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このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第314回

山根博士のグロスマレビュー

Galaxyユーザーが「Xperia 1 III」を2ヵ月じっくり使って感じたこと

2021年10月28日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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 筆者は長年サムスン電子のGalaxyシリーズ、特に大画面モデルのGalaxy Noteを初代から使い続けてきた。大画面かつペンが入力できるスマートフォンとして公私でフルに利用している。他メーカーのスマートフォンもサブ端末として使うことはあったが、ソニーのXperiaシリーズを使う機会はなかった。というのも、筆者の住む香港ではXperiaシリーズは日本ほどメジャーな存在ではなかったからだ。

 しかし、2019年に発売された「Xperia 1」や「Xperia 10」から、香港でもXperiaに対する注目が高まっていると感じている。ディスプレー表示の美しさやカメラ性能の高さ、そして何よりも21:9というディスプレーを搭載したスリムなボディーはほかのスマートフォンにはない大きな特徴だからだ。今回は香港版のXperia 1 IIIを8月中旬から約2ヵ月使い、Galaxy S21 Ultra 5Gと比較して日々感じたことをまとめた。

香港版のXperia 1 III。デュアルSIM対応だ

スリムなボディーは持ちやすい

 Xperia 1 IIIの本体を持った感想は、とにかく「スリム」という一言に尽きる。最近のスマートフォンは大型化がどんどん進み、片手持ちでフリック入力しようとすると重量バランス的に文字が打ちにくい、といった製品もある。Xperia 1 IIIの横幅は71mmと細く、本体を「つかむ」というよりも「軽く握る」感覚で持つことができる。この細いサイズは毎日持ち運び、外出中にポケットから取り出して写真を撮るときなどに快適さを感じられる。ちなみにGalaxy S21 Ultra 5Gは横幅が75.6mmで、ケースをつけると当然だがさらに大きくなる。

Galaxy S21 Ultra 5G(下)の上にXperia 1 III(上)を置いた。握り心地はかなり違う

 昨今はマスクをしているため本体のロック解除は顔認証よりも指紋認証をよく使う。Galaxy S21 Ultra 5Gはディスプレーにセンサーがあるが、本体を握った状態でセンサーの位置に親指をタッチするときにどうしても握りなおす必要がある。指先をディスプレー下部に動かすためだ。本体が229gと重いためその動作もスムーズではない。Xperia 1 IIIはスリムで186g、Galaxy S21 Ultra 5Gよりも約40g軽量で、指紋認証センサーは電源ボタンに搭載されている。そのため本体側面を親指をスライドさせるように動かすだけで電源ボタンに触れることができる。ロック解除は毎日何回も行なう動作であり、Xperia 1 IIIのほうが何気なしにロック解除できる、といった感覚だ。

Galaxy S21 Ultra 5Gを握った状態からでは、親指をディスプレー内の指紋認証センサーに乗せるためには一旦握り直しが必要だ

Xperia 1 IIIならスムーズに親指を電源ボタンに添えることができる

 本体の仕上げもXperia 1 IIIは非常にいい。Xperia 1 IIまでは光沢により高級感を出していたが、Xperia 1 IIIではマット仕上げでケースをつけなくても指紋の後は目立たない。カメラ周りのデザインは個人の好みもあるだろうが、スリムな横幅に合わせて縦に細長く配置し、存在感を抑えている。実はGalaxy S21 Ultra 5Gも同様なマット仕上げとなっており、これは2021年のハイエンドモデルの本体仕上げのトレンドなのだろう。

背面の比較。Xperia 1 III(左)、Galaxy S21 Ultra 5G(右)。どちらもマットな仕上がりだ

 側面のボタン配置は、Xperia 1 IIIにあるカメラボタンが気に入っている。やはり今のスマートフォンはカメラを使うことが多いため、即座にカメラを使えてシャッターを切ることのできる物理ボタンがあるのはいいことだ。一方、グーグルアシスタントボタンは個人の使い方にもよるので賛否は避けたいが、側面にある4つのボタン、それぞれの形状にデザインの統一感がないことがやや残念だと思われた。もしもグーグルアシスタントボタンがなくカメラボタン、電源ボタン、ボリュームボタンの3つだけならあまり気にならなかったかもしれないが、4つも並ぶと気になるもの。Xperia 1 IIIの本体の全体的なデザインがいいだけに、ちょっとしたことだろうがこの辺りが気になってしまった。

