無効を行なえるように、Windowsアップデートを準備しているようなので、デフォルトで有効になっている製品は、BIOSでIntel VMDを無効にしてOSをインストールするのが吉だろう。最新BIOSからIntel VMDをデフォルトで無効にするというメーカーもあるので、Windowsアップデートでの対応を待ってから、Intel VMDへの移行を検討するのが賢い選択だろう。

Intel VMDを有効化した環境で、無効状態で導入したOSを起動しようとすると、見たくないBSODが……

自動再起動は、これまた見たくない復旧画面に。当然、スタートアップ修復を実行しても修復できず

Intel VMDをOS導入時と同じ無効に変更することで、再びOSは起動するようになるが、OS破損の可能性はゼロではない

Intel VMD普及に備えて
ドライバーの組み込み手順をマスター

 Intel VMDを利用するのに必須なデバイスドライバーの導入は手間ではあるが、難しくはない。マザーボード付属メディアを使うための光学ドライブか、ドライバーをコピーしたUSBメモリーを用意。あとはWindowsインストール時に以下のように、組み込めば問題ない。

 ドライバーメディアの保存先はメーカーで異なっており、手元にあるGIGABYTE「Z690 AORUS MASTER」付属メディアでは、「Boot」「VMD」「f6vmdflpy-x64」フォルダー。ASRock「Z690 PG Riptide」は、「Drivers」「Rapid Storage Technology」「Intel」の「F6」フォルダーに保存されていた。

ドライバーの保管場所は、メーカーで異なるので、検索して確認しておきたい

 「F6」?と思うかもしれないが、これはWindows XP時代に、OSインストーラー起動時に「F6」キーを押してデバイスドライバーを組むこんだ名残。GIGABYTEのフォルダー名や、インテルからダウンロードするドライバーファイル名に入っている「flpy」も同じで、当時はドライバーをフロッピーディスクから導入していたためだ。

 付属メディアのドライバー保存先を確認する際は、「VMD」「f6」「flpy」「Rapid Storage」といった用語で検索していけば、ほぼ見つかるだろう。

現在は付属メディアのほうが最新になると思われるが、ドライバーは「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー ドライバー」のページからも手に入る。「F6flpy-x64 - VMD」をダウンロードしよう

ストレージ選択画面の「ドライバーの読み込み(L)」をクリック

ドライバー保存先のフォルダーを指定する必要がある

「Intel RST VMD Controller~」を選択し、「次へ(N)」ボタンをクリック

ドライバーを組み込むと、NVMe SSDを認識するようになる。あとは従来と同じように進めていくだけだ

Intel VMD有効下で、GIGABYET Z690マザーボードの一括ドライバーインストール機能「Xpress Install」を実行すると、自動で「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー ドライバー」が導入された

Intel VMDが有効だとSSDの速度が5%アップするというので
軽くIntel VMD有効無効時の速度をチェックしてみた

 おまけ程度だが、GIGABYTE製PCIe4.0 NVMe M.2 SSD「AORUS Gen4 SSD 1TB(GP-AG41TB)」に、Windows 11を、Intel VMD無効時と有効時でインストール。「CrystalDiskMark」を使ってパフォーマンスを計測してみた。

Intel VMD無効時

Intel VMD有効時

 あくまでも一例だが、Intel VMD有効時は、シーケンシャル「SEQ1M Q1T1」のリードが5%どころではない数値の上昇を記録しているが、ランダムの「RND4K Q23T1」は大きく下げていると、微妙な結果になった。近いうちに、複数製品とテストを使って、Intel VMDの実力を試したいところだ。

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