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風評を可視化するアルゴリズムをつくるスタートアップ:

次に流行るもの「フォアー(Fore-)」ならわかります

文●盛田 諒(Ryo Morita) 撮影● 曾根田 元 編集● ASCII.jp

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 「これ、韓国で流行ってる化粧水なんだってさ」。旅行先で流行っているモノを買えたら話やビジネスのネタになるだろう。フォアーが2022年9月リリースを目標に開発しているトラベルコマースアプリ「フォアー(Fore-)」なら楽勝だ。海外で流行っているモノがいくらで買えるかがすぐわかる。

 同社の強みは、アプリの裏で動いている独自開発の「トレンド予測アルゴリズム」。商品の売上等の情報と、インターネットで公開されている情報、SNSのクチコミ、独自に入手している情報などをかけあわせて分析にかけることで、「いま何が流行っているか」「これから何が流行るか」を予測している。

 株式会社フォアーは2019年、前身となる株式会社PicUAppで、海外の商品が欲しい人と手荷物に空きがある旅行者のマッチングアプリ「HAKOBIYA」をリリースしている。アプリは話題となり、5ヵ月で15万ダウンロードを超えた。HAKOBIYAからトレンド予測に軸足を移した同社には、どんな将来像が見えているのか。ASCII STARTUPの北島幹雄が、同社代表取締役の田中悠斗CEOに聞いた。

田中悠斗 代表取締役 CEO

1992年生まれ。14歳のときにGnutella P2Pを活用したシステムを開発し、事業売却を経験。ハッカーとして活躍。2014年に防衛大学校卒業。2018年、幹部自衛官を退職。その後、創業。

風評を可視化するアルゴリズム

── いつごろからトレンド予測アルゴリズムの開発を始めたのでしょうか。

 HAKOBIYAが15万ダウンロードになって「ここからブーストかけていこうぜ」というタイミングで、コロナがバチーンと来たんで「ヤベえな」と。それが2020年3月くらいで、「仮に旅行というものがまったくできなくなったとき、何を次の軸としてやっていくのか」と真剣に考えはじめるようになって。

「HAKOBIYA」は約15万ダウンロード

 そのとき「刺激を原動力に刺激を探す、深堀りする」というテーマで模索して、「行ったことのない国とか行ってみたい国を調べるときにどんな情報があったら興味関心の入り口になるのかな」と考えはじめたんです。「パリでいまなにが流行ってるのか」とか、気になるじゃないですか。

 自分自身、イギリスに住んでいたとき「めっちゃうまい」と言われた紅茶を買って日本に帰ってきたことがあったんですよ。それを「現地でめっちゃ売れててマジうまいらしいんだよ」と紹介したら、「それKALDIで見たことあるよ」「嘘やろ!?」ということがあったというのを原体験として持っていて。

 でも、何が流行しているというかは、その国の言葉で探さないとわからない。たとえばジンバブエなりラトビアなりで、調べないといけない言葉が変わるわけですよ。それに、一定の数の人間にヒアリングしないと、いまその国でどんなものが流行ってるのかはわからない。たとえば「いまNYで流行ってる帽子は」と聞いても「俺はこのキャップだと思う」「私はこのハンチング」となってしまう。

 そのとき「流行る」という行為自体が可視化できたら色々なものに転用できるよねと。いまこの国では何が流行ってて、これから何が流行るのかということがわかればめちゃめちゃいい。それをコアにしようとやりはじめ、1年かけて、成果を出しはじめたのが今年から、という感じですね。

── どんな商品のトレンド予測ができるんですか。

 漫画分野のトレンドポテンシャルは検出できてますね。ほかの分野では仮想通貨なんかもやってます。

某漫画週刊誌作品の中からトレンドポテンシャルを持つ漫画タイトルの検出に成功した

 把握しやすいのは、一言で言えば「雰囲気で価値が上がるもの」ですね。「あれ流行ってるよね」と口に出しやすいやつ。売れているものと流行っているものは違っているのが面白いんですよね。

── アルゴリズムはどのデータをどうやって参照しているんでしょうか。

 一般的なところで言えば、インターネットに公開されてる情報、商品ジャンルごとの売上予測、各種SNSの情報、そしてクローズドに入手しているデータです。あとは作品やプロダクトごとのベクトル化もしていて、学習データが少なくても精度の高い機械学習ができる評価エンジンも作ってますね。

DVM(Direct Vector Matching)エンジンのマッチング率はYouTubeの約8.6倍 (フォアー調べ)

── すべてのジャンルに共通のアルゴリズムが使えるんですか。

 調整は必要です。汎用方程式はありますが、各情報に対してのチューニングを常時やっていく必要がある。というか汎用方程式でチューニングが必要ない状態になったらノーベル経済学賞ものですよ(笑)。そこでどのジャンルに集中するのかというのは経営判断が入るところですが、理想的には「ジャンルに特化した方程式がすべてのジャンルにある」イメージですね。ただ、たとえば車のトレンドを予測するということなら車の大きなところ(企業)と組まないと無理です。

── フォアーの強みはどこになりますか。

 分析の精緻さですね。それに、ほかの企業も通常の分析自体はできると思うんですが、僕たちは俗っぽい言い方をすると風評を可視化しているようなもの。風評の変化が売上の増減率にどう変換されるのか。世の中がもっている印象が、売上だったり、コンバージョンにどう変換されるのかがわかるよというのが強みです。もちろん通常の機械学習モデルや、重回帰分析とかのモデルは入っているんですが。

従来よりも精緻なトレンド分析が可能

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