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店舗マーケティングの高精度データ取得、マイクロマーケットの無人決済などへの活用を提案

キヤノンITS、棚カメラ映像でAIが商品認識「StoreMotion」発売

2021年10月27日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2021年10月27日、AI商品認識プラットフォーム「StoreMotion」の提供を開始した。小売店舗の商品棚に取り付けた小型ステレオカメラで取得した商品外観映像から「どの商品が手に取られたか」をリアルタイムに高精度認識するシステム。「何段目の棚から取られたか」や「手に取ったものの棚に戻した」ことも識別することが可能で、店舗マーケティングツールや棚前デジタルサイネージのインタラクティブ化、スマホ決済型マイクロマーケットといった用途での活用が考えられるとしている。

キヤノンITソリューションズ「StoreMotion」の使用イメージ

 StoreMotionは、AI映像解析技術を用いた商品認識システム。ステレオカメラと映像解析用PC、ソフトウェアで構成される。1台のPCにステレオカメラを2台まで接続できる。

 商品登録は専用アプリケーションを使い、実際に棚から取り出すシーンのカメラ画像を登録すればよい。この作業は店舗の現場スタッフでも5分程度で完了するとしている。また、一度登録された商品であれば棚の配置を変更しても再登録の必要はない。さらに、ステレオカメラを採用することで、商品を取り出した/戻した棚の段数/高さも計測できるようにした。

店舗スタッフでも新たな商品登録ができるように専用アプリケーションを提供する

 キヤノンITSによると、同製品を開発した背景の1つとして「ECサイトでは一般化しているCVR(コンバージョン率)の計測を、リアル店舗でも行いたい」という小売業界のニーズがあるという。店舗マーケティングでは、店内カメラ映像の解析によって消費者の店内行動/導線分析を行う取り組みが進んでいるものの、その映像では消費者が手に取った/戻した個別商品の認識までは困難なのが現状だ。

 そこで、商品棚に取り付けた小型カメラ映像の分析で消費者の商品接触行動をデータ化するStoreMotionを開発し、店内カメラ映像の解析データやPOSデータなどと組み合わせることで「リアル店舗でのCVR計測」を可能にするという。そのほかにもデジタルサイネージとの連携、無人のマイクロマーケットにおける自動会計などにも活用可能だとしている。

キヤノンITSが考えるStoreMotionのユースケース

 なお、StoreMotionは商品識別機能のみを提供するシステムであり、店舗マーケティング、販促、自動会計など、用途に応じて他のシステムとの連携、あるいは追加開発が別途必要になる。キヤノンITSではこれらのインテグレーションやPoCにも対応する。

 StoreMotionの基本構成価格(税抜)は、ソフトウェアライセンスが10万円、ステレオカメラおよびカメラケーブルが5万円程度、画像解析用PCが20万円程度となっている(詳細は個別見積)。PoC作業費、カスタマイズ/追加開発費、設置費、保守運用費などは別途かかる。

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