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PC&スマホ併用に強い国産ウェブ会議システム「パルケ」が無料提供開始

”誰もが使える”ウェブ会議とチャットのコラボレーションツール目指す

連載
このスタートアップに聞きたい

 コロナ禍により否応なくワークスタイルの変化を迫られた日本企業だが、DX化が立ち遅れていた分、ツールのほとんどは欧米発となっている。そのような中、数少ない日本発のウェブ会議ツールを開発しているのが株式会社パルケだ。同名のコラボレーションツール「Parque(パルケ)」は、チャットツールや複数の会議参加者による共同編集可能なメモ帳ツールなどの複数の機能をウェブ会議システムに統合したもので、シンプルで使いやすいものとなっている。

 オープンβテストを終え、10月19日より無料提供開始となった同サービスを展開する株式会社パルケ代表取締役 CEOの鎌田 大輔氏に話を伺った。

使いやすさを追求したウェブ会議システム「Parque(パルケ)」の立ち位置

 リモートワークで導入が進んできているウェブ会議システムだが、コロナ禍以前から必然的に働き方の変化が叫ばれていた。少子高齢化社会の課題先進国である日本がこの分野のリーダー的な存在になっていてもおかしくはないのだが、コロナ禍によってやむを得ず、という形で導入が進んでいるのが現状だろう。

 Zoomをはじめとするツールのほとんどは海外製であり、日本の多くの企業が導入できるような「誰もが使えるツール」とまでは成熟してきていない。そこでパルケは日本企業における「会議」の進行のために必要なツールをAll-in-Oneで提供することを目指して開発された。創業は2020年6月で、オープンβテストを2021年2月から実施し、正式公開となった。

 パルケのターゲットは中小企業とPC&モバイル併用の現場だ。小売り・サービス業、建設業など、オフィスでのPCによる利用と現場でのスマホ・タブレットによる利用をシームレスに行うことが求められる業種をメインのターゲットに置いている。いわば現状のオンライン会議システムの利用から取り残されてしまった層であり、そこに可能性を見出している。

 そのような業種ではFAXが現役で使われているなどITツールの利用が立ち遅れていることも少なくない。パルケではスマホに不慣れなシニア層にも使いやすいよう、インビテーションのURLをクリックするだけで、ブラウザからウェブ会議やチャットが利用可能にするなど、シンプルなユーザー体験が意識されている。

パルケのコンセプトと機能

 ウェブ会議を行っている際のパルケの画面は以下のようになっており、左にメモとトーク履歴、右側上部に共有画面、右側下部には参加者及びチャット入力欄が配置されている。ここではパルケの特徴をおさらいしつつ、PC版の画面を使って各機能の概要を紹介しよう。

 第1の特徴はPCでもモバイルでも区別なくシームレスにすべての機能を使えるところにある。オフィスと現場の両方にいるメンバーを同時に会議へと集めることができ、リアルタイムで何が起こっているかを把握しつつ議論ができるため、効率的な会議運営が可能となる。

 「βテストを分析してみると、リモートワーカーの6割がモバイルだったりする。家にいてもモバイルで、さらに現場の仕事が多い方は、より比率がモバイル寄りになっていくと思うのでその点は重視してやっていきたい」(鎌田氏)

株式会社パルケ ファウンダー 代表取締役(CEO) 鎌田 大輔氏

 次に誰にも使いやすいシンプルな操作感が挙げられる。各ツールは1つの画面に納められており、コミュニケーションツールを使い慣れていないユーザーにとっても機能の全体像を把握しやすい。

 個別のツールもシンプルでありながら必要十分以上の機能を備えている。例えばトーク履歴はタイムライン上に会議参加者のコメントが表示されるツールだが、これはテキストコメントだけでなく、マイクを通じた会話すべてが自動的に書き起こしされ、タイムライン上に表示される。会議中になされた対話がすべて1つの画面で把握できるというわけだ。

 メモは一見プレーンなテキストエディタに見えるが、写真やURLリンクも添付できるし共同編集もできる。これとトーク履歴を組み合わせると、会議を進めながら参加者全員でメモを作成し、会議終了直後に議事録が完成となる。

 また、インビテーションメールに記載されているURLをクリックするだけで会議に参加できるなど、特別なソフトをインストールする必要がないところも使いやすさの1つだろう。

 またフラットかつ主体的なウェブ会議への参加を意識されており、例えばコメントだけでなく「いいね」やSMILEマークなどをチャットに差し込める。参加者のビデオ画像を円型にしているのも、表情は見える形で必要以上に背景が映らないようにとの配慮からきている。

 加えて、資料を会議参加者に共有する機能は多くのウェブ会議システムが備えているが、パルケはその共有画面を複数持つことができる。参加者Aが持つ資料と参加者Bが持つ資料をその場で比較検討することができるというわけだ。これはパルケが取得した特許となっており、競合製品に対する優位性の一つとなる。

 トーク履歴にマイクによる会話がすべて書き起こしされる機能は聴覚に課題を抱えているユーザーのウェブ会議への参加を促すカギとなるが、この機能には自動翻訳機能も統合されており、多言語を母国語とするユーザーにもウェブ会議への参加の道が開かれることとなる。

 もちろんウェブ会議はパルケのユーザーだけに閉じているわけではない。URLを送って社外の参加者も呼べる。このとき、外部であっても、セキュリティー設定の許す範囲において過去の議事録などを見ることができるので、事前の資料送付などで時間を取られることもない。

 また、会議終了後もそのままチャットに移行して対話を続けることができるので、同期と非同期のコミュニケーションツールがワンプロダクトに統合されているのはパルケの強みと言えるだろう。

 今回のインタビューでは、時間の都合上クライアントサイドの話しか聞くことができなかった。実際にはユーザープロフィールの登録や権限の設定など、サーバーサイドにも多様な機能があり、単なるウェブ会議システムを超えたコラボレーションツールと言えるだろう。少し古い言い方だが、シンプルなグループウェアにウェブ会議システムが統合されているものと言えばわかりやすいだろうか。既存の会議システムや資料の共有部分など、日本人が作ったシステムならではのかゆい所に手が届くポイントも押さえられている。

 国産コラボレーションツールであるパルケに期待したいのは、デジタル対応に遅れをとっているような非IT関連の企業におけるワークスタイルの変化を橋渡しだ。筆者自身も、さまざまなコミュニケーションツールの使い分けに戸惑うユーザーの一人として、正式リリースされた「パルケ」に期待している。

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