本体右側面。個人的には4つのボタンのデザインに統一性が欲しかった

21:9のディスプレーは使いやすい

 筆者がXperia 1 IIIを使い始める前に一番懸念していたことは「画面の細さ」だ。スリムな形状は持ちやすいというメリットがあるが、大画面のGalaxyを使い続けていたので、Xperia 1 IIIでは表示される文字も小さくなるなど使いにくいのではないかと思っていたのだ。実はこれはXperia 1が発売された時から感じていた。しかし使い始めてみるとそれは杞憂であり、むしろ21:9のワイドサイズのディスプレーのほうが1画面に表示される情報量は多い。

 ブラウザーやSNSの表示を比較してみると、ディスプレーが縦に長いため一度に表示できるテキストの行数は多い。電子コミックなど絵を大きく表示したいときは大画面スマートフォンのほうがいいかもしれないが、情報を見るという用途ならXperia 1 IIIのほうが実は有利だ。

Twitterの表示。Xperia 1 III(左)とGalaxy S21 Ultra 5G(右)

 また、筆者がGalaxyの大画面モデルを使い続けてきた一番の理由は2つのアプリの同時起動を使うためである。スマートフォンのディスプレーに2つのアプリを表示すると、それぞれのウィンドウサイズはかなり小さくなってしまう。しかし大画面モデルならそこそこ実用的でもある。筆者はYouTubeを見ながらブラウジングやSNSを表示する使い方を日々している。Galaxy S21 Ultra 5Gはマルチウィンドウに加え、もう1つのアプリをポップアップ表示もできる。

 Xperia 1 IIIもマルチウィンドウやポップアップ表示は可能だ。ただしGalaxyが側面から内側にスワイプして表示されるアプリアイコンをディスプレー上にドラッグして2つ目のアプリを起動するのに対し、Xperia 1 IIIは側面のサイドセンスバーをダブルタップし、さらにポップアップ先またはマルチウィンドウを選んでからアプリアイコンをドラッグする。この辺りの操作性は長年の経験もありGalaxyのほうが使いやすい。

Galaxy S21 Ultra 5Gのマルチウィンドウ操作は2ステップ。側面からスワイプ→アイコンドラッグ

Xperia 1 IIIのマルチウィンドウは3ステップが必要。ダブルタップしてサイドセンスを表示、ポップアップウィンドウまたはマルチウィンドウをタップしてから、2つ目に起動するアプリアイコンをドラッグ

 さて筆者が一番使いやすいと感じたのは、Xperia 1 IIIを横向きに持った時だ。スリムで持ちやすく、片手で持ったままYouTubeの動画を見ていても疲れない。電車に乗って動画を見るときも、Galaxyならついつい両手で本体を保持してしまうのだが、Xperia 1 IIIは左手で持ち続けても疲れないのだ。また2つのアプリを表示するときも、横向きでも持ちやすい。

片手持ちでも楽に動画視聴ができる

 それに加えて純正で販売されているスタンド付きのカバー「Xperia 1 III Style Cover with Stand(XQZ-CBBC)」の使い勝手が非常に良いと感じた。ワイドディスプレーで動画を表示しつつ、スタンドを使って立てると動画への没入感が高まると感じられた。蛇足ながら片手で持っているときにこのカバーのスタンド部分を引き出すと、指がひっかかりちょっと持ちやすくなる。このカバーは側面が大きく空いているので、本体サイズの肥大化を最小限にしてくれるのもうれしい配慮だ。ソニーはもっとこのカバーをアピールするべきと個人的に思うが、実際香港ではXperia 1 IIIの初期予約者には無償提供された。

