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超パワーなM1 Pro/M1 Max搭載のMacBook Pro登場 新型AirPodsも! 第7回

他の追随を許さないM1 Pro搭載14インチMacBook Pro

2021年10月19日 18時30分更新

文● 本田雅一 編集●飯島恵里子

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 アップルの2021年最後と予想される新製品発表会を終えて、Macあるいはパソコン全体に興味を持っている方はやや興奮気味に捕らえているのではないだろうか。少なくとも筆者はパソコン向け半導体の取材を続けてきた25年ほどの中で、新型MacBook Pro向けに開発されたSoC「M1 Pro」「M1 Max」はもっとも驚いた発表だった。

 それは「ここまでやるか」という程に、徹底して性能を追求したこともあるが、単にSoCとしての性能や機能を高めるだけではなく、搭載する製品の価値に直結した作りになっていたからだ。

M1を愚直に拡張していたM1 Pro/M1 Max

 新しいMacに搭載されるSoCについて、あるいはA15 Bionic向けに設計された最新のCPU、GPU、Neural Engineの設計が採用されている可能性を考えていた。しかし登場したM1 ProおよびM1 Maxは、昨年発表されたM1の設計を踏襲し、そのまま愚直に拡張されたSoCだった。

 詳細は発表されていないものの、Neural Engineは毎秒11兆回の演算性能とされていることから、A14 Bionicと同じ、すなわちM1と同じ設計が用いられていると考えられる。おそらくCPU、GPUコアの設計も同様だろう。 しかし落胆することはない。メモリ帯域が大幅に拡張され、搭載メモリ容量も増えるなどで実にパワフルなSoCに仕上がっているからだ。

 アップルはM1が備えていた省電力かつ高性能で、異なる特徴を持つ多様なプロセッシングコアが効率よく協調動作できる共有メモリアーキテクチャをそのままに、大幅な拡張を施した。M1 Proではメモリへのアクセス経路が2チャネル、M1 Maxでは4チャネルに増加している。

 アップル製プロセッサのアーキテクチャでは、SoCに含まれるあらゆるプロセッサが等しくこれらのメモリに置かれたデータを処理できる。たとえば映像データに対し、あるときはGPUで処理を行い、別の処理ではNeural Engineを用い、動画コーデックを処理する場合にはメディアエンジンを使うといった具合だ。

 メモリ帯域はM1 Proで2倍の毎秒200Gバイト、M1 Maxでは4倍の毎秒400Gバイトにまで達する。高精細かつ高品位な動画データなど、データスループットが極めて高いデータを処理する場合には、得意な処理を行うためにデータを移動させる必要がない。

 もともとSoCとしては規模が最大クラスだったM1の2倍のトランジスタを用いてM1 Proを、さらにM1の5倍のトランジスタを用いてM1 Maxを作ったのだ。アイディアとして可能であることは誰もが思いつくだろうが、本当にここまで巨大なSoCを開発する決断をするかどうかはまた別の話だ。

 しかも、その性能が、製品そのものの実力に直結している。

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