スタンド付きの純正カバーはマストバイと感じるほど使いやすいアイテムだ

カメラの思想はまったく異なる
Xperia 1 IIIはデジカメだ

 Galaxyやファーウェイのスマートフォンをメインとしてずっと使ってきた筆者にとって、Xperia 1 IIIのカメラアプリ「Photography Pro」はまったく初めての操作体系で、慣れるまでには時間がかかった。そもそもカメラアプリの設計思想がXperia 1 IIIは他のスマートフォンとはまったく異なっていると感じたからだ。

 まずはベーシックモード。使い勝手はほかのスマートフォンと変わらない。明るさやボケ、連写とセルフタイマー、フラッシュON/OFF、画像サイズをシャッターボタンのすぐ横から切り替えられるので指先の移動も少なく使いやすい。ほかのスマートフォンではこれらの設定はアプリ内のメニューなどをタップせねばならず、そのメニューはたいていシャッターボタンとは逆の、ウィンドウ内の上部(横持の場合は右端)に配置されている。両手で保持して使うならこれでもいいだろうが、Xperia 1 IIIは片手で手軽に写真が撮れるわけだ。

Xperia 1 IIIのカメラのベーシックモード。シャッターボタン横から各種設定がすぐにできる

Galaxy S21 Ultra 5GのカメラUI。各種設定はシャッターボタンとは逆の位置にある

 高度な設定が楽しめるAUTO/P/S/Mの各モードも設定項目がアイコン表示となっており、ほかのスマートフォンのプロモードよりも各段に操作しやすい。たとえばJPEG/RAW撮影の切り替えもワンタッチだし、今の状態を見ながら撮影できる。プレビュー画面が狭いものの、それよりも「どうやって撮影しているか」を確認しながら撮れる点は優れているだろう。画角の切り替えもレンズの焦点距離表示なので、カメラを使っている人には体感的にわかりやすい。

筆者はシャッタースピード優先モードを好んで使う。設定状態がタイル状に表示されわかりやすい

Galaxy Note20 Ultraのプロモード。各設定項目をシャッターボタンの横からすぐに変えられるものの、RAW記録切り替えなどは別途設定メニューを開く必要がある

 このように高度な操作も使いやすいのは、デジカメも展開しているソニーの製品ならではだ。では実際に日々撮影をしていて不満点はあるかどうかだが、Galaxy S21 Ultra 5Gと比較して、ほとんどのシーンでXperia 1 IIIでの撮影結果に不満が出ることはない。

Xperia 1 IIIベーシックモードで撮影した香港の公園の写真。実際の色合いにほぼ忠実

同じシーンをGalaxy S21 Ultra 5Gで。AIで発色が自動的に調整される

 一方、Xperia 1 IIIにはほかのスマートフォンにある自動AI処理やナイトモードはない。そのため一部の撮影状況では仕上がりに差が出る。夜景撮影をしてみたが、Xperia 1 IIIのベーシック・HDR撮影と、Galaxy S21 Ultra 5Gのナイトモード・2秒撮影を比較すると、光の処理あたりはGalaxy S21 Ultra 5Gのほうがうまく処理できているようだ。とはいえXperia 1 IIIの写真に不満、というほどでもない。

Xperia 1 IIIの夜景撮影

Galaxy S21 Ultra 5Gのナイトモード夜景撮影

 食事の撮影では、Galaxy S21 Ultra 5Gはかなり映える色に自動調整され、Xperia 1 IIIは実物の色通りという感じだ。この辺りは昨今のコンピューティショナルフォトグラフィーに慣れているとGalaxy S21 Ultra 5Gのほうがいい色合いに見えるかもしれないが、Xperia 1 IIIでも問題ない色合いだろう。なお、近距離撮影はGalaxy S21 Ultra 5Gのほうが得意のようで、Xperia 1 IIIはピントの合う範囲が若干狭い。そのため今までの感覚よりも少し離して撮影したほうがよさそうだ。

Xperia 1 IIIで食事を撮影

Galaxy S21 Ultra 5Gで食事を撮影。AI食事モードでかなり色は加工されている

Xperia 1 IIIで別の食事撮影。こちらはうまく撮れている

 8月後半からこの原稿執筆時点(10月頭)まで毎日の写真撮影はXperia 1 IIIを使っているが、片手でのハンドリングが良く「撮影のしやすさ」が全体的なカメラの使い勝手を高めていると感じられた。同じ被写体を撮影してもスマートフォンごとに仕上げや色合いの差は出るが、それを「どちらがいい」「どちらがより自然か」などと判断するより、「撮影結果に自分が満足できるか」という点が重要だと筆者は考えている。Xperia 1 IIIだけで写真撮影に出かけても困ることは今のところない。

「Sモード」ならシャッター速度を手軽に撮影できるのもいい。左は 1/320、右は1/15(画像はリサイズ&合成)

【まとめ】スペックだけではなく「使い勝手の良さ」が
Xperia 1 IIIの大きな魅力

 Xperia 1 IIIのベンチマークを取るといった比較は今回はしていない。筆者はハイエンドゲームで遊ばないので、Snapdragon 888を搭載しているスマートフォンならば、ほかのメーカーの製品でも十分なパフォーマンスを感じられるからだ。今回のレビューも「ここがダメだ」という荒探しではなく、サムスンのフラッグシップモデルを10年以上使い続けてきた観点から、ソニーのフラッグシップモデルの使い勝手を比較している。

 スマートフォンのディスプレーサイズは大きいほうがコンテンツを見るときには優位だ。だが、Xperia 1 IIIのワイドサイズのディスプレーも使いやすいことを今回実感した。本体の持ち運びやすさも良好だ。またスリムなデザインに仕上げるためフロントカメラをディスプレーの外に追いやっているが、最近のノッチやパンチホールのあるディスプレーに比べて全画面表示できる点もいい感じだ。

フロントカメラがディスプレーを隠さないのがいい

 バッテリーの差はXperia 1 IIIが4500mAh、Galaxy S21 Ultra 5Gが5000mAh。とりあえず普通に使う分には1日はどちらも十分持つ。気になるのは本体の発熱。真夏の屋外での動画撮影や5G通信しながらStreamyardを使ったストリーミング配信は、Xperia 1 IIIでもGalaxy S21 Ultra 5Gでも途中でカメラやブラウザーが止まるなどがあり、このあたりはSnapdragon 888に起因するものなので「こんなものか」と思って使っていた。高負荷な利用時は気を使わなくてはならない点は同じだろうか。

Snapdragon 888を搭載したスマートフォンは発熱を意識する必要がある

 Xperia 1 IIIはさすが日本で人気の製品でもあるだけに、総合的な満足度は高かった。海外でもっと評価されるべき、とも改めて感じさせられた。カメラ周りはデジカメを使っている人ならXperia 1 IIIはより楽しく写真撮影ができるだろう。一方、Galaxy S21 Ultra 5Gは撮影すれば常に映える写真になる。複数のスマートフォンを使い分ける筆者にとって、Xperia 1 IIIは他のスマートフォンにはない特徴を持っており、まったく別のデバイスとして使うことができる点が大いに気に入った。今後はXperia 1 IIIの動画性能も試してみたいと考えている。

海外でも今後Xperia 1シリーズの注目度はますます高まりそうだ

  Xperia 1 III
メーカー ソニー
ディスプレー 6.5型有機EL(21:9)
画面解像度 1644×3840ドット
サイズ 約71×165×8.2mm
重量 約188g
CPU Snapdragon 888
メモリー 12GB
ストレージ 256GB
OS Android 11
5G対応周波数 サブ6、ミリ波
カメラ アウト:約1220万画素(標準)
+約1220万画素(超広角)
+約1220万画素(望遠)
+3D iToFセンサー
/イン:約800万画素
バッテリー容量 4500mAh
FeliCa/NFC ○/○
ワンセグ/フルセグ ×/×
防水/防塵 ○/○(IPX5,8/IP6X)
生体認証 ○(指紋)
USB端子 Type-C
カラバリ フロストブラック、フロストグレー、フロストパープル
 

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